朝です。

美沙~~~! ご飯ですよ~~~~お!

早く降りていらっしゃ~~~い!

いつもの母の声が1階からします。

はーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!

私は階段を2段飛びで、トントンと降りていきました。

おはよ~う、お父さん、母さん!

お父さんが、新聞を広げています。

記事を見ながら、
よかった、よかった。。。。うん!うん! とうなづいています。

それにしても、勇気と愛の会の人たちって本当に大したもんだ!
こんなに勇敢な人たちがこの地域にいるなんて心強いよ。
本当に感激する!
世の中も、まんざら捨てたもんじゃないな~
全く勇敢で正義感のある若者たちだ!
嬉しいいね~

これで、この近辺も少しは良くなるというものだ!

美沙!
お前が女の子だから心配してたんだ。
それに年頃だしな。
でも、これで、少しは安心できる。。。
愛と勇気の会の人たちのおかげだよ。
よかった! よかった!
でも、油断禁物だからな! 美沙! いいな!

・・・

お父さん! 勇気と愛の会のこと、他に何か書いてない? (私)

ふ~ん、、待て待て~、、(父)
なになに、、、、
勇気と愛の会は全員が南高の空手部のOBで
構成されてるらしいぞ。。。。。
それに、みんな今でも現役の空手マンだと書いている。
勇気と愛の会の人たちが組織に乗り込んで
悪い奴らを全員やっつけたらしい、、、

そ~か、、そ~だったんだ~!(父)
空手をやってる人たちだったのか~
ど~りで、強いわけだよ!
いや~ たいしたもんだ、、、本当に心強い! 
今や、この辺りではヒーローだな!
これからも、みんなのために頑張ってもらいたいね!

勇気と愛の会の人たちの働きで、警察も動けたようだ。
組織に警察が入って逮捕者もかなり出たらしい。。
ほぼ壊滅したようだ!
いや~ 大したもんだ。。。うん!うん! 

本当に良かった!

・・・

美香ちゃんと私は組織からピーナツバターとでっぷりパンダを
無事に救出しました。

その後、2人は嘘のように元気になり、2人の証言で警察が動き、
組織の中の10人以上が逮捕されたのです。

未成年者への暴行、脅迫、誘拐、銃刀法違反などの
容疑で逮捕者が出たのです。

おそらく、組織も新聞の記事通り壊滅したのかもしれません。

それ以降は女子高生へのいたずらは全くなくなりました。

ピーナツバターとでっぷりパンダを始めとする
杉浦先生を中心した勇気と愛の会の全員の活躍の結果でした。
勿論、美香ちゃんと私も大いに貢献しました。
でも、それは内緒にしてもらいました。

・・・

ガブガブ! パクパク! ゴクゴク! ガブガブガブ!

あ~ 美味しい! 
お母さんの味噌汁って最高、、、
お母さん、ご飯、お代わり~

・・・ 

お父さんが言いました。
あれ~? 俺の卵焼きと、漬物がな~~~い!
美沙! お前! また、お父さんのを食ったな~

パクパク! ゴクゴク! ガブガブガブ!

お母さん、お味噌汁のお代わり~~~~~い!

お父さんが、私を見つめています。

おい、美沙!
もっと、おしとやかに、女の子らしく出来ないのか?

・・・ パクパク、、、あ~ 美味しい~

お父さん、私また身長が少し伸びちゃった!

・・・

あ、あ、、、そ~か、、それは良かったな。。。


あ~ お腹がいっぱい、、、、お腹パンパンだわ!

お父さんが、あきれた顔で私を見つめています。
私はお父さんにニッコリ微笑んで
お腹を手でポンポンと叩きました!

お父さんが、あきれた顔で私を見ています。 ぽか~ん。。。

じゃあ、行ってきま~~~~~~~~あす!


——————————


授業が終わって放課後です。
今日は補修もありません。


美香ちゃんと私は文化祭の打ち合わせに
空手部の武道場へ向かいました。

仕方ないか~ 美香ちゃん! 約束しちゃったもんね。
じゃあ、行くだけでも行ってみようか。。。 
明日は祭日で休みだし。。。

うん!

今回の文化祭は美香ちゃんも私も空手部の人員として
参加することになっているのです。

それは、空手部とのチョットした経緯の中で部員達と
約束をしてしまったからです。
ですが気の乗らない約束です、ただ約束は約束です。

美沙ちゃん!
私たちが、空手部員として文化祭に参加するってど~いうことなのかな~?
私たちは空手部員じゃないにのよ。
部員じゃないのに部員として参加なんて変な話だよね。

う、う~ん、、、?
文化祭のお手伝いをして欲しいってことじゃない、、?
飾りつけのお手伝いとか、みんなに飲み物配るとか、
案内役とかさ。。。
空手部には女子がいないから、女子にできる仕事を
してもらいたいんだよ、きっと。

行ってみれば分かるよ。。。 
さあ、行こう!   うん!



美香ちゃんとは私は武道上の前に来て互いに顔を見合わせて
うなずき合いました。
じゃあ、入ってみようか? うん!

私たちは、入口前で靴を揃えて、
裸足で武道場の中に入っていきました。

・・・ 

・・・ ?

え?

なに? みんな、ど~しちゃったの? 
一体何ごとなの。。。?
あれれ~ 

み~んなが、、、
私たちの方に向かって正座をしています。

・・・ 美沙ちゃん なに、これ、、、きも

・・・ 美香ちゃん これって

・・・ ? 変な感じ、、、、イヤな予感!

と、次の瞬間、
みんなが一斉に、大きな声で言いました。

お願いしま~~~~~~す!
空手部に入部して下さ~~~~~~~~い!

