今日、朝のホームルームと1時間目の授業は
井上君のいじめの問題でメガネとクラス全員で
話し合いの時間が持たれました。

問題は私がその時に話した内容です。

私は自分でも信じられない強い口調で
皆の前で自分の意見を言ってしまったのです。

本当に自分でも信じられない事が起きてしまったのです。
まるで嘘のようです。

それまでの自分ではあり得ない、考えられない事です。

ですが、もうやってしまった事は取り返しはつきません。
これから私は一体ど~なっていくんだろう。
でも私は、もう今までの花ちゃんから一歩抜け出した
のかもしれません。
そうしたかったのです。

そう決心して勇気を出して皆の前で発言したのです。
内心は、後がどうなるのか心配で不安ですが、
良かったと思っています。

メガネは私の話で、
井上君がいじめられていた事を知りました。
そして、
この学校には他にもいじめがあることも知ったはずです。
メガネが今後どう対応をして行くのか私には分かりません。


メガネがどんな先生なのか昨日私たちのクラスの副担任に
なったばっかしです。
いじめの事実を先生が知ったからと言って解決出来るのか
私には疑問です。。。

クラス女子のヒソヒソ話では、先生は結局は
何もしてくれないとの結論を出しているようです。
今まではそ~だったのでしょう。

ただ、メガネは新しい新任の副担任です。
私の話を聞いて何かを考えている様子でもありました。

2時間目は理科、3時間目は国語、4時間目は算数、
5時間目は社会、、、

授業の中で理科と国語のテストがありました。
かなり簡単な問題でしたが、文字の間違いや
回答で難しい漢字などは使用しない様に注意して提出しました。

又、各科の授業の初めに前回のテストが返され、
私の点数は、算数100点、社会100点でした。

私としては当然の結果なのですが、
驚いたのはクラスのみんなでした。

100点の場合は先生が皆に発表します。

算数の時間、

メガネが、野々村美沙さん~ 100点です。

よく頑張ったんだな~。
そ~言って答案用紙を返してくれました。

えーーーーーーえ? は~?、、嘘でしょう、、 ざわざわ、、、、

みんなが以外そうに顔を見合わせて
信じられない様子です。100点は私一人でした。

一瞬、クラスが静まって、そんな中を私は今まで通り
普通に前に出ていき答案用紙を受け取りました。

少しメガネと目があいましたが、私はペコっと頭を下げて
ありがとうございます。と軽く言って受け取りました。

私は、内心めちゃめちゃビックリしました。なにがって?

私の名前を、花ちゃんと呼ばなかったことにです。
私を野々村美沙って呼んだのです。



自分の席の方向に振り向くと、
色んな処からこそこそと話が聞こえてきました。
みんなが驚いている様子が分かりました。

だって、昨日までは、私は60点前後の花ちゃんです。
それも私の点数はクラスの殆どの人が知っているのですから、
ビックリするのも仕方ありません。


特に、クラスで一番に驚いたのは、例の5人組のようでした。
私の点数が悪い程、喜んでくれる親友たちです。
私が100点なんて取っちゃったら、あいつらど~すんの?
そして社会も100点なのです。


ビックリを通り過ぎて、
あいつら かなりヤバイ状況に追い詰められるに違いありません。
明らかに顔色がよくありません。
私の悪い点数が救いになっていたのですから。。。
そ~は言っても、私の大切なクラスメートです。



お昼休みの時間に、
隣の席の、み~ちゃんが私に話しかけてきました。


美沙ちゃん!

何だか変な男子があなたを見てるよ!

え? 変な男子?
教室の前側の入り口からチラチラと私の様子を
伺っている男子が2~3人居ます。

あ! あいつら!
昨日、井上をいじめた例の6年生の3人だわ!

み~ちゃんが言います。
美沙ちゃんが今朝言ってた6年生の悪い奴って
あの人たちなの?

美沙ちゃん! 気を付けた方がいいよ!
あの人たち、いつも誰かをいじめて、お金を取ったりしているんだよ。
先生だって知ってて何も言わないんだよ。

え~ 先生も知ってて何も言わない?

なんでなの、み~ちゃん。何か知ってるの?

う、うん、、

あのね、
あの顔が板みたいな奴のお父さんってね、
県の議員さんで、
学校なんかに強いんだって!

学校に強い?

み~ちゃん 学校に強いってど~いうことなの?

