(前回ストーリー)森での出来事 転校生(10)忍恋(高2の小5)

かたじけない!

腹は、もう治った!

わらわは、家に帰る!
そなたも、一緒に飯でも食って参るがよいぞ!
父上や母上に説明の義もあるであろう。
遠慮はいらぬ!

・・・

え? (俺)
えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

缶コーヒー、参るぞ!

・・・

俺たち二人は、互いに並び2つの自転車を押して
ムシ子?の家に向かって帰りました。

俺は、一度帰宅し自転車で来ていました。

しばらく無言のまま、二人は歩きました。

・・・

と、その時です。

缶コーヒー、あれを見るがよい!
真っ赤な夕陽じゃ、
この時代の夕陽も美しいのう~
後ろに束ねた黒髪がそよ風に舞っています。
お方様は、その夕陽を遠くに見つめて言いました。

・・・
一句できたぞ!
・・・

「沈む陽に 面影追いし 忍恋」

・・・

缶コーヒー、
真の恋とは、忍恋ぞ!


—————————–(前回 ↑ )———————–

二人は横に並んで自転車を押して無言のまま歩きました。

俺の頭の中は、
先程のムシ子とのことでいっぱいでした。
それもそのはずです。
俺の口の中には、まだムシ子の味が残っているのです。
なんとも言えない甘酸っ~ぱい肌の味が、
微かにですが口の隅々に残っているのです。

そればかりか、あの生温かい腸の感触が
指先や手の中に残っているのです。
あまりの強烈な出来事で、まだ興奮が収まっていません。

まだ、岩のままです。

・・・

さっきのはムシ子に間違いない!
あの満月の蛍の舞う夜の、ムシ子だ!

でも、

ここに居るのは、お方様、お市様です。

てことは、まさか、、、、さっきのも、

お市様!

えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

嘘、、、

でも、まさか、、ひょっとして、、、
もしも、お市様だとするなら、、、俺、、俺、、
俺、ど~しよう?

恐れ多くも、身分高き本物のお市の方様なんだ!

絶対に、打ち首!
あ~ 考えただけで、恐ろしい!
俺って、なんてことしたんだろう!

・・・

・・・

いや、待てよ!

やはり、あれはムシ子だ!
あの満月の夜の俺たち2人の事を、
あれ程詳しく話した。。。
いくらなんでも、今のお方様は知らないはずだ。

それに、あの肌の味、匂い、腹部の感触の全てが
間違いなくムシ子の物だ。
あの満月の夜のムシ子のものだった!

ムシ子が俺の前に現れたに違いない。
俺は我慢できない程に、ムシ子に会いたくて、
だから、ムシ子が俺に会いに来たんだ。
いや、俺がムシ子を呼び出したのかもしれない。

・・・
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・・・

そ~だ、
お方様も言ってたではないか、
ムシ子殿の願いだと! ムシ子殿の想いだと!

だとすると、ムシ子に決まっている。

あ~ ムシ子! ありがとう!
会えて嬉しかったよ。。。
つい、Hなことしたけどさ、ゴメンな!
俺、興奮しててさ、抑えきれなかったんだ。
本当に悪かったよ。謝る。ごめん!

・・・

・・・

・・・ でも、

ちょっと待てよ!

あの時、確か、、、お方様は、、、

分からぬか? 缶コーヒー!
ムシ子殿の願いじゃ! ムシ子殿の想いじゃ!
この体の中におる、ムシ子殿が望んでいるのじゃ!
そして、そして、わらわもじゃ、、、って

そ~言ったよな!

そして、わらわもじゃ、、、って確かに言った!
わらわもじゃ?
わらわもって、、お市様もってこと?

えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

それって、
お市様の願い! お市様の想いってこと~?

一体、ど~解釈したらいいんだ?