そう言って、その場に座って
私たちに、丁寧に頭を下げました。

・・・ ?

・・・ え、、、はあ~?

・・・ し~ん

・・・

え、え、え~? 文化祭の打ち合わせじゃないの? (美香ちゃん)
これって、なんなの?
この人たち何を言ってるの? 美沙ちゃん

・・・

ひょっとしてだけど、これって入部の勧誘だったりして。。。? (私)

部員たちは
私たちを見ながら無言で首を縦に振っています。

・・・

てことは、私たちに空手をやれって言ってるの~

みたい。。。 (美香ちゃん)

・・・

美香ちゃんが言いました。

あんたたち!
私と美沙ちゃんに空手部に入れって言うの?
空手部に入って空手をしろっていうつもりなの?
文化祭の打ち合わせだと言うから来たんだよ!
話が違うじゃない!

これじゃあ、まるで空手部の勧誘じゃない!

ど~いうことよ?

・・・

食パンマンが頼りない顔をして言います。

まあまあ、、そう怒らないでさ、、、
な、頼むからさ。
俺たちの話を聞いてくれないか。。。

・・・

俺たち空手部員の全員で話したんだけどさ!
もし2人がこの空手部に入ってくれたら、
俺たちの空手部も人気が出ること間違いなしだしさ、
それより、
俺たち、めちゃめちゃ嬉しいし頑張れるしさ、それにさ、、、、
それに、、、

ストッーーーープ! (美香ちゃん)

ちょと、待って!    
それって、あなた達の勝手な言い分じゃない。
悪いんだけどさ、私たちには関係ないことだわ!

何度も言っちゃうけど、
私たちは文化祭の打ち合わせに来たんだよ。
約束は破れないから、それで来たの。

それなのに、あんたたちの勝手な理由で
一方的に勧誘を進められちゃっても困ります。

スッゴイ迷惑だわ、、、ねえ、美沙ちゃん!

うん! 

ハンペンが言います。

それは俺たちにも分かってるんだけどさ、
ど~かそこのところをなんとかお願いします。

そんなの無理! 絶対にムリムリ!

ハンペンが一息入れて言います。
俺たちは君ら2人のように強くなりたいんだよ。
ど~か空手部に入って俺たちの指導をお願いします。
頼みます。

はーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ!(私)

空手部の指導ーーーーーーーーーーーーお!

ちょと! ちょと! あなた達、一体、何考えてんの
ど~いうつもり?

私たちが空手部の指導だなんて、、、、
頭がおかしいんじゃない! どこで頭を打っちゃったの?
それに、おかしいよ。。。
話が逆じゃない!

だって、そ~でしょう、、、
いくらあなた達が弱いからって、
新入部員に指導されちゃっうなんて
順番ってか、なんだが逆じゃない!

私たちは空手をやったことがない素人なんだよ。
もし、新入部員として入ったとしても
私たちが指導するなんて、おかしいよ!
空手の構えも知らないんだよ。。。
それに、、、あなた達、
それって、恥ずかしくないの~?

・・・ 

・・・ し~ん

・・・ 

でもさ、              (ハンペン)
恥ずかしいとかの問題じゃないんだ!
俺たちは、現実に少しでも強くなりたいだけんなんだ!

・・・ 

俺たちも、
勇気と愛の会の人たちの様になりたいんだ!
あの人たちのように、本当に強くなって
社会のために尽くして皆から尊敬されるように
なりたいんだ!
今回の事件で俺たちは何のために空手をやってるんのか
つくづく考えさせられたんだよ!

人のために役立つために空手をやらないとダメなんだって!
いつも杉浦先生から言われてたけどさ、
その意味がやっと今、分かったんだよ!

俺たち必死で空手を練習して来てたつもりだよ。
だから結構自信もあったんだ!



でもさ、

でも、なに? (美香ちゃん)

・・・

ハンペンが一歩乗り出して真剣な顔で言います。

・・・ 

君たちに接してから、俺たちが
いかに未熟だってことが、よ~く分かったんだ!
今、つくずくそ~思っているんだよ。。。。
な~ 頼む! 


食パンマンが、
なあ、 山口さん、野々村さん!
俺たちの気持ちは、みんな同じなんだ、
頼む!
俺たちの空手部に入ってくれ!
俺たちの仲間になってくれないだろうか!
空手部のキャプテンとしても頼む!
そ~ 言って頭を下げました。

・・・ 

・・・ え~ こいつら本当に真剣だわ、、

・・・ 

美香ちゃんと私は互いに顔を見合わせました。
美香ちゃんは私に何か言いたそう。。でも
私は美香ちゃんに手を横に振りました。

・・・

美香ちゃんが、一息ついて、
食パンマンに言いました。

・・・

あのね! 食パンマン!
あっ! ゴメンナサイ! 中西君!

あなた達の気持ちは分からないこともないわ。
それに、
立派だと思う! 本当だよ!

でも、私たちの武道は空手じゃないんだよ!
前にも言ったと思うけど、私たちのは、

合気道なんです!

・・・

空手と合気道では技も違ってるし、考え方も
違うかもしれないわ。。。。
指導するなんて出来っこないです。
それに、
指導の仕方なんて知らないもん。 

ね! 美沙ちゃん? うん!

・・・

コロッケみたいな顔の多分2年生の男子が言います。

空手とか、合気道とか、もうそんな区別はど~でもいいよ!
俺たちは、今やってる空手で勇気と愛の会の人たちのように
強くなって、将来、イヤ、今でも社会のために
役立ちたいだけなんだ!



