あの最初の夢から2か月が経ちました。
あの森の中での不思議な出来事からです。
森の中で出会った彼女。
彼女に寄せる、あなたの思いは以前より、
一段と大きなものに膨らんでいきます。
ですが、あれ以来、彼女と会えない苦しみが続いています。
あなたの頭の中は、いつも彼女のことばかりです。
最初に夢の中であの森で出会い、ロープで腹締めをした。
そして、それから1ヵ月後に、あなたが現実の世界だと
確信するあの森で、
彼女と再会を果たし、2度目の腹締めを自分のやり方でやった。
その経験で、彼女のことが決して忘れられない存在となり、
彼女のお腹に寄せる強烈な願望が、あなたの頭の中を支配してしまったのです。
その時、彼女も俺と会って嬉しい、幸せだと言ってくれた。
あれは紛れのない事実だった。
彼女はあなたに再会できて、涙を流して喜んだのです。
彼女は言いました。もうどこにも行かないで!と。
そしてあなたも、決心したのです。もう決して放さないと!
ところが今、いくら彼女に会いたいと願っても、思い通りになりません。
彼女と会えないのです。
どうしたら彼女に会えるのでしょう?
やっぱし、夢の中の彼女だからなのか? ただの幻想だったのか?
イヤ!絶対そうじゃあない!
証拠だって残っている!
未だに残る右頭の痛み。
夢か現実かを知るために、あなたが自分でその頭を石で打ち付けた痛みです。
その痛みが、今でもうずいているのです。
あの時拾った、ポケットの中の落ち葉だってある。
スマホに写ったあの神社近くの風景写真だってある。
最初のトゲも紙に挟んで机の引き出しの中にある。
夢なら、そんな物が現実にあるはずがない。
物的証拠が現実だったことを証明しているのです。
だから、彼女は間違いなく存在しているし、
なたは現実に彼女と会ったのです。
あれ以降、必死であの神社を探し続けているのですが、
何故か、その場所が分かりません。
どこにあるんだ? あの神社。あの脇道。
いくら車で探しても、あの時の道は見つからない。
脇道だってないのです。
でも、落ち葉や、風景の写真が、トゲが、あの森の実在を証明しているのです。
あの場所から持ち帰ったものです。
あなたが追い求めて止まない大切なもの、
それは、森で出会った彼女です。愛おしい彼女と、彼女の腹責めです。
あなたは、そんな苦しみの中で、自分なりに今までのことを
頭で整理し、理解しようとします。
それまでの信じられないような出来事をまとめてみます。
そして、あなたがいきついた、その結論は、
ねじれです。
時のねじれが存在していることです。
信じ難いSFの世界が今現実に起こっているのです。
それ以外に納得できる解釈はありません。
人に話せばバカにされます。その必要もありません、
あなた自身のことです。
つまり、最初あなたは、夢を見た。間違いなく夢です。
夢の中で、彼女と初めて出会った。
あなたが彼女を見つけたと言った方がいいです。
ところが、
その夢の中で、彼女にロープでの腹締めを頼まれて、
締めるための道具として、足元にあった棒を拾ってしまった。
その瞬間に、何かが起こった。
夢を現実の世界にチェンジさせてしまったのです。
その時、拾った棒のトゲがあなたの手に刺さり、
そのトゲをそのまま、現実の世界に持ち帰ったのです。
そのトゲは、ただのトゲではなかった。
あなたの心にまで深く刺さり、抜くことの出来ないものとなった。
トゲは日に日に心の中に食い込んで、痛みは増していくばかりです。
手のトゲは抜けても、心のトゲは決して抜けないのです。
そう解釈するしかありません。
それから1ヵ月後、彼女と感動の再会を果たし、
あなたのやり方で
彼女の腹を再度締めました。
そして、あなたはその喜びを彼女と共有し、2度と放さないと誓った。
彼女も幸せだと涙してあなたに抱きついた。
ですが、実在するはずの森がどこにもない。夢ではないのに!!
それが現実だという証拠は、トゲと頭のコブと落ち葉とスマホ写真です。
動かしがたい証拠が今も現実に手元にあります。
ただ、1ヵ月の時差について、どう解釈すればいいのか?
