前回関連ストーリー⇒ 森での出来事(18)中2の私
私は野々村美沙。
美香ちゃんと私の、中間テストタイマンは結果を待つばかりです。
缶コーヒーは私が負けると思い込んで、私を守るために、
自分が犠牲になろうと覚悟しています。
そんな彼に、私は少しづつ心を引かれていきます。
ピーナツバターとでっぷりパンダが悪い奴らに絡まれている処に、
偶然に出くわし、とっさに波動の術を使ってしまいました。
すごいパワーアップされていることに、ビックリです!
こちらの世界の中2の私は、幼稚でダサイ赤点の勉強嫌いの少女かと
思っていたのですが、お兄ちゃんの出現で、
なんと私が、稀に見る天才少女だったと知りました。嘘みたい!
お兄ちゃんは、今井先生と合気道の新開発に取り組んでて、
実際にちょっとだけ、技を掛けてもらったのですが、
それがなんと、すっごいものでした。
私も、今井先生に会いたいと、お兄ちゃんに、ねだって、
山小屋に一緒に連れてってもらう事になっちゃいました。
こちらの世界での今井先生って、どんな先生なんでしょう?
あ~楽しみ!
————————- 翌朝
早朝、
お兄ちゃんの車で出発しました。
車にはお兄ちゃんの荷物がいっぱい積んでありました。
五月の空は澄み渡って、とっても気持ちのいいお天気です。
山小屋は私の行ったことのない山奥のキャンプ場です。
途中の駅で、紀子さんと合流する予定です。
私たちは、改札口の前で紀子さんの電車を待ちました。
田舎の無人駅には人は居ません。
お兄ちゃん、紀子さんて、どんな人?
ああ、とってもいい人だよ!
明るくて優しくて、正義感が強くて、合気道の天才かな~
お兄ちゃんと一緒にず~っと大学で合気道をやってるんだ!
ふ~ん
お兄ちゃんの大学では、みんな新開発をやってんの?
いや、今井先生に参加してるのは俺たち2人だけさ。
他の人はやってない。
まあ、、出来ないと言った方がいいかな~
ふ~ん そ~なんだ、、、
・・・
お兄ちゃんが、何だかソワソワした様子です。
・・・
電車が着き、
何人かの乗客がパラパラと降りてきます。
お兄ちゃんが、改札口に走って行き
身を乗り出してホームの方を見つめています。
・・・
ぅわっ! キレイ!
スラッとした体つきの美しい女性です。
向こうの世界での紀子さんより魅力的かも。。
デニムでまとめたラフな姿で、大きなリュックを背負って
お兄ちゃんに向かって、笑顔で手を振ってホームを走ってきます。
キラキラと輝いてるよう。
・・・
あ~ あれなら 無理もないか~ お兄ちゃん!
お兄ちゃんの体温が上がっちゃって、
それで、あんなに動いてる! なるほどな~
理論通りか~
・・・
改札口を出た処で2人は何かを話しています。
紀子さんが、じ~っと話を聞きながら、
チラッと私に目をやりました。
笑顔の紀子さんが私に駆け寄って来ました。
・・・
初めまして、坂田紀子です。にこにこ!
妹の美沙です。ペコ!
・・・
うわ~ なんて清楚で爽やかな女性なんでしょう。
私の様なガキとは全然違ってるわ。。。
完全に負けてる!
お兄ちゃんが、
さ~あ行こうか!と言って私の右手を繋ぎました。
左手を紀子さんが繋ぎ、
私は2人の間に手を繋がれて車へと歩きました。
え~ これじゃ私 まるで、ねんねじゃん!
・・・
途中、スーパーに寄って、野菜やお肉や飲み物やお菓子や、
色んな食べ物の買い出しをしました。
それと、ケーキ屋さんにも寄ってケーキをいっぱい買いました。
私はお菓子もケーキも自分の好きな物を遠慮なく
いっぱいカゴに入れちゃいました。ウッシッシー!