君たち2人が入部してくれれば、それだけで
俺たちは色んなことを学べる!
頼みます!
ど~か、俺たちの部へ入ってください。 
お願いします。

・・・

丸顔のメガネが言います。
俺たちは杉浦先生の指導通り大会じゃあなく
人のために本当に役に立つ空手を身につけたいだけなんだ!
俺も柴田(コロッケ)と全く同じ気持ちだよ。
ど~か、俺たちの空手部に入ってください。 頼みます!
お願いします。

・・・

食パンマンが言います。

山口美香さん、野々村美沙さん!
美香と美沙って呼ばせてもらっていいかな~?

・・・ え?

・・・ え~っと、あの~

美香ちゃんと私は顔を見合わせてOKしました。

・・・ 変な流れだな~

・・・ 

じゃあ、美香と美沙! 頼む!
ど~か俺たちの空手部に入部してくれ!
頼む! この通りだ!

すると、20人以上の部員たちが一斉に、
お願いしま~~~す!
と、丁重に頭を下げて私たち2人に頼みました。

・・・

え~ かなり変なことになって来ちゃったな~
こいつら、かなり真剣だし、純粋だし、心がキレイだし、真っすぐだし、
正義感に燃えてる。
話している内容にも心に伝わってくるものがある。
だからと言って、私たちが空手部に入部するなんて
とんでもないことだわ。

・・・ でも、このままだと、ヤバイ、、、

美香ちゃんも同じ気持ちです。
美香ちゃんが困った顔をして、私を見つめました。
私は首を横に振りました。

・・・

美香ちゃんが言いました。
中西君!

あなた達、大きな勘違いをしていると思うわ?
私たちが、いくらあなた達を指導したとしてもよ、、、

美香ちゃんが、言いにくいそ~な表情です。

・・・

ハッキリ言っちゃって悪いんだけど、、、
あなた達には私たちと同じことは出来ないわ!
出来っこないと思うの。

・・・

ゴメンネ! 本当の事言っちゃって、、、
特に、美沙ちゃんのようにはなれないわ!

・・・

だって、美沙ちゃんは空を飛べちゃうんだよ!
ね、美沙ちゃん!

え!

え~ 美香ちゃん、、、 
そんなこと言わない方がいいと思うけどな~


美沙ちゃん、この人たちには言葉では分かんないよ! 
少し位、本当の事言わないと分かんないわ!

中西君!
あなた達がいくら頑張っても出来ないでしょう~
空は飛べないでしょう?

は~~~~~~~~~~~~~~~あ? 

・・・ ?

空を飛ぶ~? おい、おい、頼むよ~、、、

・・・

なんだそれ、、、? 

美香! お前な~
よしてくれないか! なに言ってんだよ! お前、
いくらなんでも、それは無いだろう!

俺たちを、からかうのはヤメてくれ!
いくらお前が強いからと言っても、あんまりだ!


俺たちは真剣に頼んでるんだぞ~!
もっと真面目に話をしてくれないか!
それとも、
そんなに俺たちのことをバカにしたいのか?


え! バカにするなんて。。。そんな~
してない、してない、本当だってば!
ねえ!
あんたたち、この前ここでどんなことがあったのか
覚えてないの?

・・・

自分たちがど~なったか分かってるよね!
まさか、忘れてなんてないでしょう?

・・・ 

食パンマンが言います。
あ~ 覚えてるさ!
俺たちは全員、美香、お前にやっつけられたさ!
だからこうして入部を頼んでんじゃないか。。。
美香の友達だから、美沙だって強いだろうって思ってさ。


そ~じゃなくて、
私とやった、その後のことは覚えてないの?

・・・ みんながキョロキョロ顔を見合い頭をかしげています。

後の事って何のことだ?
、、、、俺たちがみんなで、
この道場を走ってたことかよ、、、?
頭がぼ~っとしてて、、、、
何が何だか、よく分かんなかったけどさ。。。
なぜか、道場の端から端までを必死で走ってたよ。。。


・・・ え! 嘘! (私は思わずビックリ!)


まさか、
こいつら、わかってないんだ! のんきな奴ら!

あの時、私が波動の術を使ったのを、知らないんだ!
とぼけた人たちばっかしだわ!
元々、
波動の術を内緒にしてもらうことで文化祭の応援を約束したのでした。

、、、ふ~む、、、、

でも、
よく考えてみれば無理もないかもしれないな~。。。
そんなこと普通じゃ、起こりっこないし、
波動の術のショックは大きかったのかもしれない。
だから、何が何だか分からなかったんだ。

でも、その方がよかったのかもしれない。

・・・

あ~ 美沙ちゃん!
ど~したら分かってもらえるんだろう~?
美沙ちゃん、やって見せてあげてよ!
ちょびっとでいいからさ。。。
じゃないと、こいつら、分かりっこない。。。。

え~ でも~、、、

とにかく、やってよ~!
私にはこれ以上、説明できない!

食パンマンが言います。
俺たちは、君たち2人の強さは十分に分かってるつもりだ!
だがな、冗談じみた話は止めにしてくれないか!

・・・ 

空を飛ぶなんてアニメの世界じゃないか!
もっと、真剣に考えてくれ、真面目になってくれ!
現実的な話をしてくれないか! 
子供だましみたいな話は止めてくれ!


美香ちゃんが、かなりイライラしています。

イライラ、、、、

美香ちゃんが、ツインテールの髪をいじくっています。。。イライラ、、
何か言いたそう。。
イライラすると髪をいじくるのが美香ちゃんの癖です。

美香ちゃんが、キッパリと言います。

中西君!
それに、みんな~ 
これから、ここで見たことは
絶対に秘密にしてくれるって約束してよね!
絶対だよ! もしその秘密を破ったら
私たちは、もう2度とここへは来ないから! いい!