お市様は、はらわたの痛みのために、
俺に、はらわたを揉ませ、掴ませ、つぶさせた。
激痛を抑えるために、俺に命じてそ~させたんだ。

俺はそれに従った。
でも、物理的に言うと体は1つだから、
あれは、ムシ子の内臓、ムシ子の腸でもあるんだ。
と同時にお市様の物でもある。。。
あ~ わかんね~

それに、俺は、それ以外の行為として、
その体に、口づけしたり肌を舐めたりの、
めちゃめちゃHをしてしまった。
それは、ムシ子の肌でもあり、お方様の肌でもあるんだ。。。
それも、お方様の願いなのか?
わからない?
ど~解釈すればいいんだ?

・・・

お方様は、俺に、おかた様の事が好きかと聞かれた。
そ~言われた後に、俺に言った、
はらわたを揉んだまま口に接吻し、
首筋やうなじを舐めて、体を固く強く抱きしめるのじゃ!
それが、偽りでない証じゃ! と。

・・・ あ~ 何が何だか分からない?

俺の頭では無理。

とにかく、
同じ一つの体の中に2人の人間が居るんだ。
ムシ子とお方様。
でも、あくまでも体は1つ!

ムシ子とお市様の二人が1つの体の中に居る!

てことは、俺は2人の体に同時に変態的なHを
してしまったことになる。H2か。。。

しかも、その肌の味が今も口の中に残ってる。
指に触れる腸の感触だって生々しい。

この口の中に残る味が、
ムシ子のものと思えば、
甘酸っぱくて爽やかで草木が芽を吹くような味だ。

だが、これが、お市様のものだと思えば、
甘~く、とろける蜜のような味に思えてくる。

確かに、味や感触は違う。

どちらにしても、俺の岩は未だ納まらない。

あ~ なんて俺はスケベなんだろう。。。

・・・

・・・ は!

あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ!

大変だーーーーーーーーーーーーーーーーあ!

ど~しよう!

大変な問題がまだあるぞ!

俺は間違いなく、殺される!

あいつが、あいつが居る!

おっかね~奴が、、、、、、、とんでもね~奴がいる!

あいつは、きっとお方様が言ってた、
もう一人の美沙だ!
初対面の、超おっかね~奴!

あいつは言ってた。

おい! お前!
空き缶野郎!
これ以上、私に付きまとうと承知しね~ぞ!
この次は、ぶっ殺す! って。

怖い、めちゃめちゃおっかねえ~


このクソ缶野郎が!
私の前から、その薄きたね~ツラ消しゃ~がれ!
この空き缶変態やろう!分かったか! って。

うわーーーーーーーーーーーーーーあ!
最悪だーーーーーーーーーーーーーーーーーあ!
とんでもない奴が、もう一人居るぞ。

もし、あいつが、さっきこのことを知ったら、、、

間違いなく、俺は、ズタズタにされて、ぶっ殺される!

この味は、あいつのものかもしれね~
まるで、突き刺すような強烈な味で、
それでいて、何故か、優しく包み込むような不思議な味だ。

同じ体なのに、人が違ってると思うだけで、
こんなにも味が違ってくるのか?

どちらにしても、
俺は、
一度に3人の女にとんでもない変態的Hをしてしまったのか。H3だ!
こんなことになるなんて信じられない!

・・・

・・・ 家の前に来ました。

缶コーヒー、
そなたから今日1日の事を父上と母上に
説明するのじゃぞ。
・・・
先程の事は話さなくてよい!
・・・

わらわは、今よりムシ子殿になる。よいな!
あ~ ムシ子殿が、、、奥から現れるてくる~

・・・

え~ 切り替えが出来ちゃうの~? 嘘だろう?

・・・

・・・

・・・ ガラガラガラ(玄関の戸を開けます。)

・・・

ただいま~~~~~。。。(私)

あら、美沙、お帰りなさ~い!(母)

マサキさんも一緒なのね!
二人の帰りを待っていましたよ。

マサキさん、お家の人にはここへ来ること
伝えていらっしゃるのですか?

あ、はい! (俺)
僕は一旦帰宅してここへ来ています。
心配いりません。

そ~ですか、では、もし差し支えないようでしたら、(母)
食事も一緒にど~でしょう?