私もよく知らないけど、
教育委員会とかの人と仲良しなんだって。。。

はあ~ 教育委員会~


、、、美沙ちゃん!   ホントはね、、、

私もお金を取られちゃったことがあるんだよ。

えーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

み~ちゃんが、あいつらにお金を取られた~

うん、5回取られた。いつも200円くらい取られてた。

えーーーーーーーーーっ! 200円もの大金を毎回!

くそ~ あいつら! 
女の子もいじめているなんて許せないわ!
最低の奴らだ!
女の子からお金を脅し取るなんてひど過ぎる!

み~ちゃん! それを先生に話したことあるの?

うん! だけど、先生に告げ口したって
腕をつねられて痛かった。

それと、クラスの美沙ちゃんのお友達からも
ず~っといじめられてるの。

えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!


私の友達からいじめられてる?
ど~言うことなの? み~ちゃん!

み~ちゃん! 何を言っているの?

み~ちゃん! 話してよ! ど~いうこと?

誰のことを言ってるの?
私の仲がいいお友達って誰のこと?

美沙ちゃんとよく一緒に居るクラスの5人だよ!

っで、み~ちゃん! どんなことをされてるの?

・・・ み~ちゃんは話すのを迷っています。

・・・ 

・・・ お願い! 話して、み~ちゃん

・・・ あのね、

上履きとかが水に濡れてたり、体操服がトイレにあったり
机の中に泥や石が入っていたり、ノートが破れていたり、
するの。。。。

・・・ 
 
2学期の席替えで、み~ちゃんが私の隣に来てもう2か月以上が
経ってる。
それなのに私は、み~ちゃんのことを何も知らなかった。
何も気が付いていなかったんだわ。
結局、私も自分だけのことしか考えていない、
利己主義な人間になっていた。
クラスの殆どの人が皆そんな感じになってて
だれも、腫れものには触りたくない、関わりたくない、
ど~にもならないと思って、人を助けようなんてしないんだわ。

み~ちゃんは友達の誰にも言えず1人で悩んでいた。
それを先生に言っても解決されず、
逆に仕返しされて腕をつねられて怖い思いをしていたんだ。


そんな、み~ちゃんが私にその苦しみを打ち明けてくれた。
み~ちゃんは今まで私のことを花ちゃんって呼んでいた。
でも今は美沙ちゃんって呼んでいる。

今日の朝、私は勇気を出して皆の前で自分の意見を言った。
今でも、それがこれからど~なっていくのか不安で仕方ありません。
ですが、少なくとも、そのことで、み~ちゃんが
私に自分の悩みをを打ち明けてくれたんだわ。

私はあの5人の女子達には、み~ちゃんのような事は
されたことはありません。

ただ、学校での掃除当番や花壇の世話当番など
いつも私が気持ちよく代わっていたので、
私はうまく利用していただけなのかもしれない。
そして、私の悪いテストの点数を見て、
それが彼女たちの救いになっていただけなんだわ。
私も、み~ちゃんとは違った形であの5人にいじめられていたんだ。
ただ私はそれをいじめと感じなかっただけなんだわ。

み~ちゃんが言います。

あのね、美沙ちゃん!

・・・ ?

これって私の想像なんだけれどね、間違ってるかもしれないけど、、、
な~あに? 話してみて、、、

あのね、
今日朝のことを6年生に告げ口しちゃったのはきっと
あの5人だと思う。

えーーーーーーーーえ! あいつらが?

み~ちゃん! それってなんで、、、なんでそう思うの?

あの5人の中の佳奈ちゃんはあの3人の中の1人のお兄ちゃんなの。
確かみっ君くんて言ってた気がする。
で、いつも板顔にくっ付いて、みんなをいじめてるの。
だから、あの5人は悪い6年生3人組と仲良しなの、、、、、

み~ちゃんは私を心のどこかで信じてくれているのでしょう。
恐らく、こんな内容をクラスメイトに話すなんて、
かなり大きなリスクがあるに決まっています。
それでも、み~ちゃんは私に打ち明けてくれているのです。

先生に打ち明けても実際には詳しい内容までは分からなく、だから
表面的な対応しか出来なくて、継続的なフォローが取れないのです。
逆に、先生に話すことで仕返しが起きてしまって、
状況をさらに悪化させているのが現状なのです。
それを先生は分かっていません。