難しい理論など分かるはずがありません。ですが、
あなたが、迷いに迷って出した答えが、
時のねじれです。
あの時の1ヵ月の時の流れが、森の中ではほんの一時の時間の経過だった。
だとすると、
あなたは、もう1つ別の時間を、現実の世界で持ったことになります。
あり得ないことだと分かっていても、そう解釈しないと
説明がつきません。
あの森に居たのも今、そうして考えをまとめているのも今です。
ただ時間がずれているため。あの森での今は過去の今です。
大切なのは、時のねじれを、あなたがどのように
行き来できるかということです。入口はどこにあるのでしょう。
この問題を解決しないと、どうにもなりません。
愛おしい彼女に会いたくても会えないのです。
解決の鍵はあの道、脇道、神社です。
そして、あの小道の奥にある、あの森です。
持ち帰った証拠で場所が分かれば何とかなると思い、
あなたはネットや地図であの神社を探し続けます。
何度も何度も、神社を求めて実際に車を走らせます。
求めて求めて、引き返せない思いを抱えて
殆ど当てのない場所をさ迷うのです。
彼女に会いたい! どうしても!
彼女の顔が浮かんできます。
涙した瞳であなたを見つめている彼女の顔が浮かんできます。
彼女の髪の香り、白い肌の匂い、甘~いあの皮膚の味、
内臓の感触、腸の音、、、、、、締めた感触、うめき声、、、、
追い求め、さ迷い続けて、思いは限りなくあの森へ、彼女へと引かれていきます。
会いたくて、会いたくて、あなたは我慢できず、
大きな声で叫びます。
どこだーーーーーーーーーーー!
・・・
・・・
ああああああああああああああああああああああああ!
あれは! 脇道!
あの時の脇道が、、、!
でも、この道は、さっき通った道!
しかも今日、何度か通った!
何故、気が付かなかったのだろう? 見落としたのか!?
脇道を車でどんどん進んでいきます。
あっ!
神社だ! あの神社だ!
ここで間違いない!
車を神社の横に止めて、降りていきます。
一瞬、辺りを見渡します。
?????
何かが違う! そう感じるのです。
気温が少し高いような??
ですが、ほとんどの物は同じです。
ベンチ、藤棚、小川の流れも同じです。
あれから、2ヵ月が経っています。
小川のせせらぎが聞こえてきます。それを耳にしながら
あの小道へと向かって走っていきます。
居て欲しい! 会いたい!
ゴロゴロした小道で足を取られそうになります。
走り続けます。小道は山に向かっての坂道です。
彼女はどこにいるのだろう?
2か月経って、ここにいるなんて普通ではありえないことです。
走り続けます。 そして、あの場所に来ました。
あの時と同じ場所に立って、森の中を目で追います。
息を切らして必死で彼女の姿を探します。
確か、、、、あの木の下で彼女を見つけた、、、!
あの時、ここから彼女に声をかけた!
その光景がはっきりとあなたの脳裏に浮かんできます。
森のあの木の下で、あなたの声に驚いてあなたを見つめたまま、
何も言えないままで立っている彼女の姿を思い出します。
・・・
・・・
彼女の姿は見えません。 居ない、、、、! やはりいない、、、
心が折れそうです。
居るはずがないと思っていても、
会いたい思いだけで必死にその森へたどり着いたのです。
あなたは、その木の下へ向かって歩き始めます。
彼女と過ごした忘れられないあの木の下へ
ここだ! この木だ! 間違いない!
ここで彼女と二人で過ごした!
彼女は俺にそれまで経験しなかった大きな喜びを与えてくれた。
忘れられないあの時の体験が浮かんできます。
この木にウエストを、、木を手で触れてみます。
でも彼女はいない!もういない!
大きな失望感が後から後から込み上げて、あなたはその場に
うずくまってしまいます。
彼女を思い、涙が後から後から流れて、ほうを伝って地面に落ちていきます。
その悲しみと苦しさで胸が熱くなって、心が何かで締め付けられるようです。
この思いは何なんだ、、、、!
彼女が俺を締めている。極限を超えても、まだ強く締めてくる。
まるで、あの時、彼女のウエストを極限まで締めたと同じように、
今度は俺が彼女に締められている、、、!
涙でうるんだ地面にピンクのハンカチが落ちています。
それを拾って涙を拭きます。
あっ! これは!?
ハンカチから彼女の匂いがかすかに漂ってきます。
間違いない! 彼女の匂いだ!忘れることの出来ない彼女の匂い。
自分でも異常と思うのですが
ハンカチに口を含みます。
ああああ~
彼女の肌の味がする、、、、、あの時の皮膚の味!