・・・
私たち3人は新緑の山道を車で、ぐねぐねと登って行きました。
とっても細い処もあります。
青葉や若葉の間から光が差し込んで、山全体が生き生きと
活気に満ちて輝いているようです。
私は、嬉しくなって、わ~い わ~い と騒ぎまくりました。
自分の子供っぽさに、呆れるほどでした。
お兄ちゃんたちも雑談に花が咲き、2人は前で大笑いしています。
・・・
紀子さんが、後ろに振り向いて私に言いました。
美沙ちゃん、歌や楽器が好きなんだって!
ぜひ聞かせて欲しいな~
私も楽器が大好きなの、でね、少し変わってるけど
昔からある横笛を吹くんだよ!
横笛?
そ~よ お祭りなんかで聞いたことないかな~
竹で出来た横笛なの。。。
竹?
そ~ 篠竹(すずたけ)と呼ばれる、女竹なのよ。
ササのことなんだけど、
柔らかで、ひなびた野趣のある音色を特色としている「篠笛」なの。
ふ~ん 聞いてみたいな~
今回、持って来ちゃったから、良かったら聞いてね。
やったーーーーーあ! 私、めちゃ楽しみ!
————————- 山小屋にて
車はキャンプ場を抜けて行きます。
キャンプ場にはポツポツとテントが張られていて
若い男女や、家族連れの子供の姿が見えました。
丸太やロープで出来た大きな遊具も見えました。
ちっこい子供の何人かがブランコに乗って遊んでいます。
私も乗ってみたいな~
・・・
山小屋はロッジ風の建物で、キャンプ場からは
離れた場所で、更に登った山奥にありました。
自然の真っただ中です。
私たち3人は荷物を持って、山小屋に入りました。
建物は大きな丸太造りで、どっしりとした広いスペースでした。
1階の広間は板張りで、料理が出来るような設備もあります。
うっわ~ すっごい! 素敵!
私は床の上で回ったり、跳ねたりして、はしゃぎました。
お兄ちゃん、私、ついて来ちゃってよっかた~
2人は、そんな私を見てクスクスと笑っています。
・・・
2階には3部屋小部屋があり、1つは今井先生、1つはお兄ちゃんと私、
1つは紀子さん用に用意されていました。
よく分かんない機械も、1階の壁の横に幾つも並べて置かれました。
お兄ちゃんは、
その機械の設置やディスプレイの配線に取ろ掛かりました。
紀子さんは、買い出しの野菜を取り出し、ロッジの前の
水道で水洗いをしようとしています。
私はそれを手伝います。
ねえ~ 紀子さん、
お料理って、なに作るの~?
カレーライス!
この人参と玉ねぎとジャガイモを洗って、ハンゴウデで
ご飯を炊かなくっちゃね!
さあ、一緒に、やりましょ!
やったーーーーーーーーーーーーーーあ!
私、カレーライス、大~好き!
お天気がいいから、皆で外で食べようと思ってるの。
今井先生も、もう直ぐ、いらっしゃる頃だから急がなくっちゃ!
私、なんでもお手伝いしちゃう!
じゃあ、この洗いと野菜のカット任せちゃおうかな~?
・・・
わ~ 嬉しい~ ぜひやらせて、、頑張るね、私!
胸が躍る気持ちでした。。
じゃあ、
カレー用サイズに切って、あの台の上に置いててくれない。
台の上に包丁があるわ。。。
私は火を起こしてご飯の用意するね!
はーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあい!
2泊3日の生活が始まりました。
・・・
・・・
11時少し過ぎた頃、
プッ! プッーーーーーーーーウ とクラクションの音がして
1台の白の普通車がロッジに近づいて来ました。
少し先で停まった車の中から、小柄の中年の男の人が
笑みを浮かべて降りてきました。
・・・
あっ! あれは、白井先生だわ!(向こうの世界と同じです。)
お兄ちゃんが、山小屋から走って出てきて、私たち3人は
揃って先生を迎えました。
2人は丁寧に先生に頭を頭を下げました。
私もペコッ!とおじきしました。
・・・
や~ ゴメン! ゴメン! 遅くなって 悪かったね。
めちゃ優しそうな温和な顔をして笑いながら
勾配を歩いてこちらに坂を登って来ます。
ベタ!