それと、
これって、見せ物じゃないわ!
あなた達の真剣な思いを無視していると
思われたくないの!
だから、特別に美沙ちゃんが見せてくれるわ!


え!
え~~~~~~~~~~~~~~~~~? 、、、
美香ちゃん、結局、私に振っちゃうの~?

中西君!
美沙ちゃんを、あなたの空手で攻撃してみて!
美沙ちゃんの体に、あなたのパンチが少しでも当たったら
私たち2人とも入部してあげるわ!
服にかすっただけでもいいわよ!
遠慮はしないで、本気で美沙ちゃんを攻撃して! 
分かったわね! じゃあ、やって!

・・・

本当か? 本当に、本当なんだろうな!
よし! 約束だぞ! 絶対だぞ!

勿論よ、約束を破ることなんてしないわ!
ね! 美沙ちゃん!

う、うん!

食パンマンが、なにやらコソコソと仲間と一緒にやっています。
ね~ あんたたち、何やってるの? 中西君!


あ~ 俺の拳の先に赤のチョークを塗ってんだ!
この赤が美沙の服に少しでも付いたら、
俺の拳が当たってことだからな!
いいな! 約束だぞ! 絶対だぞ!


分かってるわよ!
女に二言は無いわ! 
その代わり当たらなかったら、あきらめてよ! いい!


・・・ 変なことになっちゃったな~

・・・ あいつら真剣だし、、、

・・・ でも今更、私たちが空手をやるだなんて、考えられない、、、

・・・ まあ、拳が当たらなければいいだけなんだわ、、、

・・・ 



美香ちゃんと食パンマン以外の空手部員が
私たちを取り囲むようにして離れます。

・・・ 仕方ない、やるか~

食パンマンが空手の構えをして私の前に立ちました。

・・・ 変な構えだな~、、、
手を刀のようにして前に出して、反対側の拳は腰で握ってる。
一体、この構えは何のためにしてるんだろうな~?

私は、自然体のままで食パンマンに気を合わせます。

と、その時、食パンマンが一歩前に出て、
拳が私の腹部をめがけて近づいてきます。

ヤア! シュッ! 

あれ? 消えた! 美沙が、、、いね~ そんな

キャプテン! 右横です! 
シュッ! おりゃ! あれ、また消えた!

キャプテン! 左! 
シュッ! エイ! ありゃりゃ、どこだ? また消えた!


ウソだろう~~~  こんな事があり得るのか~
目の前の人間が消えるなんて、、、
俺の頭、ど~かしてるのか~


シュッ! バシッ! シュッ! シュッ! 
ぶーん!  バシーー! シュッ! バシッ! 
シュッ! シュッ! バシッ!


結構シャープな突きが連続で出てきます。
私は、それを紙一重の処でかわします。

パンチと合わせて蹴りも出されます。
なんと遅いパンチや蹴りなんでしょう!
まるでスローモーションの動画を、更に遅くした様です。

時間の流れが違っているのですから
仕方ありません! そ~思いました。

私は自分からは攻撃はしませんでしたが、
でも、切りが無いと思って、パンチがくる瞬間に
軽く上に飛び上がり、食パンマンの後ろに着地して
食パンマンの首を右腕で締め付けました。

ウギュクーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーウ、、、!

私は食パンマンの耳元で軽くささやきました。
ねえ!
このまま放さないでいるとあなた死んじゃうわよ!
その言葉に、
食パンマンの体が痙攣するように震え出しました。



私が食パンマンの首を少しだけ締めてから、放すと、

ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ! ハア、ハア、ハア、ハア、、、、


食パンマンは床に転んで
まるで床を這うようにして後ずさりして私から離れました。
そして、驚きの目で私を見つめています。
絞めつけられた首に手を当てて、ぶるぶる震えながら、
息を乱しています。

なんということなんだ。。。。瞬きもせずに、私を見つめました。

あ~ こんなに純でキレイな女の子が、、、
なんて、、なんて、恐ろしんだ、、恐ろしすぎる!
想像以上だ!
俺たちの相手ではない! 

美沙! まいった!
でも、お、お前! なんなんだ?
お前は一体、何者なんだ?
俺の正面で消えたけど、一体ど~なってるんだ?


コロッケが言います。
キャプテン!
美沙はキャプテンの頭の上を飛び越えて後ろに回ったんです!
それも、キャプテンの背の2倍の高さでした!
一瞬の事です。
本当に、空を飛びました! 嘘なんかじゃありません!
すごい早い動きでしたが、確かに宙を飛びました。
全く、信じられません!
美香が言ったのは嘘じゃなかったんです。


美香ちゃんが食パンマンに言います。
中西君! そして、みんな~
分かったでしょう。。。悪いんだけど、こんな事が、
あなた達に出来ると思う?
幾ら私たちが指導しても、時間の無駄だよ!

だから、あきらめてくれない。 いい!

食パンマンが床から起き上がりながら言います。

美香! 美沙! 

・・・

分かったよ! 
お前たちのような技は俺たちには出来ね~
でもさ、
強くなるってことは技が出来ることだけじゃないと思うんだ!
空手と合気道の技や考え方は違っててもさ、
創り上げたらいいじゃないか!
新しい物を、新しく、より価値のある物へと、
みんなで創り上げて行ったらいいじゃないか。


そして、
勇気と愛の会の人たちのように、
俺たちも少しでも近づけるように頑張りたいんだ!
人のために役立ちたいんだよ!
強さに裏づけられた勇気と愛を持って、
世の中に貢献できる人間になりたいんだ!