あの時、彼女の鳩尾から、おへそを吸い尽くすように口にした
あの絶対に忘れられない、甘~い! 甘~い!彼女の味が口の中に
広がっていきます。その甘さが脳に突き刺さり今までず~っと
片時も離れなかった。
目を横に移すと、長めの棒が地面に転がっています。
これは、、、! この棒だ!
この棒をテコにして彼女のウエストを締めたんだ!
あの時、この棒のトゲが刺さった!左小指の先に大きなあのトゲが、、、、
もし、あの時
この棒を拾わなかったら、この棒のトゲは刺さらなかった。
トゲを持ち帰ることもなかった!
この棒を手にした時が、全ての始まりだと、あなたは気が付くのです。
そして、そこでの出来事が鮮明に頭の中に浮かんできます。
彼女の全てを、、、彼女のウエストを締めたことを、、、、、
締められたウエスト、のけ反った首筋、そのうめき声、
吐息、匂い、皮膚の味、締めた手の感触、内臓の感触が、、、
あああ~ あの時の彼女の姿が、、、目に浮かんで来る、、、、
あれから2ヵ月が経過しています。
この森での時間が、どれくらい経っているのか分かりません。
時間の流れる速度が違っているのです。
でも、確かにそこには、彼女と過ごした余韻が漂っています。
ですが、そこに彼女は居ません。
彼女があの時と同じように居ると考えるのは所詮無理なことです。
いくら何でも都合がよすぎます。勝手過ぎます。
会いたい! 会いたい! どうしても会いたい!
彼女に対しての純粋な思いが、後から後から込み上げてきます。
どれくらい、その場に居たのか分かりません。
長い時間いたのでしょう、、、、、
あなたは、その場を後にして、小道へ向かっていきます。
先ほど、必死で走って来た道をゆっくりと降りていきます。
彼女にどうしても会いたい、、、
その時、ゴツン!と横から出っ張った岩におでこをぶつけてしまいます。
痛いっ!
一瞬目まいがします。何だこの岩は?
ですが、あなたが下を向いたままで歩いていたため、
前方不注意でぶつけてしまったのです。
ついていないな!今日は、、
彼女にも会えないし、おでこはすりむくし、、、ハアー ため息。
何だか急に暑くなってきた! ぶつけたせいか、、、
その岩の続きを目で追っていきます。
嘘ーーーーーーーだろーーっ!
何と、そこには彼女がいる!
信じられないのですが、彼女が間違いなく居るのです。
あなたが必死で探しても、会えなかった彼女がそこに居るのです。
会いたくて、会いたくて、森の中をさ迷い続けました。
そのあなたが、やっと彼女に出会えたのです。
一人で何かをささやいているような、、、、。
ただ、何故かあなたが近づく足音にも気が付きません。
気配も感じるはずです。近づいていきます。
彼女のすぐ目の前にやってきました。
ああああ、、、、、
彼女の匂いがする、、、、あの時の匂いだ、、、
決して忘れない彼女の、、、、あの香り
愛おしい、愛おしい彼女が目の前にいるのです。
思いっきり、その体を抱きしめたい!
どんなに会いたかったか知れません。その彼女に今会えたのです。
ですが目の前のあなたに、何故か気が付きません。
尖った岩を目の前にして遠くを見つめています。
あ~ その瞳!一時も忘れたことのない彼女の顔です。
会いたかった! 愛おしくて!愛おしくて!