はい、ありがとうございます。(俺)

それは良かったです。(母)
食事の用意が出来ているんですよ。
今日は、おでんなんです。
一緒にみんなで食べましょうね。

さ~ マサキさん!
ど~ぞ、お上がりになってください。

はい、本当にすみません。(俺)
それでは、失礼します。

台所に入ると、
お父さんが、新聞を広げて食卓に座っています。

お父さん、 (私)
ただいま~あ。。。。

おう、美沙か、おかえり。(父)
マサキ君も一緒だな。
さあ、マサキ君、遠慮なく座ってくれ!

・・・

マサキ君!
今日1日、美沙のために、ありがとう。
大変だったろう。
本当にご苦労さんだったね。

で、マサキ君!(父)
、、、ど~だった。美沙は?

ムシ子のお母さんが、台所に向かったまま、
一瞬、手を休めて背中越しに聞いています。
両親が心配しているのが伝わって来ます。

はい。(俺)

大丈夫でした。
ただ、校門の手前で美沙さんと別れたのですが、
美沙さんは、その後、自転車でこけたようです。

あ、
心配いりません。お怪我はありませんから。
その後も、
元気過ぎて、廊下を猛スピードで走ってたようです。
股聞きですが、皆が跳ね飛ばされたとか、、、、

それに、
授業中は、静かに先生の話を聞いていましたし、
特に、問題はありませんでした。
僕は、美沙さんの隣の席です。

(日本史の授業の事は特に話しませんでした。)

そ~かね。(父)
相変わらず、そそっかしい奴だ、
でも、安心したよ。
実は私たちは、美沙の事が心配で心配でね。。。
私は職場で仕事にも手が付かなかったし、
家内もね、
家に居て心配で、私に何度も電話をして来てたんだ。

でも、本当に良かったよ。 うん、うん、、、
そ~か、、、 よかったよ、 うん、うん、

マサキ君! 本当にありがとう!

いえ、僕は特に何もしていません。(俺)
(いや、先程、超Hなことをしました。)

・・・

ムシ子は会話を白けた顔で、じ~っと聞いていました。

・・・

お父さん、お母さん、(私)
そんなに心配しなくて大丈夫だよ。
私はもう高2だよ!
いつまでも子供じゃないんだから。。。
でも、心配してくれてありがとう。

あ~ お腹ぺこぺこだわ!
お母さん、私の好物の大根いっぱい入れてくれたの~?

はいはい、勿論ですよ。(母)
美沙の大好物の大根は厚切りにして、
いっぱい入れていますよ。

わ~ 嬉しい!

・・・

・・・ 大きな鍋が食卓中央に置かれました。

・・・

わ~ おいしそう。。。(ムシ子)
いっただきま~す。

ガブガブ、パクパク、、、ガブガブ、、、

あ~ 美味しい。。。。お母さん、お代わり~

パクパク、、、ガブガブ、、、

お父さんと俺の目が一瞬合いました。

美沙! マサキ君が居るんだぞ!(父)
もう少し、ゆっくりと食べれないのか!

え? (私)

私はお茶碗に口を付けたままで
目で周囲をクルクルと見渡しました。

すると、3人が、ぽか~んと口を開けて、
呆れた様子で私を見つめています。

ど~しちゃったの、みんなお腹空いてないの~?
食べないなら、私がぜ~んぶ食べちゃうよ。
いいの?

ガブガブガブ、、、パクパク、、

・・・

あ~  美味しい。。。パクパク、、

処で、缶コーヒー、(私)
あんた、おでんの具の中で何が一番好きなの?
私は、大根!
但し、お母さんの作るおでんに限ってだよ。
固くもない、柔らか過ぎでもない、この厚切りの大根!
最高なんだ~

お母さん、お代わり~ パクパク、、モグモグ、、

俺は、ムシ子と違って、コンニャクかな~?
柔らかで、それでいて弾力があってさ、しこしこ感もあって、
それにさ、あのプルプルってかさ、
ぬるぬるって感触が大好きさ。

ふ~ん。。。(何かを探っているよう。。。)

ムシ子が、一瞬、俺の顔をチラリと見ました。(スケベ野郎!)