み~ちゃんもその実態を身を持って体験してきたのです。

兄が言った通りです。
例え親が出て行っても、先生に抗議するくらいしかありません。
親からの抗議に対して先生はクラスで話し合いの時間を持ったり、
仮にいじめをしている人を聞き出せても、
本人に注意をするくらいなのです。

その結果は仕返しが待っているのです。
先生にいじめのことを話す人が居ないのは当たり前です。
これでは、なんら根本的な解決にはなりません。

それでも、現場ではいじめが進行しているのです。
解決方法は現場で解決するしかありません。
自分にいじめの矢先が飛んでこないように
見て見ぬふりをしたり、口を閉ざしているのです。
そして、自分がいじめの対象になったとしても、
だれも助けてはくれないのです。

私は、み~ちゃんに言いました。

み~ちゃん!

話してくれてありがとう! 私、今まで何も知らなくて
み~ちゃんのために、何一つしてあげられなかったわ。
本当にごめんね!

これからは仲良くしようね! 

うん! み~ちゃんが嬉しそうな顔でうなずきました。

み~ちゃんのおかげで、
いじめの実態や人間関係なんかが少しづつ分かってきました。

その日の放課後、私が靴置き場で履き替えをしていると、
み~ちゃんが嬉しそうに走って来ました。
美沙ちゃん!帰る方向一緒だね!
一緒に帰らない? いいよ、一緒に帰ろう、、、

でも、み~ちゃん!
私ね、今日は寄り道しないといけないの、、、
寄り道~?
下校時の寄り道は校則でダメってなってるよ!

そうだね、
でも私、井上君の処に行って学校に来るように話をしたいんだ~。 

・・・ ふ~ん、、、 じゃあ、美沙ちゃん

もしよかったら私も付いて行っていい?
井上君の家はよく知ってるから、私が案内するよ。
私からも来るように言ってみる。

・・・ 私とみ~ちゃんの思いが通じ合います。

じゃあ2人で一緒に井上君に学校に出てくるように話しようか~
うん、、、そ~しよう

私はその時、兄の言葉を思い出していました。
1人では出来ないこともある。。。
分かってもらって協力してもらうんだ。。。

お兄ちゃん!
私、今、協力してくれる人を1人見つけちゃったよ。

2人で色んな雑談をしながら井上君の家に向かいました。
私は花が好きなこと、
み~ちゃんはマンガのキャラを描くのが好きなこと、
お互いのお家で遊ぼうってことなどです。

み~ちゃんが聞きました。
美沙ちゃん!
なぜ昨日からセーラムーンの髪形をしているの?

私ね、正義の味方セーラムーンの月野うさぎのようになりたいんだ~、、
だからね、先ず髪型だけでもと思って変えてみたの!

ふ~ん、、、? そうなんだ、、、
美沙ちゃん! 似合ってるよ、とっても可愛い!

わ~ 照れちゃうじゃん 頭ポリポリ!

ありがとう み~ちゃん!

土手道から下り坂を降りていくと
少し広くなっている場所に出ました。
私は、この辺りは初めて来る処でした。

もう少しだよと行って、み~ちゃんがその方向を
指さしたので、その方向を見ると、

3人の男子がいます。

広場の隅っこの丸太の木の上に
3人の男子が並んで腰を降ろしています。

え~ あいつらだ!

なんでこんな処に、あいつらが居るんだろう?
ひょっとして私たちを待ち伏せして居たのだろうか?
それとも単なる偶然なの、、、、

み~ちゃんは緊張して、見る見る体が固くなっていきます。

向こうから6年生の3人組がニタニタと笑いながら
こちらに歩いて近づいて来ます。

み~ちゃんの体は間違いなく震えています。
声も出せない様子です。

やはり6年生の男子は大きな体に見えます。
特に河原せんべいの体は大きくて、いかにも怖そうです。
みっくんともう1人はザコです。
ボスは河原せんべい。。。。

河原せんべいが言います。

おい! 花!
お前、俺たちの事、せんこうにチクっただろう!
井上を俺たちがいじめてるって言っただろう。
そんなこと言ったらど~なるのか分かってんのか~

今日はトイレのモップはね~しな!
ど~すんだ! お前!
おい! み~! お前、花と仲が良さそうじゃんか。。。
こいつと仲良しになったらど~なるのかお前にも教えてやるよ!