気持ちが張り裂ける思いをして来たのです。
その彼女が、あなたの目の前で遠くを見つめています。
ですが、何故か、あなたに気が付かないのです。 俺がここに居るのに。
時間のねじれが完全に一致していないのです。
あなたに彼女側の時間は伝わっても、彼女にははあなた側の時間が伝わっていません
時間がまだ完全に一致していないのです。
何かの隔たりがあるのです。
信じられない現象ですが、そう考えるしかありません。
俺はここにいるーーーーーーーーー! 大きな声で彼女に向かって叫びます。
すると、遠くを向いていた彼女の瞳があなたの方を振り向きます。
じ~っとあなたを見つめます。あああ、、、、
その瞳は、あの時と同じです。今まで2ヵ月の間ず~っとあなたの心の中で
あなたを見つめてきた瞳です。
現実の複雑な社会で、その瞳にどんなに励まされてきたことでしょう。
どんなに苦しい時でも、自分には彼女がいると思って耐えられたのです。
ですが、彼女はあなたに気が付きません。
彼女の前には強烈に尖った荒々しい岩石の先端が真上に向かって出っ張っています。
あなたはすぐに分かりました。彼女が何をしようとしているのかがです。彼女にはあなたは見えません。
真っ白な腹部がむき出しになりました。細くて弱々しいウエストがそこにあります。
あなたがあの時に極限まで締めたウエストです。
あああ、、、彼女の真っ白な腹に岩の硬く尖った先端が食い込んでいく。
あまりにも強烈な光景です。ですが、あなたは彼女の腹の内臓に引かれて、
いつもそれを想像して来たのです。
あの森の木でロープを使って、自分のウエストを締めようとしていた彼女が
今度は、硬くて尖った岩先を、自分の腹に突き刺しています。
目を閉じた彼女の表情があなたを興奮させます。
柔らかい生身の腹に鋭い岩が食い込んでいく。
こんな光景を見るのは生まれて初めてだ!
それも、すぐ目の前でです。
その信じられない光景があなたを極限にまで興奮させます。
もう絶対に戻れない!そうあなたは確信します。 俺がどんどん変わっていく、
彼女に俺が変えられていく、、! そうあなたは悟ります。
岩が食い込んだ彼女の腹部30cmに近づきます。
腸の音がぐじゅぐじゅっと!聞こえてきます。
彼女の匂いを感じます。
柔らかい真っ白な彼女の腹の中に、硬くて尖った岩の先端が
見えなくなるほど、めり込んでいます。
めり込んだ岩の先端の中にある、温かい彼女の腸のうねりを、
あなたは、想像せずにはいられません。
岩が腹に、ぎゅーっ!と深くめり込み、内臓にズッポリ!めり込み
その奥で腸がぐちゃっ!と潰されているのです。
彼女の目を閉じた悩ましい表情と呼吸が、あなたを興奮させて行きます。
そのうめき声、吐息、匂いが、何もかもがあなたの目の前で
生々しく展開しているのです。
尖った岩の先端は彼女の腸の一番奥まで達しています。
そしてそれが腸を残酷に突き刺し、間違いなくつぶしています。
その腸の状況を想像して、あなたは一瞬、目まいがして、
足元の枯葉でスリップして転んでしまいます。
あああ~ 痛~いッ!
左腰を石で打ちつけたのです。
彼女を振り返ると、もうそこには居ません。
どこへ行った!? 辺りを見渡しても彼女の姿はありません。
何故? どういうことなんだ!?
しばらくその場に呆然として立ち尽くすあなたに、
急に冷たい風が吹いてきます。
変な天候だ? 暑いと思ったら急に寒くなってきた。
彼女はどこに行った!どこに消えてしまったのだ!
何もかもが信じられないことばかりです。
一体何がどうなっているんだ? 分からない? 彼女はどこに行った?
彼女の姿を追って森の小道を降りていきます。
小道に入る前のベンチの広場まで来ました。
すると、え!
信じられない!
居なくなったはずの彼女がそこに居るのです。
さっきと、服装が違っている、、、? 黒のスカート
いつの間に、、、、?
後ろ姿で顔は見えませんが、
体型や雰囲気で彼女に間違いないことが分かります。
彼女だ!
今度は俺に気づいて欲しい、、、!
あなたは、彼女を探し求めて森をさ迷ってきたのです。
理解できない現象の中で、
先程と服装の違う彼女に、又会えたのです。彼女に間違いありません。
服装など関係ありません。
現に彼女が、そこに居るのですから。
ゆっくりと、彼女に近づいていきます。
彼女は、木の切り口に体全体でかぶさっているように見えました。
じ~っとして動きません。
彼女のすぐ後ろまで来ました。
俺の姿が見えるだろうか?
見えてほしい! 分かってほしい! 俺はここにいる!
とりあえずビックリさせるといけないと思い、
さりげなく、
「どうかしましたか?」
と声を掛けました。
次の瞬間、
きゃーー!
えいっ!
ドン!と今まで聞いたことのない、変な音が頭の中でして
地面が急に目に近づいてきました。
痛てーーーーーーーーーーーーーーーーっ!
その衝撃でベットから跳ね飛ばされ、下に落っこちて、
もう一度、後ろ頭をゴン!と部屋のフロアーにぶつけてしまいました。
夢と幻想の森