(あー―――あ! ムシ子!お前、何か勘違いしてる。。。)
(まさか、、でも、なるほど、、、)

そ~だったのか? (父)
マサキ君もコンニャクが好きなのか?
実は私もなんだ。
俺たち気が合うな!
コンニャク友達か! アッハ、ハッ、ハッ、ハッ、、、、

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ムシ子が俺に向かって言いました。

コンニャクは、お腹の中の腸にいいもんね~
腸を活性化して、腸の中をキレイにしてくれるんだって。。。

そ~言って、ムシ子が、又、俺をチラリと見ました。(スケベ!)
(ムシ子~~~お! 腸だなんて俺に皮肉ってんのか~)
(でも、な俺も知ってる、、、。)

ムシ子がシャクでコンニャクを掬い、
お父さんの茶碗に入れます。
はい、お父さんの好きなコンニャクだよ。

おう、すまんな。(父)
美沙、マサキ君にも取ってあげなさい!

じゃあ、缶コーヒーにも、、はい!

・・・

は~~~~~~あ、 ムシ子、
これ、、、ちくわじゃん。

缶コーヒーは、こんなのも
好きなのかな~って思っちゃってさ。。。(H君、ど~ぞ)
だって、ぷるるんっとしてるでしょう、、、
形は長くて、柔らかい筒状だけどね~。ニタ
それに食べ物に偏ってはだめだしね、
母のちくわもお勧めだよ!

・・・ う、、、

そ、そっか~
じゃあ、ぷるるんちくわいっただきま~す。

(おい、ムシ子、お前、なに考えてんだよ!
何かに例えとんか?)

缶コーヒー、
ホルモンも取ってあげようか?

え、えーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

そんなのあるの~?

ナイ!
あるわけないじゃん!(変態!)

(ムシ子! 止めんか~ 食べ物だぞー! 悪趣味!)

お父さんが言います。

処で、先程から、缶コーヒーとかムシ子とか、
呼び合ってるけど、何だね?

・・・

はい。。。実は、、、

俺はムシ子と俺の、その名を呼び合うようになった
経緯を説明しました。

学校で、授業中やそれ以外でも俺の事を
完全無視し続けて来たので、
俺がムシ子と呼ぶようになったこと。

俺が一方的にテストの点数を競って
自販機の缶コーヒーを賭けたが、
その結果、
俺が全敗して、実際には缶のミルクティーをおごらされたこと。
だから、俺は缶コーヒーと呼ばれ始めたことの趣旨を
説明しました。

すると、

アッハ、ハッ、ハッ、ハッ、、、、 (父)

クスクスクス、、ケラケラケラ、、、(母)

お父さんが、大きな声で笑いだしました。
お母さんも、口に手を当てて涙を出して
笑っています。

それは傑作だ! いいね~ 青春は!

お母さんが、言いました。
マサキさん、
美沙はね、そのミルクティーを大切に
持って帰って、夜、部屋で勉強しながら、
一人でしっかりと味わって飲んでいましたよ。

もう、
お母~~~~~~さん!
余計なこと、言わないでよ!

ご飯、お代わりーーーーーーーーーーーーーい!

・・・

はいはい、3杯目ですよ。。。ど~ぞ、、、

・・・

雑談の中で楽しい食事が進んでいきます。

ところで、母さん、(父)
明日の茶席は欠席の電話を入れておかないとな。。。

そ~ですね、前日の欠席連絡で失礼になりますが、(母)
仕方ありませんね。

先方様には、私からよく事情を話しておきます。

うん、そ~しておくれ。。。。(父)

・・・

私は、聞きました。
茶席?
欠席って、なんのこと?