み~ちゃんが、震えながら小っちゃくなって私の陰に
隠れるように回り込みます。仕方のないことです。
元はと言うと私のトバッチリで、こんなことが起きているのです。

み~ちゃん ごめんね!
私のトバッチリを受けちゃって、、、

私は河原せんべいに言いました。
み~ちゃんは関係ないんだから、この子には何もしないでちょ~だい。
そ~言って、み~ちゃんの前に両手を広げました。

なんだかとっても勇敢な素振りですが、
それは嘘で、
私は、み~ちゃんよりも緊張して心臓がドキドキして
破裂寸前で死ぬかと思いました。

あ~、、今日はウンチ付きモップはないし、
こんな体の大きい6年生の男の子が3人もいる。
一体、ど~しよう?

み~ちゃんは私の何かを信じているのかもしれない。
私はみ~ちゃんから信じてもらってるんだわ。
み~ちゃんを助けられるのは私しかいないんだ。

河原せんべいが私に近づいてきて、
そして、

ドスッ!  ウッ!

私のお腹の真ん中をグ~の手で思いっ切りパンチしました。
力の抜けたお腹の中に拳が深くめり込んで、中の何かを
ぐちゃっ!とつぶした感じがしました。内臓です。

私は、河原せんべいのパンチで後にお尻を突いて地面に倒れました。
お腹の奥の方からキューーーっと変な感覚が突き上げてきます。
お腹の底が熱く感じます。
何かが急ににゅるにゅると勝手に動き始めました。
腸が動いている、、、、、、
痛~い、、、、ではなく、  気持がいい~

お腹の中身がとっても気持が良いのです。
あ~ なんて気持ちが良いの、、、、、、、
それは私が極端な内臓フェチだからです。
力の抜けたお腹でその中にある内臓を強く刺激されるなんて
たまらなく快感なのです。

河原せんべいが、お腹を抱えてこけている私に向かって言いました。

なんだ! お前! 全然、弱え~じゃん!

口だけは達者らしいな!

俺たちのことをセンコウにチクるとこうなるんだ
よく覚えとけ! いいか!

その時、み~ちゃんが私に走り寄って
私の肩に両手を掛けて心配そうに言いました。

美沙ちゃん! 大丈夫? 痛くない?

なんだ、み~ お前も花なんかと仲良くしてると
痛い思いをするぞ! 分かってるのか!

2度とチクれないように、もう1発 パンチしてやるよ!
そ~言って、河原せんべいが私にまた近づいてきます。

止めて!

美沙ちゃんにもうこんなひどいことをしないで
美沙ちゃんは私の大切なお友達なんだから
もう止めて! お願いだから、、、止めて、、、、

そう言って倒れている私の前に両手を広げて
立ちふさがりました。


なんだ、み~  お前もやられたいのか?


どけ!


そう言ってみ~ちゃんの体を突飛ばしました。
み~ちゃんはその勢いで
私の後ろの地面に尻もちをついてしまいました。


あっ! み~ちゃん! 


私は河原せんべいの顔をにらみつけました。

なんだよ、花、、、、その目つきは?

私は背中のランドセルから手を抜いてゆっくりと立ち上がりました。

おい! 河原せんべい!

河原せんべい~? なんだそれ?

お前の顔が河原せんべいにそっくりなんだよ!
だからお前は河原せんべいなんだよ!

はあーーーーーーーーーーーーあ~、、、、、、、?

おい花! お前、気でも狂るったんじゃね~のか?
俺に向かってそんなこと言ってタダで済むと思ってんのか?

私、悪かったわ、じゃあ訂正するよ。

河原せんべいが迷惑だって言ってるよ!
お前の顔になんて似ててな。。。。。。

なに~ 言わせておけばいい気になりゃがって、、、
もう許さね~ぞ、、花!

俺の強力パンチくらえ!

そら! ぶ~ん、、、、、しゅっ!

私はさっと身をかわしました。

え? 河原せんべいが何か面食らった様子です。

えい! ぶ~ん、、、、、しゅっ!
この野郎! ぶ~ん、、、、、しっ!

そら! ぶ~ん、、、、、しゅっ!
ど~なってる! ぶ~ん、、、、、パっ!
チクショウ、、、ぶん、、、、、さっ!

河原せんべい! あんたなにしてんの? 
1人でなに踊ってんの?

おい! お前らも花をやっちまえ!