え?
先生が、こけちゃった!
先生! 大丈夫ですか? お兄ちゃんと、紀子さんが
駆け寄ります。
痛い! 痛い! 痛い! 足を滑らせた!
お兄ちゃんと、紀子さんが今井先生の腕を両側から
支えて、こっちへ登ってきます。
私の顔を見て、
お~~~~お! 君が健一君の妹さんか~
よ~く来たね!
私は今井です。
一緒にこの山で楽しく遊ぼうじゃないか。
こんにちは、妹の美沙です。
よろしくお願いいたします。
それから、今日は無理やり押しかけてきて済みませんでした。
邪魔にならないようにします。
いや、いや、皆で楽しくやろう!
仲間が増えて賑やかでいい、大歓迎だだよ!
健一君、紀子君、ケーキ買ってくれたのか?
早く食べたいな~ 今から皆で食べようか?
紀子さんが言います。
先生、ダメですよ! 食事前なんですから。
ケーキは食後にして下さい!
でもな~ 1個だけなら。 な! 紀子君!
ダメ! ダメです!
折角、美沙ちゃんもカレーライスを作るの
手伝ってくれてんですよ。
カレーが先です。
ね! 美沙ちゃん!
え? ・・・ あの、、
まあ、、楽しみは後の方がいいのかな~、、、って
・・・
そっか、
分かった、じゃあ、そ~しよう 楽しみだな~ ケーキ!
あ、痛い、痛い、、、腰を打ってしまった。。。
先生、とりあえず、中にお入りください!
そ~言って、お兄ちゃんが今井先生の腕を支えて
山小屋の中に入って行きました。
・・・
紀子さんが言いました。
美沙ちゃん、今井先生っていつも、あ~なのよ!
まるで子供みたいでしょう。クスクス!
私は、今井先生に会うのが、すっごい緊張でしたが、
一瞬にして、緊張が解き放された思いでした。
あれが、こちらの世界の今井重徳師範!
でもよく考えると、
向こうの先生と共通点はあるな~って思いました。
・・・
食事の用意が進んで行きます。
ハンゴウで、ご飯の炊き方を紀子さんが教えてくれました。
少しして、
今井先生とお兄ちゃんが、山小屋から出てきました。
あ~ カレーのいい匂いがしてるな! (先生)
よ~し 私も手伝うぞ~ 紀子君、何でも言ってくれ!
先生! では、
そこの木のテーブルに食器を並べてください。(紀子さん)
そちらの食卓作り、お願い致します。
よし! 任せとけ! (先生)
・・・
私は、先生の並べてくれた食器にサラダを継いでいきました。
お兄ちゃんが、飲み物を注いでいきます。
先生が椅子を用意します。
紀子さんが、カレーを混ぜています。
私がご飯を注いで紀子さんに渡します。
紀子さんが、カレーのルーをそれに掛けます。
お兄ちゃんが、箸とスプーンをロッジの中に取りに走ります。
先生がケーキを取りにお兄ちゃんの後を追っかけます。
・・・
いっただきま~す。
美味しいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!
最高に美味しい、カレーライスです。
パクパクパクパクパク、、、むしゃむしゃ、、ぱくぱく、、
私は、お代わりして、3杯食べちゃいました。
私は、先生の隣に座って、先生にお代わりを注ぎました。
お~ ありがとう、
それにしても 美沙君! すっごい食欲だな~ (今井先生)
うん、うん、いい事だ! 見てて気持ちがいい!
だけど、そんなに食べるとケーキ食べられないぞ!
先生、ケーキは別腹なんです。私!
そ~か そ~か わっは、はっ! はっ!
カレーが終わって、いよいよ食後のケーキです。
よ~し、ケーキの時間だ! 待ってました! (先生)
先生は2つ食べました。
1つは、生クリームと苺パウダーを絡めた苺ケーキ
もう1つは、クリームスフレチーズケーキ
いや~ 最高だ、 おいしい~ (無邪気な顔の先生)
僕はね、このケーキを食べるのが一番幸せなんだよ。
甘くてね、このトロッとした触感がたまらない!