お父さんが言います。
あ~
実はね、前々から、横峯さん主催の、
お茶席にお父さんとお母さんが
招かれていたんだがね、
お隣さんの、おばあちゃんが3日ほど前に
市立病院に入院したんだ。
なんでも、腰痛が激しくなったとかでね。
実は私たちも、少し前に知ったばかりなんだ。

まあ、年齢も年齢だから仕方ないと思うんだが、
お隣さんだろう。
なにかと今まで、お付き合いをして来ているしね。
明日は休みだし。

で、先っき、お母さんと相談した結果、
お見舞いを優先しようってことになったんだ。
お茶席は、次回もあるかもしれないしね。

ふ~ん。。。

隣のおばあちゃん、入院しちゃったんだ。そっか~

・・・

お父さん、お母さん、
その茶席、私と、マサキ君が出席すること出来ない?

私はぜひ、
出席してみたいし、マサキ君もきっと そ~

え、えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

俺が~
(ナイナイ。。絶対ナイ!)

お父さんと、お母さんが意外な表情で互いの顔を
見合わせています。

私は聞きました。
その茶席には年齢制限なんかあるの?

いや~ そんなのはないと思うが、、、
でも、美沙! お前、お茶の作法なんか知ってるのか?
マサキ君も?

私たちは高校の授業で一通りの作法は習ってるわ。
それに、茶道部の人がやってるのも、そこそこ見てるし、

ね、
マサキ君!

え? ・・ あ、まあ、、、
(そんな授業はないし、茶道部なんて俺、知らね~、
だって俺、転校して来たばっかしだぞ~)

何事も経験だよ!
お父さん、お母さん、
いいでしょう。。。
私たちを、2人の代わりにお茶会に出席させてよ!
お願い! ね~ いいでしょう、、、

マサキ君だって、絶対に行きたいに決まってるし。。。
ね、お願い!

(こら~ 俺をダシに使うんじゃね~)

・・・

お父さんと、お母さんは顔を見合わせてしばらく
考えていましたが、
お父さんが言いました。

分かったよ、美沙!

じゃあ、
お父さんと、お母さんの代わりに、お前とマサキ君が
お茶会に出席してきておくれ。

その方が、先方さんにご迷惑をおかけしないし、
喜ばれるだろうからね。

(え、えーーーーーーーーーーーーーーーーーえ。嘘!)(俺)
(なんでこうなるんだよ~ 。。。)

横峯さんには、
よろしくお願いするように伝えておくからね。

あなた、美沙の服装はど~しましょう?
一応、正式なお茶の席です。
身なりは、キチットとしなきゃだめですからね。

う~む、、、

学生なんだから2人伴、制服でいいんじゃないか?

お父さん、
お母さんは、いつもどんな服装で行ってたの?

いつもと言われても、以前に1度おじゃましただけだし、
その時は、母~さんは、着物だったよ。
他の人も女性は着物が多かったな。
男性は洋服か和服の色々だったよ。。

お母さん、
私、お母さんの着物を着てみたいな。。。

え?

・・・

私の着物を美沙が。。。

・・・

美沙、、、

こんなに早く美沙が私の着物を着てくれるなんてね。。。
お母さんは、とても嬉しいわ!

・・・

分かりました。
私が、若い頃の振袖を着せてあげます。
もう昔の形でね、今風じゃないかもしれないけど、
ず~っと大切にとってたんですよ。

あなたが生まれた時から、この日のために。。。。

・・・ お母さんが、嬉しそうに微笑んでいます、、、

・・・

ありがとう、お母さん!