そのために、2人に力を貸してほしんだ! 頼む!
毎日練習に来なくたっていい!
無理やりなんて、俺らだっていやだしさ!
2人が気が向いたらで良い! 楽しいと思ったら続けてくれ!
そ~なるように俺たちだって頑張るよ!
な~ みんな! 
食パンマンが必死で話します。
他の空手部員もうなずき合っています。 あ~ 勿論だ!

・・・ 美香ちゃんと私は、
・・・ じ~っと食パンマンの話を聞いていました。

強さに裏づけられた勇気と愛。。。

美沙ちゃん!
あいつ、
美沙ちゃんが小5の時に言ってた事と同じことを言ってる。

そ~だね、美香ちゃん。
それだけじゃないわ。
新しい物を、より価値のある物へと、みんなで創り上げて行く。。。
なんだか心に刺さる言葉だわ、、
、、、、
この人たち、
みんな素敵な人ばっかしだわ!

うん! 私もそ~思う。(美香ちゃん)
でもね~
だからと言って私たちが空手部に入部するのは実際には出来ないよ!
それに、あいつのパンチ当たらなかったしさ、当然だけどね。
諦めてもらおう。約束じゃん!

そ~だよね。その方がいいと思うわ。


美香! 美沙! 約束したよな!(食パンマン)
俺の拳が、服をかすっただけでも入部するってさ、約束をしたよな!
約束は果たしてくれよ! いいか!


は~ 何言ってんの。。。。?


美沙! お前のスカートの下の端を見ろ!

・・・

え! ・・?

・・・

私は、
顔を下に向けてスカートの端に目をやりました。

・・・

あっ! あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ! (美香ちゃん)

嘘ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーお! (私)

・・・

美香ちゃんと私は、体から力が抜けて
お互いに抱き合って、床にへたばってしまいました。

美香ちゃん、
食パンマンのパンチがスカートに触れてるよ~
パンチを紙一重でかわしたのが悪かったんだわ。。。
ゴメン! 

美沙ちゃん!
私が、勝手にこんな約束しちゃったのが悪いの、ゴメン!

・・・

と、その時、
道場の後ろの入り口の扉が開いて、
杉浦先生が道場に入ってきました。

先生が近づいてきて言いました。

君たち! 一体、ど~したって言うんだね!
なにをやってんだ?

美沙君、美香君! 
2人とも、床にへたばって、、、ど~したんだね?
君たちが空手部員にやられることは絶対あり得ないし、、、
一体、なにがあったんだ? 元気がないじゃないか、、、


食パンマンが張り切った声で言います。
杉浦先生! 喜んで下さい!
空手部員が正式に2名増えました。

・・・ ? おい! 中西! なに言ってんだ、、

部員が増えたって? 
そんなことあるはずないだろう。
この時期に部員が増えることがあるのかね。
一体、どんな男子だね? 誰なんだ! 1年生か?
まさか、脅したんじゃないだろうな!

食パンマンが得意そうにニタニタ顔で言います。

先生! 俺たちに限ってそんなことはしません!

今回、入部したのは、2年生の女子です!

は~~~~~~~あ、、、2年生の女子~?

そんなバカな。。。あり得ない。
いくらなんでも、、女子部員だなんて!
内の空手部は全員男子ばっかりだぞ!
こんな男臭い中に女子が入ってくるはずがない!
俺が知ってる限りこの高校で女子空手部員は1人もいないぞ!
女子が入部するなんてあり得ない! 
そんな、もの好きな女子はいないはずだ!

あの~ 先生! 
そのもの好きな女子が、今、先生の目の前にいます。

そこの2人がそ~です。
床にへたばっています。

えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ?

・・・ 杉浦先生が私たち2人を見下ろしています。

ま、まさか、美沙君、美香君! 
君たち2人が空手部に入部したんじゃないだろうね?

トホホ、、、、、先生~
そのまさかなんです。
何故だか、そんなことになっちゃいました~。。

・・・

えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!


君たちが、空手部に入部したって言うのかーーーーーーーーーあ!


おい! 中西! 間違いないんだな!
はい! 間違いありません! 杉浦先生!

美香君! 間違いないんだネ!
はい、先生!

美沙君! 間違いないのか!
はい、先生! 間違いありません!

・・・ し~ん

と、その時です。

わーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーお! (先生の大声!)

急な大声で、みんな飛び上がって、
ビックリして床に転げてしまいました。
あ~ ビックリした~ 心臓が止まったかと思いました。

・・・ 先生の様子が変です?

杉浦先生は、天井を見たり、両出を大きく天井に向けて広げたり
ニコニコ顔でぐるぐる回ったりしています。

は~~~~~~~~~~~~~~~あ? うそでしょう~? 

杉浦先生。。。。
先生が一番に喜んでる。。。。ど~なってるの~

中西! どんな説得をしたのかわからんが、よくこの2人を
我が東高校の空手部に入部させてくれた!
先生は、本当に嬉しいよ! 最高だ! よし!

よ~くやった! みんな力いっぱいほめてやる、、、
信じられん! 嘘みたいな話だ!
全く信じられんよ! 
いや~~~~~~~あ! よ~くやった、、うん! うん!
最高に嬉しいぞ!

セーラムーンが我が校の空手部に居るなんて、、
全く信じられん! うん! うん! よかった!

よーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーし! 
先生も頑張るぞーーーーーーーーーーーーーーーーお!