美沙君、美味しいか?
うん! めちゃめちゃ美味しい!
私もケーキを食べるの、すっごい幸せです。にこにこ!
そっか、そっか、じゃあ、美沙君と私はケーキ友達だな!
うん!
ハハハハハハハ、、、ケラケラケラ、、、
私は先生の横にピッタリとくっ付いてパクパク食べました。
お兄ちゃんと、紀子さんが、顔を見合わせて、ホヘ~と
呆れ顔で私たちを見つめています。
私も2つ食べました。
・・・
・・・
食後少しして、4人はリュックを背負い一緒に散歩に出ました。
今井先生を先頭にして、山の新緑の中を歩き続けました。
細道を登ったり降りたりで歩きます。
鳥のさえずりが聞こえます。
いや~ 自然の中は実に気持ちがいい、、(今井先生)
木々が生き生きとして空気も美味しい~
活気に満ち溢れてる
・・・
私は、今井先生の側にくっ付いて歩きました。
その後を、お兄ちゃんたちが付いて来ます。
前方に少し広くなっている場所がありました。
私は、
そこに山野草がいっぱい咲いているのに気が付きました。
わあ~ お花がいっぱい。。。
私は嬉しくなって先生より先に花に走って行きました。
・・・
先生、この紫の花キレイでしょう。。。
シャクナゲって言う山野草なんです。
わ~ キキョウやハコベもいっぱい咲いてる。
私は、しゃがんで、花を見つめました。
奇麗だな~ 可愛い~
よ~し じゃあここにしよう。。。(今井先生)
美沙君が見つけてくれたみたいだ!
・・・ ?
お兄ちゃんが、リュックを降ろして、何かの機械を
取り出して、紀子さんと一緒に、それを見ながら
何かを話しています。
先生、すっごいです!
レベル5です。
そっか! やっぱりな!
この地域には、やはり、こんな場所があったんだな!
思った通りだ。
私は、先生やお兄ちゃんたちが、何を言っているのか
さっぱり分かりませんでした。
・・・ なんだろ、、、? 聞いちゃえ
・・・
あの~? ここに何があるんですか~? (私)
今井先生が、にこにこ顔で話します。
美沙君、ここはね、磁場がとても強い処なんだよ。(今井先生)
属にはパワースポットって言われてるんだがね、
私たちは、その磁場を求めてここに来たんだ。
・・・ パワースポット?
私たちが今、取り組んでる合気道の新開発と
修行は、その磁場と大きな関係があってね、
今日はここで体内に磁力を取り込むつもりなんだよ。
・・・ ? ふ~ん 意味不明
美沙君も皆を真似してやってみてもいいし、(今井先生)
この近くを散策しててもいいし、
退屈だろうから自由に遊んでていいからね。
特に、危険もなさそうだしね。いいかい?
あ、はい。
私、もっと、山野草なんかを探してみます。
楽しみ~
美沙、あまり遠くへ行っちゃだめだぞ!(兄)
・・・
白井先生と、お兄ちゃんと紀子さんの3人は、その草むらの
広場に正座して目を閉じてじ~っと何かに集中し始めました。
・・・ ? 何をやってんだろう?
私も、真似して、少し離れた処に同じ姿勢で座りました。
これって、何かな~?
磁場を体に取り込むって、ど~言うことなんだろう?
分かりません。
・・・
3人伴動きません。
30分
1時間
・・・
そのままです。 退屈だな~
・・・
私は、両手を上げて、声が出ないように、
大きなあくびをしちゃいました。
何時までじ~っとしてるんだろう?