振袖か~ あ~ 私、楽しみだわ~

お母さんもよ、
美沙の振袖姿が、こんなに早く見れるなんて嬉しいわ。

・・・

母が言います。
明日、横峯さんの別宅で午前10時だから、
ここを、9時過ぎにタクシーで出発したらいいわ。
お父さんと、お母さんは、あなたたち2人を
見送ってから、お見舞いに出かけますね。

・・・

マサキさん、
ご無理を言って申し訳ありませんね。
それでは、明日ここへ9時に来て下さるかしら。
本当に、すみません。
マサキさんには美沙が無理やり押し付けたようで、、、
(はい、そ~です。無理やりなんです。)(俺)

でも、マサキさんもお茶が好きだったんですか。。。(母)

(いえ、そんなことはありません。嘘です!)(俺)
そ~ですか~(母)
マサキさんには何から何までお世話になります。
又、美沙の事を、よろしくお願いいたします。

・・・

あ、はい、
分かりました。
僕も明日を楽しみにしています。(してな~い。ど~しよう?)

今日は、
美味しいおでんごちそうさまでした。
じゃあ、そろそろ僕は帰ります。

・・・

じゃあ、明日9時頃お伺いいたします。
失礼いたします。

・・・

お母さん、
じゃあ、私、マサキ君をそこまで送って来るね。

・・・

二人は暗くなった夜道を少しだけ歩きました。

・・・
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・・・

缶コーヒー、
ど~であった?
わらわは、ムシ子殿になり切っておったか?

え、えーーーーーーーーーーーーーーえ!

お方様? 今のは、、、

そ~じゃ、
わらわじゃ、お市じゃ!
そなたには、苦労を掛けて申し訳なく思うぞ!

 

は!

ですが、お方様、
俺は、てっきりムシ子と思っていました。
先程の家でのことは、
全てお方様でいらっしゃいましたか?
信じられません。

そ~かもしれんな。。。
正確に申すと、わらわでもありムシ子殿でもある。
言葉では言い表せないのじゃが、
完全にムシ子殿になっていたり、
わらわであることもあるのじゃ。

少し心のゆとりが出来て来たようじゃ、
自分で人格の切り替えの調節が出来るようになった。

そ~ですか、、、人格の切り替えの調節。。。

缶コーヒー、
では、明日の朝、わらわを迎えに来てくれ。
良いな!

は!

あの~、お方様、私はお茶の経験は一度として
ありません。
お茶の作法は全く知りません。
茶席でど~したらよいか不安でたまりませんが。

心配せずともよい!
茶は、美味しく飲めば、それでよいのじゃ!
作法など、気にすることはない!

ですが、正式な茶席と言っておりましたので、
最低限の事は知っておかないと、やはりまずいような。。。

気にせずともよいと申しておる!

・・・

茶は作法で飲むものではない!
心で飲むものじゃ!

・・・

そなたは、戦乱の世を経験したじゃろ。
戦国の武将になったつもりで、一気に飲む干すがよい!
よいな!

は、はい!

では、わらわは、ここで家に戻るぞ!
今日一日、真に大儀であった。
かたじけなく思うぞ。

・・・

俺は、自転車で家路につきました。
すると、後ろから、お市の方様の声がしました。

缶コーヒー、
塀の中でのこと、あれはムシ子殿じゃ!
身も心も、まぎれもなく、ムシ子殿じゃ!

・・・

=====================

・・・

次の朝、
今日は、お父さんと、お母さんに代わって
茶席に出席する日です。

 

朝のすがすがしい光が窓から差し込んで、
気持ちのいい、澄み切った青空の日でした。
その朝私は、早く起き、母の食事の準備を手伝い、
家族3人でいつも通り食事をとりました。

ガブガブガブ、、、パクパク、、、ガブガブ、、
うめ~~~え!

それは、父さんの卵焼き! シャケも、、、(父)
おい、美沙、
その食べ方、何とかならないのか?

うん! ならない!

ガブガブガブ、、、パクパク、、、ガブガブ、、
美味しい~
お父さん、
今日はお茶会でしょう。
だから元気が出るようにいっぱい食べちゃうの。

は~?

お前な~ 食べ過ぎると、お茶が飲めなくなるぞ~
少しは控え目の方がいいと思うがな~

ふ~ん、そ~なの?
お母さん、お代わり、多めでお願~~~~~い。

・・・

ダメだ! こりゃ!