あの~? 杉浦先生! (食パンマン)
今確かセーラムーンって言いましたよね、、、、
何ですか? それ?

あ、いや、いや、な、なんでもない!
じゃあ、早速に道着の用意をしなくっちゃな?
早い方がいい!
じゃあ、直ぐに持ってくる! 
確か2着ちょうどピッタリのサイズの物があったと思うんだ!
いや~ 今日のために在庫が残ってたようなもんだ!


女子サイズは以前からあったんだがね、今まで女子部員がいなくて、
何年も前から在庫になっていたんだよ、ちょうどよかった!
在庫帳にも上がってないし、
だから代金はいらないからね、
美沙君、美香君、使ってくれたまえ!

そ~言って、杉浦先生は、バタバタと走って道場を出ていき、
又、直ぐにバタバタと戻って来ました。5分もかかっていません。

・・・ 

よ~し、じゃあ、これに着替えてくれ!
さあ、今日からこの空手着は君たちの物だ! 
美沙君! 美香君! さあ、、遠慮なく使ってくれ!

あ、はあ~、、、これってタダでもらっていいんですか~?
勿論だよ! 使わない物を置いといても意味ないからね。
年数は経っていても新品の空手着だ!
君たちが使ってくれると、嬉しいよ!
さあ、直ぐに着替えなさい!

え? 今直ぐにですか?
そ~さ、早いに越したことはないよ!
その道着で今日早速、練習をしなさい!

その場の全員が、きょとんとして、杉浦先生の様子を見つめていました。

・・・ 

え、え、え、え~

杉浦先生は、かなり積極的です。。。。

美香ちゃんと私は、成り行きに任せて、あれよあれよという内に
道着姿にされてしまいそうです。

何だかスッゴイ速い展開で、なにがなんだか
ついて行けそうにない流れでした。

美香ちゃん!
なんだか、とんでもないことになっちゃったみたい。。。

武道場の物置の中で美香ちゃんと私は道着に着替えました。
ねえ!美沙ちゃん!
なんだか、信じられないね!
私たちが空手を習うなんて思ってもみなかったわ!
それも、早速これから練習するなんてさ。。。

そ~だよね、でも、
これも何かの縁かもしれないね!
話が、どんどん進んじゃってさ、ついて行けそうにないけど
やってみようか~
ど~せやるんだったら一生懸命にやらないとね!

うん!

ところで、帯の結び方、これでいいのかな~?
美香ちゃん、知ってる? そんなの、わかんないよ!

あの人たちに聞くしかないか~

うん!

美香ちゃんと私は、空手着姿で、道場に出ていきました。

すると、空手部員たちが、みんなで
パチパチパチパチと拍手で迎えてくれました。
わいわいがやがや、、、、なにかそれぞれに言っています。。。

お~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~お!

すっげ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~え!

カッコイイーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!

女の子の道着姿って、めちゃめちゃいいじゃんか~
バカ! 2人は、この学校の全校可愛いランクNo1なんだぞ!
だから恰好いいんだよ! あ、そっか~ 言えてる。。
俺、空手部に入って良かったな! めちゃ幸せ!
今度から絶対に休まね~! 休む奴なんて居るわけね~だろ! バカ!
俺、学校休んでも部活には来るからな! 俺もそ~する、、、
それにしてもキレイだよな! 見とれて練習にならね~かも!
俺!組み手の時ど~しよう! 緊張するな~ どこを見たらいいん?
お前な~ 何考えてんだ! 普通にしとけばいいんだよ!

杉浦先生が、私たちの帯の結びを直してくれ、
結び方を教えてくれました。
よし!これでいい!

食パンマンが言います。

よし、じゃあ早速、練習に移ろう!
美香と美沙は最前列についてくれ! 
俺の説明とやっているのが良く見えていいからな!

お前たちは今日から我が東高校の空手部員だ!
武道としての技術はお前たちの方がはるかに上だが、
ここでは、俺がキャプテンだ!
俺の話す事や指示には従ってほしい!

美香ちゃんが言います。
はい! キャプテン! よろしくお願いします。
私も言いました。
中西キャプテン! よろしくご指導をお願いします。

先ず、気合いだ!
気合は、腹の底から出してくれ!
エイ! でも ヤア! でもいい!

足を少し広げて、拳を握りしめて、
ねじるようにして前に真っすぐに突き出すんだ!
反対の手は引いて肘を背中から後ろに出す!

とにかくやってみよう!

じゃあ、みんな! 
いくぞーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーお!

おーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーお!

エイ! エイ! エイ! ヤア! ヤア!

ピュ! ピュッ!  ピュッ! ピュッ! ピュッ! ピュッ!

パチッ! パチッ! パチッ! パチッ! パチッ!

おい、おい、なんだ~? すっげ~ 音じゃんか!
俺、こんなスッゴイ音、聞いたことね~ 
あれが、美香と、美沙の突きの音かよ~

気合が可愛いな~ 女の子の気合って最高にいい!

でもさ、
本当に、空手の突きの音とは思えね~!
信じられね~ 初めてなんだろう? 空手やるのって、、、、

凄すぎじゃん! 

あの突きを食らったら、ひとたまりもね~ぞ! 恐ろし~
でも、恰好いいじゃん! 俺たちと一緒の空手部員だ!
それも全校可愛いランクNo1だ! 自慢できるぜ!

よ~し、止め!

今度は蹴りだ!

出来るだけ高く蹴ってくれ!
とにかくやってみよう!

美香、美沙、俺の真似をして蹴ってみてくれ!
気合は突きの時と同じでいいからな!