よ~し、山野草の散策に出かけちゃおっと・・・
私は、静かに立ち上がり、そ~っとその場を離れました。
合気道の新開拓って、もっと、エイ!ヤア!って
やるのかな~って思っていました。
まあ~ いいっか~
・・・
私は、細い山道を歩きながら、山野草を探して歩きました。
あそこ以上に咲いている場所はありませんでした。
ですが、
木の枝が突き出していたり、ゴツゴツした
岩の出っ張りがいっぱいありました。
・・・ うっわ~ すっごい
私は、お腹に特別に敏感な女の子です。
だから、勿論、やっちゃいました。かたっぱしからです。
枝の尖った部分が、生肌を通して内臓を突き刺し、
岩の硬い角が腹部に食い込んで、私の体温を吸収して行きます。
山の自然が作る角が、私の内臓と合体します。
私は自分の体を揺らすように動かせ、
内臓を圧迫したままで、大きく攪拌します。
連なった腸が特有の音を出しながら、
移動し、ねじれ、絡まり、混ざり合って、
お腹の中がもう大変。。。同時に、
強烈な快感が体を突き抜けて行きます。
・・・
磁場とか磁力もいいけど、私にはこっちの方がいいもんね~
・・・
でも深入りは出来ません。
3人の存在が気になっちゃう。
その代わり、ありとあらゆる自然が生み出す、
お腹責めの条件を体験して行きました。
お腹責めまっしぐらダーーーーーーーーー!
ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅる~ ぐちゃ
お腹の表面は手で触ると冷た~く感じられますが、
その奥の内臓は、まるで燃えているようです。
あ~ お腹の中が燃えてるわ~ 腸が引きつってる
快感!
私は草むらの坂に腰を降ろし、リュックからクッキーを取り出して
ポリポリと食べました。
小鳥のさえずりが聞こえます。
若葉の間から光が差し込んで、その隙間から空が光って見えます。
缶コーヒー、今頃ど~しちゃってるのかな~?
あの土手道の坂に2人並んで座っている姿が思い出されました。
タンポポを握って重なった手の温もりが蘇ってきます。
・・・
缶コーヒーの言葉が思い出されます。
最後まであきらめるな! 俺がいる! いいな!
・・・
胸の奥から熱い物が、じ~ん、と込み上げて来ます。
お兄ちゃんの話が思い出されました。
温度について話すと、
具体的には、
美沙のために何かを必死でやろうして動いたり、
美沙を守ろうと動いたり、
美沙のために自分を犠牲にして動いたりするとかだ。
美沙も、相手のために何かを必死でやろうとして動く。
その典型的なものが、恋だ!
・・・
恋!
これって、恋なの、、、、?
・・・
私の体の一部の温度が上がっているの?
て、ことは、私はこれから動くの?
向こうの世界の、野々村美沙が
こっちで、缶コーヒーに恋をしちゃったの?
あの土手道で私は気持ちを押さえられず、衝動的に
好きだよーーーーーーーーお!っと叫んでしまった。
あの時、私の胸は熱かった。
温度が上げって、私は叫んだ、動いたんだ!
・・・
でも、ムシ子のことを思うと、イケないことだったわ!
ムシ子に悪かった!
2人は互いに好き合っているんだもん、私なんかが
間に入り込んじゃったら、ど~なるって言うの!
ダメ!ダメ! そればっかしは絶対に出来ない!
・・・ なのに
胸が熱くて抑えきれません。
それは増々大きく膨らんで行くばかりです。
この胸のときめき! 締め付けられる様な思い!
缶コーヒーに会いたい!
・・・
私は座ったまま、新緑の隙間から覗く青空に
向かって歌いました。
らん♪ らん♪ ら~あん♪ …♪
会いたくて会いたくて 震える♪
君想うほど遠く感じて♪
もう一度聞かせて嘘でも♪
あの日のように”好きだよ”って…♪
…♪
らん♪ ら~あん♪ らん♪ らん♪
・・・ 会いたいな~
歌声は、遠くの空彼方に飛んで行きました。
缶コーヒーに、私の声が届いたらいいのに。。。
・・・
よ~し じゃあ、そろそろ戻ってみるか。
みんなまだ、修行をしてるのでしょうか?
私は、山道を走って皆の元へ戻って行きました。
・・・
・・・
え?
あれなに?