・・・
私は食事を終えて、自分の部屋に戻り
今日のお茶会の支度に取り掛かりました。

私は鏡に向かって長い髪をときました。
、、、自分がお市様になっていくように感じました。

だから、私は、
前髪を真ん中で分け、垂れた髪を掴んで
ハサミを入れました。
全く同じではありませんが、イメージ的に
お市様の髪形に、少し近づいたと思いました。

昨夜、母が用意してくれた振袖を
自分で着付けます。帯を固く結んで、
扇を帯びに刺します。
短刀はありません。

母が着せてくれる約束でしたが、
知らないはずの着付けには慣れていました。

何故か、
着物を着たことによって気持ちにゆとりができ
心が随分と落ち着いたように思えました。

あ~ きっと、お市様はセーラ服より
この着物を好まれているんだわ。。。

白いノートの紙をハサミで帯状に切り、
それを使って後ろの髪を束ねました。

鏡に映る姿は、まるで戦国時代の女性の様です。

・・・
私はしばらく鏡の中の自分を見つめていましが、
ゆっくりと立ち上がり、2階から
階段を下りて行きました。

母と父に、この姿を見てもらうためです。
1階の台所の居間に静かに入って行きます。

お父さんが、新聞を広げています。
お母さんが、食事の後かたずけをしています。

・・・

お父さん! お母さん!

これでど~かしら?
そ~言って2人を見つめました。

・・・

2人は、ほぼ同時に振り返って私を見つめました。

・・・

明らかに驚いた表情をしています。

・・・ 瞬きもせず私を見つめています。

・・・ し~ん

・・・

お父さん、お母さん、
これでど~お?

・・・

・・・ し~ん

・・・

ねえ、2人伴 ど~しちゃったの?

・・・

・・・ し~ん

・・・
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・・・
ねえ、お父さん、
そんなに自分の娘がキレイでビックリしちゃった?
きゃは、なら嬉しいんだけどね~

お母さん、
そんなに自分の娘の振袖姿が可愛い?
若い頃のお母さんを見ているようでしょう?

・・・ し~ん

そっか~
きっと、お市様だと思っているんでしょう?

美沙だよ。
ね~え、
私は、お父さんとお母さんの娘の美沙だよ。

この世で私の一番大切なお父さんとお母さんの娘の

美沙!

私だってばさ~
ほら、あっかんべ~  お尻ぺんぺん
お市様はこんなことしないってば、、、

・・・

美沙か?

うん!

でも、今、私の体の中にお市様が居てね、
今日のお茶会をとても楽しみにして
いらっしゃるの。
だから私は、
少しでもお市様の姿になってあげたいな~って
思って、髪形をいじっちゃったの!

今、美沙の体の中で、お市様が表に出てる気がする。
理由は分かんないけど、そ~なの。
美沙の体の中に、お市様が居るの。

お父さんが、言います。
美沙! 分かってるよ。
気にしなくていいから、お市様をしっかり
守ってさしあげなさい、いいな!

うん!

これからね、
お市の方様が直に話をするね。
聞いてあげてね。

・・・(人格の切り替え)

・・・

父上、
父上の優しさと思いやり真に、かたじけのう存じます!

母上、
母上の愛情の込ったこの大切な振袖を、かたじけのう思いまする!
そして、父上と母上が、今日の茶の湯の会を、
わらわに与えて下さったこと、真に嬉しゅう存じます!
わらわは長きにわたり、
茶の湯を心の癒しとしてき生きてまいりました。
それゆえに、今日は真に嬉しゅうてなりませぬ。
まるで、幼子の様に心が浮かれており申しておりまする。

父上と母上のこの度のお心使い、このお市は生涯忘れませぬ!