やれ~~~~~~~え! やるんだ!



側に居たザコ2人は、ぼけ~っとして河原せんべいと私を
見ていましたが、状況を理解したのか、2人も一緒になって
私に殴りかかってきました。

でも私には、2人の動きも全て読み取れました。
兄から昨日教わった感覚を思い出しました。
それは相手の気を読むこと、
殴りかかってくる前の動作を先読みし、
相手に気を合わせ身をかわすだけです。
体の力を抜いて相手を感じて自分が空気の中を泳ぐように動くのです。




お兄ちゃんは、相手をよく見るというのは
相手を感じることだと言ったわ。
あの時の感触なんだ。。。相手を感じる、、、体の力を抜いて、、、

例え相手が3人居ても、
同時に殴りかかって来ることはないんだとその時に分かりました。
結局は一瞬は1対1なのです。
だったら相手が例え3人居ても結局は1人と同じなのです。。。

やあ! この! えい! そら!
えい! ぶ~ん、、、、、しゅっ!
この野郎! ぶ~ん、、、、、しっ!
えい! なんで当たらない、、、、この~
そら! ぶ~ん、、、、、しゅっ!

私は3人のパンチを全てかわしました。
お兄ちゃんのパンチよりもはるかに遅いパンチで
簡単に身をかわすことが出来ました。

当たれ! この野郎! ぶ~ん、、、、、サッ!

私が身をかわすと河原せんべいのパンチが後に居た
ザコ1人のあごに当たりました。
ザコは吹っ飛んで地面に転がります。

なんでお前そこに居るんだよ!
そんなところに居るから俺のパンチが当たるんだろう!
お前が悪いんだからな! 

えい! ぶ~ん、、、、、しゅっ!
この野郎! ぶ~ん、、、、、しっ!

今度はみっくんのパンチが河原せんべいのあごに当たりました。
バシ! 鈍い音が聞こえました。
かなり強烈です。

痛てーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

なにすんだよ! このバカ!
俺を殴ってど~すんだよ?
河原せんべいはそ~言って、みっ君の顔を拳で殴り返しました。
みっ君は吹っ飛んで地面に倒れて鼻血が滲んでいます。

この野郎! 
なんて逃げ足の速い奴だ、、、、、、腹の立つ奴だ!

ど~なってる! ぶ~ん、、、、、パっ!
すばしっこい奴だ、、、、この~ えい!
こんチクショウ、、、ぶん、、、、、さっ!
全然だめだ! なんでだ!
この~ エイッ!  ぶ~ん


何度やっても同じです。
当たりません、
河原せんべいの顔がせんべいではなく、
本当の赤色の瓦のようになっています。
荒い息でフウフウと犬が呼吸をしているみたいです。

それでも何とか私にパンチを当てようと必死になって
止める気配はありません。

もうブチ切れた! 絶体に当てる!
やあ~っ! ぶ~ん さっ、、、

ドス! 私の平手腹パンチ! 

ゲッポッ!


うっ! うーーーーーーーーーーーーーーーーーーう!


ドサ! 河原せんべいが地面に倒れました!

河原せんべいは何とも言えない顔になって
ザコ2人と地面を這いまわっています。
3人は尻もちを着いた状態で互いに寄り合って息を切らせています。
何がどうなってるのか信じれない様子です。


私は、そんな3人に歩いて行きました。
み~ちゃんが私の後から恐々ついて来ます。

3人は言葉が出ず、ほっぺが痙攣しています。

私は3人に言いました。

力いっぱい大きな声で、

こらーーーーーーーーーーーーーーーーあ!

3人が一瞬、飛び上がりました!

お前ら!

耳の穴、こっぴろげてよ~く聞きゃあがれ!
お前らのやってることはな、男じゃね~え!

本当の男ってのはな、
女の子にはいつだって優し~くするもんなんだ!

女の子に暴力を振るうなんて男どもはな、
男の片スミにもおけね~! 私が許さねー!

おい! いいか!
河原せんべい!

最初はお前のパンチをわざと受けてやったんだぞ!
だがな、あんなへなちょこパンチで私がやられると思うんじゃね~!

おい!そこのザコども!
いつまでもこんな奴とツルんで皆の嫌われもんになってんじゃね~よ!
みっ君って言ったよな!
私のクラスの妹が泣いてるぞーー!
少しは妹のことも考えな!

いいかお前ら!