はい! 分かりました! 

エイ! エイ! エイ! ヤア! ヤア!

ピュ! ピュッ!  ピュッ! ピュッ! ピュッ! ピュッ!

パチッ! パチッ! パチッ! パチッ! パチッ!

すっげーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

おい! 見てみろ!

あの脚! 真っすぐに真上に伸びて、頭よりはるかに上がってるぜ!

おお、、、、! すっげ~ 格好いいな~ サマになってるどころじゃないぜ!
蹴りの速さも見えね~ 一体、ど~なってるんだ!
もし、あの蹴りが当たったら、吹っ飛んじゃうぜ!

やめーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

食パンマンが入口の方を見ています。

う? ど~しちゃったのかな~?

美沙ちゃん、あれ見て!

え! 私は美香ちゃんに言われて入口の方を見ました!

えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

ど~しちゃったの? 何事なのよ!
いっぱい人が入口に群がっています!
殆どが男子ばっかしのようです。

美沙ちゃん、
私たち女子が空手をやってるのを、珍しいがって見に来てるのよ!
男子ばっかしの空手部に私たち女子がいるんだもん。

ふ~ん、、、それにしても多すぎない? 
空手をやる女子って、そんなに珍しいのかな~?
変んな感じだな~あ。。。

キャプテン! あれは? 何事なんですか?

食パンマンは、にっこり笑って私たちに言いました。
君たちを見に来てるのさ! 

よ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~し!

次は、
突きをやった後に、直ぐに蹴りをやるぞ~
2つを続けてやるんだ! 気合は蹴りで出す! いいな!

エイ! エイ! エイ! ヤア! ヤア!

ピュ! ピュッ!  ピュッ! ピュッ! ピュッ! ピュッ!

パチッ! パチッ! パチッ! パチッ! パチッ!

私の横で美香ちゃんが空手の突きと蹴りをやっています。
ツインテールが左右にサッ、サッ、と揺れています。
美香ちゃん!
恰好いいじゃん! サマになってるし可愛いし、輝いてる!

私は小5の時の美香ちゃんを思い出していました。
私の隣に座ってた、み~ちゃん!
みんなにいじめられて1人で悩んでいた、あのみ~ちゃんが
今は私の1番の親友で、しかも合気道の天才的達人で、
そして、今私の横で空手をやっている。
美香ちゃんが居なかったら、今の私は居ない!

パチ! パチ! フラッシュの光です!

あっ! カメラ!

え! 誰かが私たちの写真を撮ってる?
あ~ 新聞部だわ!
てことは、校内新聞に私たちの写真が載るのかな~

なんだか、
思っても居ない方向に事が流れていくような気がするわ!

まあ、悪い方向じゃないから、いいか~、、、、
成り行き任せだわ!

エイ! エイ! エイ! ヤア! ヤア!

ピュ! ピュッ!  ピュッ! ピュッ! ピュッ! ピュッ!

よ~し やめーーーーーーえ!

じゃあ、今日の練習はこれまで! みんな~ ご苦労さん!

美香ちゃんと私はキャプテンに聞きました!

あの~? 文化祭の打ち合わせは~?
ああ、、、これが打ち合わせなんだ! 予定通りだったよ!


え?




その日の我が家の夕食時です。

私は、自分の部屋の鏡の前で空手着姿で自分を見つめていました。
自分の空手着姿を見るのは初めてです。
帯は杉浦先生に教えてもらった通りに締めました。

ふ~む、、、、

これが私の空手着の姿か~
ツインテールの空手ガールが鏡の中に写っています。
ニコニコ、あっかんべ~、目よせ、お澄まし、舌だし、怒り顔
くるりと回ってお尻ぺんぺん、腕組、手を頭に乗せてうさちゃん、、
色んな恰好をしてみました。

そして、今日教わった空手の構えでピタッ! と制止しました。

左手刀を前に出し、右拳を腰に引いた姿が鏡に写っています。

これが、空手の構え!

空手と合気道をミックスした新しい物を作り出す!
本当の強さは技だけじゃない! 
価値あるものをみんなで創り出していく!
あいつら、いいこと言うわ!
気に入ったわ!

私、やってみよう!

えい!

突きと蹴りを鏡に向かって出しました。

すると、部屋に置いてある物やハンガーの服が
一瞬揺れるように動きました。

あれれ~ なんで~?



でも、なんだか、心がワクワクしてきちゃったわ。

お父さんとお母さんに私が空手部に入ったこと報告しなくっちゃ。。。
と、その時です。


美沙~~~~~~~~~~あ!
ご飯ですよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーお!
お母さんの声です!

よし! じゃあ、いくか~あ。 夕食です。

はーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!

トントントン、
私は、空手着のまま、階段を2段超えで降りていきました。

お父さんが、新聞を開いています。
新聞の中から、お父さんが言います。

美沙! で、最近は学校ではど~なんだ? 
変わったことないか?

ドキ! 大ありじゃん!

・・・ し~ん

美沙! 聞こえてんのか~
学校では、ど~なんだ~ 変わったことないのか~?

・・・ し~ん

・・・ う?

お父さんが新聞を閉じて私を見ました。
バサッ! 

ウワーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーア!

・・・ ジロ~ お父さんが私の姿を見つめます。

・・・ お母さんは笑顔で私を見つめています。

美沙! その恰好はど~した! 

お父さん! お母さん! 私、わたし、今日ね、、、、

う・・・ なんだ?

・・・ お父さんが目を丸にして私を見つめます。

私ね、実は、、

空手部に入部しちゃったの!

・・・

えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

空手ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

・・・

うん! 空手!