真にかたじけのう存じ上げます。

そ~言って、ゆっくりとその場に座り、
頭を下げました。

・・・

お父さんは、ビックリして、
慌てて新聞をサッと閉じ椅子から素早く降り、
床に正座し深く頭を下げてしまいました。

お母さんも慌てて、
洗ってた茶碗をカチャカチャと流しに置き、
その場に正座し、同じように深く頭を下げてしまいました。

・・・

お父さんが言います。
お市様! 今日のお茶会をど~ぞ、ごゆるりと
楽しんできてください。

ありがたき幸せ、真にかたじけのう存じ上げます。
父上、母上、ど~うか表を上げて下され。

・・・

両親が頭を上げると、お市様はゆっくりと
その頭を上げました。

・・・(人格の切り替え)

きゃはーーーーーーーーーーーーーーーーーあ!

お父さん、お母さん、
いつまでそんなところに正座しちゃってるの?
そ~言って、私はサッと振袖で立ち上がりました。

驚かせちゃってゴメンね!
もう美沙に戻ったから大丈夫だよ!

今日はね、私が、お市様にくっついて行っちゃうの。
お茶のお勉強をしてくるね。

お市様は茶の湯の席には慣れているのよ。
だから心配はいらないから安心してね。

話し方は。私が付いてるから大丈夫!
出来るだけだけど、変に思われないように
頑張ってみるからね。
それに、缶コーヒーも付いてるし。

と、その時です、
ガラガラっと玄関の扉が開きました。
お早うございま~す。
マサキです。
少し早いですが、やって来ました。

噂をすればッてやつだな!  (父)
こんにゃく友達が来てくれたか。
やあ、マサキ君、こっちだ、上がってくれ!

はい、それでは、失礼しま~す。

缶コーヒーが、居間に姿を現しました。

おはようございま~す。と言って、
私を見るなり、

わーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ!っと

大きな声を上げて、

ビックリして、2~3歩後ずさりをしてよろめき、
壁に背中をぶつけて倒れそうになりました。

お方様ーーーーーーーーーーーーーーーーーあ!
お市の方様ーーーーーーーーーーーーーーあ!

そ、そのお姿は、、、、?
そ~言ったかと思うと、直ぐに学生服姿の
ズボンを床に付け、頭を下げて言いました。

お方様、
今日の茶席、この缶コーヒー命に代えてお方様を
お守り申し上げます。
それが、この缶コーヒーの使命、
お方様の護衛役の務めでございます。
ど~か、ご安堵なされませ!

父と母がびっくりした様子で目をパチパチさせています。

・・・

缶コーヒー、
あんた、何言ってんの?
私よ、私! ムシ子よ!

まあ、心配してくれてんのはいいけどさ、
そんな変な喋り方止めてよね!
みんなに気が狂ったかと思われれちゃうよ。
でなくても、普段から頭おかしんだもんね。

はーーーーーーーーーーーーーーーーあ!

お前!
ムシ子なの?
嘘!

その着物、ど~したんだ? 振袖じゃん!
それにその髪型、本で見るような昔の髪じゃんか!
いつもの制服と違うじゃんか?

いいじゃん!(私)
お茶の席だしさ、着物の方がいいでしょう。。。

・・・

あ~
まあ、俺はいいけどさ、
けど、ビックリさせんなよな!
腰が抜けたかと思った。

アッハ、ハッ、ハッ、ハッ、、、、
父の大きな笑い声がしました。

・・・

マサキ君、実は私たちも今朝驚かされたところなんだ。
まあ今日は、申し訳ないが美沙の事、よろしく頼むよ。

・・・

護衛役さん、(私)
よろしくね~~~~~~~~~え。。。クスクス!

すると、母が
美沙!
顔をこちらに向けなさい。
高2のあなたに普通ならしないのよ、
でも今日は特別です。
そ~言って、私の唇に薄く紅を塗ってくれました。

・・・

美沙!
とっても奇麗だよ。
今日が心に残る日になるといいね。

お母さん、、、(私の目に涙が滲んで来ました。)

私は、両腕で母にそっと抱き着いてしまいました。
あったかい温もりを感じました。

お母さん、ありがとう!

玄関の前でタクシーの止まる音が聞こえました。
・・・

・・・
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