いじめはよくね~  人を傷つける悪いことなんだ!
分かってほしんだよ!
お前らも同じ学校だろ~が?
だったら、みんな友達じゃね~か!

今後一切いじめなんてケチな真似をすんじゃね~
私のクラスの井上やみ~ちゃんをいじめたら私が承知しね~からな!

今度はパ~ じゃなく グ~ だからな!

いいか! 分かったか!

私は胸の前で右拳を握り一歩前に出ました。

3人は地面に尻もちをついたままで後すだりしました。

私は力いっぱい大きな声で言いました。

わかったかーーーーーーーーーーーーーーあ!

はい! 3人一斉に

河原せんべいが何か口をもごもごさせています。

何か言いたいことがあるなら言ってみな!

あ、あの~ 花! お前、、、、お前、、、、

花か?

な~に訳の分かんね~こと言ってんだよ!

じゃあ、教えてやるよ!

私は、セーラムーン、野々村美沙だ!

それに、友達の同じくセーラムーン、山口美香!

じゃあ、私たちは井上の家に行くからな!

今言ったこと、忘れんじゃね~ぞ! いいな!

さあ、、、行こうか、、、、美香ちゃん!

うん!

私たちは井上君の家に向かって歩きましたが、
少し、沈黙が続いて互いに何かを考えていました。

私は言いました。

み~ちゃん!
これから私、み~ちゃんのことを美香ちゃんって呼んじゃうけど、、、

いい!

うん! いいよ、美沙ちゃん!

美香ちゃんが、私の横から私にくっ付くようにすり寄ってきます。

美香ちゃん!
スッゴイ勇気があるわね! あの時、私の前に立ちはだかって
私を助けようとしてくれたんだもん。
私、とっても嬉しかったわ、
ありがとう!美香ちゃん。

井上の家は木造2階建ての比較的新しい家でした。

玄関のチャイムを押すと、感じのいいお母さんらしき人が出てきました。
私たちはお母さんに井上君に合わせて欲しいと言ったのですが、
結局は会えずじまいでした。

お母さんが言うには、
今日、担任の伊藤先生が来てくれたそうですが、結局は
先生も会わずじまいだったようです。
伊藤先生は2回目で毎日来ているようでした。

お母さんが、申し訳なさそうに何度も頭を下げて
謝ってくれてました。

仕方なく私たちは帰ることにしましたが、
ふと、2階の方を見ると誰かが私たちを見ていて
直ぐに顔を隠したのが分かりました。

井上に違いありません!

私は2階に向かって大きな声で言いました。

井上君!
学校に来なよ!
私たちは井上君が来るのを待っているんだよ!
明日、学校で待っているわ!

美香ちゃんも大きな声で言いました。
井上君!
私も井上君が来るのを待っているよ!
だって、井上君が居ないと教室が静かすぎて面白くないもん!
皆だってそうだと思う、、、、だから
私も美沙ちゃんも、井上君の仲良し男子も、先生も
み~んなが井上君が来るのを待っているんだよ!
だから明日、クラスを明るくしに来てくれない!
待ってるからね!

わ~ 美香ちゃん! すごいよ~

私なんかより、めちゃめちゃ説得力あるじゃん!
私は美香ちゃんに抱き着いちゃいました。

美香ちゃん~ 大好き!

いこうか、うん!

美香ちゃんと私が、例の広場まで戻ってくると
意外な光景が広がっていました。

えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

なによ、あれ? ど~なってるの?

河原せんべいら3人が中学生らしき6人に取り囲まれて
フクロにされています。

いじめっ子がいじめられてる!

一体、ど~なってるのよ、、、、、

美香ちゃん、来ちゃあだめ! ここに居て!
そう言って私は走りました。

こらーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ!


止めてーーーーーーーーーーーーーーーーえ!
もういいでしょう!

もうそれ以上は叩かないで、、、、止めて、、、、
そんなに頭を叩いたら、バカになっちゃう!

この人たち小学生なんだよ! もうやめなさい!

はあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ~?


なんだお前は?

私はこの3人の同じ学校の生徒。
そして、
正義の味方セーラムーンだよ!

。。。・・・、、、、????????????

・・・?

このツインテール見えないの?

キャハハハハハハッ、、、、、、、、

おもしれ~ セーラムーンごっこか~

6人のボスらしきピーマンみたいな顔の奴が
笑いこけて言います。

おい、おい、今の聞いたか?
正義の味方セーラムーンだってさ!