私は、驚きました。
3人の体が地面から1m程、宙に浮いています。
空中で合気道の技を、かけ合っているのです。
技は合気道に間違いありませんが、
互いに相手の体には触れていません。
私が、向こうの世界の人間でなかったら、
目を回して驚いた違いありません。
ですが、今の私に取っては、そんなに驚くことでも
ありません。
私にだって出来ちゃうからです。
あれが、
お兄ちゃんが言ってた新開発の合気道なんだわ!
相手に触れず、戦わずして相手に技を掛ける方法なんだ。
でも、すっごいな~ って思いました。
しばらくの間、離れた処から見学していました。
邪魔をしてもいけないと、思ったからです。
ふ~ん ジロ~~~
何だか3人の居る処の空間が歪んで見えます。
気のせいかな~?
と、その時です。
今井先生の体が2つに分かれました。
先生が2人になっちゃった。
え~~~~~~~~~~~~~~え? 嘘! あれって、
何? ど~なっちゃってるの? 信じられない!
ビックリです!
更に、
その別れた2人の今井先生が、別々の動きをしています。
1人はお兄ちゃんを相手にし、
もう一人は紀子さんと練習しています。
しかも、相手に触れることなしにです。
・・・
私は、目をパチパチして見入っていました。
目の錯覚なのでしょうか?
何かのトリックなのでしょうか?
目をこすって何度も見ますが、同じです。
え、え、え~~~~~~~~~~~~~~え?
・・・
・・・?
どんなにしたら、2人になれちゃうの~?
1人の人間が2人になっちゃうなんて、、、あり得ない
本当の今井先生は、どっちらなの?
今井先生の気はどちらからも感じ取れません。
分かりません。
と、その時です。
私の後ろから、美沙君、今戻ったのかい!
と声がしました。
私が、後ろを振り向くと、
キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーア!
おばけ~~~~~~~~~~え!
白井先生が立っていました。
私は、一瞬、飛び上がって、一目散で
タタタタタタタタタタ・・・・っと
全速で走って逃げました!
うそ! 嘘! うそだ~~~~~~~~あ!
怖~あ!
あまりのビックリで! 心臓が止まるかと思いました。
何が起きてるのか分かりません。
一体、これって、ど~なってるの?
逃げた草むらに身を伏せて、様子をジ~ッと伺いました。
・・・ ジロ~ッ
・・・ 何が起こってるの?
・・・ 胸が、ドキ、ドキ、ドキ
・・・
いやいや、驚かせて悪かったね! ゴメン! ゴメン!
一瞬、横を、チラッ!
ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあっ!
すぐ横で声がし、
草むらに同じように、身を伏せてる今井先生が居ます。
・!
私は一瞬、
先生を投げ飛ばし10m先の木の後ろに移動していました。
波動の術がとっさに出てしまいました。
・・・
キョロキョロ、、、キョロキョロ、、、(私)
ビックリです。心臓が止まりそう、ドキドキドキ
私は、自分の周りを見ました。居ないわ。は~
・・・
・・・
よ~し、今日の練習はこれまでだ! (今井先生)
美沙君、出てきてもいいぞ~
驚かせて本当に、スマン! スマン! 悪かった!
・・・
見ると、白井先生とお兄ちゃんと紀子さんが
にこにこ笑いながら、山野草の草むらの上に立っています。
私は、恐る恐る木の陰から出て行きました。変な感じ、、、
お兄ちゃんが言いました。
美沙、お前、いつの間に帰ってたんだ!
何かあったのか? 顔色良くないぞ~?
パタパタパタパタ、、、パタパタパタ、、、
私は、お兄ちゃんに飛びついて抱き着いちゃいました。
おい、おい、おい、ハハハハハハハハハハハハッ!
さあ、山小屋に帰ろう!(今井先生)
紀子君、今日の夕食は?
はい、バーベキューです。(紀子さん)
さあ、みんなで準備しよう! (兄)
食後のケーキもな! 美沙君! (今井先生)
やったーーーーーーーーーーーーーーーーあ!(私)
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夢と幻想の森