俺たちに、もうやめろ! ってさ、、、、なんだか命令してるみたい、、、
で、止めなかったら ど~すんだよ?
な~? セーラムーンのお嬢ちゃんよ!

あんたたちを、やっつける!

はあーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ?
俺たちをやっつける~、、、、、

キャハハハハハハッ、、、ハハハハ、、、、、

あのな、お嬢ちゃん!
お嬢ちゃんはお家で、おままごとして遊んでな。。。。
セーラームーンのお人形遊びかな~、、、テレビかなCDかな、、、、
こんな処へ来てはダメだよ! な!
早くそこのお友達とお帰り、な! そ~ら行った、行った!

なんでこの3人を殴ってるの?
教えて!

はあ~ なんだお前、、、

チェッ! うるせ~ガキだな、お前!
こいつらは約束守んない悪い奴なんだ、
お金持ってくると言ったのに持ってこね~んだよ!
分かるだろう、、、お嬢ちゃん!
約束破ったら、お仕置きされても仕方ないだろう
そう思わない?

うん! そ~思うわ!

そうか、なかなか物わかりの良いお嬢ちゃんだ!
じゃあ、バイバイ!

あの~ もう一つ質問してもいい?

なんだ? ひつこいガキだな! 言ってみろ!

中学生が小学生を脅してお金を巻き上げようとして
お金を持って来なかったからフクロにするって良い事なの?
それも6人ツルんで。
もし悪いことならそのお仕置きはど~なるの?

はあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ~?

お前! 何言ってんだよ!
生意気なガキだな、お前!
お前も痛い目に合いたいのかよ!
女だって容赦しね~んだぞ! 
俺たちは中1じゃあ一番強えんだ! 皆から恐れられられてんだゾ!

強い人は自分のことを強いって言わないって
先生が言ってたよ!

うるせ~! しつこいガキだな! 
早くどっかへ行っちまいな! シッ! シッ!

私は倒れている3人を背にして両手を広げて立ちふさがりました。



止めてください。

中1のピーマンが私に近づいてきて、
私の力の抜けたお腹にパンチしました。
握った拳が柔らかいお腹に食い込みました。

ドボっ! ぐちゃ! ウッ!

あっ! 美沙ちゃ~ん、、、美香が叫びました。

勿論、私はそのパンチをかわせたのですが、
あえて、1発は受けました。

キャーーーーーーーーーーーーーア~ (わざと)
ウーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ! (わざと)

クックックッ、、、、、、、、苦しい、、、  (わざと)

私はお腹を両腕で抱え込み九の字になって、
その場にしゃがみ込みました。

クックックッ、、、、、、、気持ちいい、、、 (本当)

お腹の中の腸がつぶれるように圧迫されて、腸が
強く刺激されて勝手によじれるように動いています。
あ~ 気持がいい、、、、、、
体の奥から温かい何かが全身に広がっていくのが分かりました。
この快感、、、、、いいな~ いい、、、

ピーマンが私を見下ろして言います。
だからな!
お嬢ちゃんは引っ込んでろって言ったじゃん!

私はす~っとピーマンの前に立ち上がりました。

ほ~ まだ足りないのか?
じゃあもう一発とっておきのをくらわしてやるよ!

えい! ぶ~ん さっ!
あれ? どこだ?
ピーマンはパンチが空振りしてバランスを崩しました。
・・・ ?
このチビめ! それ! ぶ~ん さっ!
あれ? どこ行った?
やあっ! ぶ~ん すっ!
・・・ ?


すばしっこいガキめ!
やっ! ぶ~ん すっ!
・・・ ?


おい、お前ら、なにぼけ~っとしてるんだ!
捕まえろ! やっちまえ!


えい! そら! ぶ~ん、ぶ~ん さっ! スッ!
あれ? どこだ? ここだよ、、、
このチビめ! それ! ぶ~ん さっ!
やあっ! エイ! ぶ~ん すっ!
バカン いてーーーーーーーーーえ! 俺だ!
間違えるな! で、どこ行ったチビは、、、、
ばしん、ガン、俺だってば、痛ッ! 

・・・ ? ど~なってる?
えい! ぶ~ん さっ! 
どか~ん! イテっ! 俺を殴んな~
あれ? どこだ?
このチビめ! それ! ぶ~ん さっ!
やあっ! ぶ~ん すっ!
・・・ ?

6人の中学生が息を切らせて、ふらふらになっています。
互いの拳が当たって痛そうに顎をおさえています。

両ひざに手をついて下を向いたままで
粗息をしています。見るからに苦しそうです。

私は、全然の余裕でそんな6人の前に腕を組んで立ちました。

そして大きな声で言いました。

おい、お前ら!

中学生にもなってバカやってんじゃね~よ!
6人ツルんで小学生をいじめて金取るなんて、許せね~
最低のくだらね~奴がやる事だ!
中学にもなってそんなこともわかんね~のか!
お前らみたいな奴はな、
この私がお仕置きしてやるしかね~!

今度は、容赦しね~ぞ、それを覚悟でかかってこい!
(あ~ またヤンクミが出て来ちゃう)

ピーマンが言います。

こんなガキ女1人に俺たちがやられる訳ね~
おい! やっちまえ!

私は身をかわすだけじゃあなく平手で反撃しました。
一瞬の事でしたが気付くとピーマン1人しか残って
居ませんでした。
他の男子はお腹を押さえて地面に転がっています。
私のシャープな平手打ちが決まったのです。

ピーマンが、
大きな動作で拳を振り上げて向こうから走ってきます。
は~ なんだこれ、、、気を読む以前の問題じゃん。
隙だらけ、

やあーーーーあ! ぶ~~~ん 拳が大きく宙を回って来ます。

私は、シュッ!と身をかわして
かなりシャープな突きを拳で鳩尾に入れました。

ピーマンは、うぎゅ!と変な声を出して
崩れるように私の足元に倒れました。

ピーマンの勢いと私のシャープなパンチが重なって
かなり大きな力が鳩尾にかかったのかな~と思いました。
それと私の斜め下からの突き上げも効いたのかもしれません。

ピーマンは本当に苦しそうでお腹を押さえたまま
うめき声を出して動けません。

私は、地面に倒れて見ていた他の5人を見て言いました。


まだ、やるのかーーーーーーーーーーーあ!
大声で睨みつけました。

すると後ずさりしたかと思うと大慌てで起き上がって
5人は互いに違った方向に逃げていきました。


おい! ピーマン!
痛いだろう! 悪かったな! つい、グーでパンチしちまった!
でもな、この痛さ忘れんじゃネ~ぞ!

お前が痛いよ~に、こいつら3人だって痛いんだ!
人は殴られたら、痛い!
そんなことをしたら皆に嫌われるだけじゃね~か。

いじめなんてケチな真似はもう止めろ!
そんなことでツルんでる奴は本当のダチじゃね~だろう!
その証拠にみんなにげちまったじゃね~か、
お前だって分かってるだろう。

私たちは下級生だけど、お前さえ良かったら
ここに居る皆で、お前の本当のダチになってやってもいいんだぞ!
こいつらお前の同じ学校の後輩だろう!
大事にしてやりなよ!

ピーマンが私の顔を見て言います。

お、お前は、一体、だれなんだ?

私は、さっきも言ったろう、、、、、

私は正義の味方、セーラムーン、野々村美沙だ!
こっちは私の大好きな友達のセーラムーン、山口美香ちゃんだ!

ピーマンは地面に座り込んでいる6年生の3人の方を向きました。
3人はこわばった顔をして後ずさりをしました。

ピーマンが言います。

悪かった! ゴメン! 今までの事、謝るよ!
本当に俺ってど~かしてた。許してくれ?
そ~言って、頭をペコっと下げました。

3人はお互いに顔を見合わせましたが、一緒に首を
縦に振って少し照れくさそうに、にっこりと笑いました。

よ~し、これで仲直りだ!

おい! ピーマン!
お前は私が思った通りのいい奴だ!
今のお前、恰好いいじゃんか! 
よし、じゃあ、ここに居る皆はこれからダチってことでいいな!

これからは、いじめなんてケチな真似は止めて、
いじめを無くすように頑張って行こうな!

ピーマンが私に言います。

それはそうと、美沙!
お前は何年生なんだ!

え? 私? 高2 と言いかけて、
思い直して小5だよと言いました。

えーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

小5ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーお!

なんで美沙、お前、そんなに強え~んだよ?

何度も言わせるんじゃネ~!
私はセーラムーンなんだよ!

夢と幻想の森