空手って、あの、エイ、ヤア、の空手か?

うん! その、エイ、ヤア、の空手! 
でね、これがその空手着で、先生にもらっちゃったの!
使用していない道着だからタダでいいって!
で、今日、早速練習をしてきちゃった~あ!
美香ちゃんと2人で今日一緒に入部しちゃったの!
結構、面白いんだよ!

・・・

お父さん! お母さん! ごめんなさい!
事前に相談なく入部しちゃって、、、、、わたし、、、

・・・ お父さんとお母さんが顔を見合わせて、うなずき合っています。

お父さんが言います。

そ、そ~か、、、、空手部か~ 

イイじゃないか! 美沙! 

実はお父さんもお母さんも、
お前が勉強ばっかしやってるんで心配してたんだ!
勉強もいいがな、運動もしなくちゃな、、、!
だから、ちょ~どよかった。な~ 母さん!


そ~ですよ、美沙! 
もうそんなに勉強ばかりしなくていいですよ!
少しは運動もしなくっちゃね!
美沙の健康のためにはいいですよ!


でも、空手をやるなんて思ってもみなかったぞ!
いや~ ビックリだ!
だが、今のご時世、物騒だし、この前のようなことだってあるしな、
護身術を身につけつことは良いことだ! うん! うん!

お父さんもお母さんも大賛成だ!
空手には驚いたが、しっかり頑張りなさい!
但し、途中辞めはダメだぞ! 継続は力成りだ!
みんなに迷惑を掛けないようするんだぞ! いいな!

は~い! お父さん、お母さん、ありがとう!

健一にはお父さんから連絡しておくよ!
美沙が空手を始めたってな!
健一の奴、おどろくぞ~ 、、、 

・・・

でもな~

・・・ ?

お父さん!
お兄ちゃんから最近なにか連絡があった~?
今頃ど~してるんだろうね?

う~ん、、、、それが、、、

え?

お父さん!
ど~しちゃったの? なにかあった?


う、うん! イヤ、、心配するほどの事でもないと思うんだがな、、、
健一の奴! 何故か連絡してこないんだ!

えーーーーーーーーーーーーえ!

連絡がないの!
ねえ! お兄ちゃん! 何かあったの?
お父さん! ど~なの?

うん! 健一のやつ、
忙しすぎて、連絡して来ないんだろう。。。
大学院の勉強もあるし、
最近は企業との共同開発の研究に取り組んでいるらしいからさ。
案外、どこかへ旅行してるのかもしれないしな、、、。

それに、合気道の練習とか、
今井先生に同行して色んな処へ出かけているようだしな~
忙しい毎日を送っているって言ってたし、
健一だって、もう立派な大人なんだから、
1週間ほど連絡がないからと言って、
あまり心配し過ぎてもな~ もう子供扱いも出来ないしな!

ふ~ん、、、お兄ちゃんて、そんなに忙しくしてたんだ!
知らなかった~

・・・ 

お父さん! お母さん!

なんだ?

私、東京に行って来てもいい!


はーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ!


お兄ちゃんに、会いに行ってもいい?
私、明日から学校は2連休だし!
私が、お兄ちゃんの様子を見て来る。
だって、本当は心配なんでしょう~? 2人とも。

2人が行くとお兄ちゃんだって、かえって心配しちゃうし
妹の私がお兄ちゃんに会いに来たってことにすれば、
お兄ちゃんだって気にならないしね!

ダメだ! だめだ!
お前を1人で東京に行かせるなんて、その方が心配だ!
な~ 母さん!

お父さん!
私はもう高2なんだよ! いつまでも子供じゃないんだよ!
身長だって、もうお母さんと変わらないし!

美沙!
そんな問題じゃない! お前は年頃の娘なんだ!
東京にはどんな悪い奴か居るかわかりゃしないだろう!
もし、お前の身に何かあってはな。。。。。

じゃあ、東京にいる女子高生はど~なるの?
み~んな一歩も外に出られないじゃない。。。
親が心配し過ぎては学校にも行けないわ!

ダメだ! だめだ! お前1人で東京には行かせない!
お父さんが許さない!
絶体にダメだ!

お父さん!
じゃあ1人でなかったらいいの?

う? まあ、、、そりゃ1人よりはいいかもな。。。

じゃあ、私、美香ちゃんに頼んで2人で一緒に東京へ行く!
美香ちゃんはお父さんも知っての通り、
とってもしっかりしているわ!
2人だったらいいでしょう? ね! お父さん!

・・・ お父さんとお母さんが顔を見合わせています。。

・・・ お父さんが、腕組をして考えています。。。。

ねえ、お父さん、
私は絶対に変なところなんかには行ったりしないからさ!
絶対に約束する!
それに東京にはお兄ちゃんが居るのよ!
今は連絡が取れなくってもさ、私たち2人が行ったら、
お兄ちゃんと合流して一緒なんだよ!



お兄ちゃんに会ったらさ、遊びに来ちゃった~って、
色々雑談をしたら直ぐに帰って来ちゃうわ!
でも1泊はしたいな~! 東京見物もしたいし!

お兄ちゃんに頼んで、近くに宿泊させてもらうからさ!
お兄ちゃんのお友達や今井先生だって居るのよ、
心配しなくていいよ!

ね! お父さん! お願い! ね! ね!

私はお父さんの顔をじ~っと見つめていました。

お父さんは少し考えて、お母さんの顔を見ました。
お母さんがお父さんにうなずきます。

・・・

可愛い子には旅をさせるか~

よし分かった、1泊で東京に行って来なさい。
但し、美香ちゃんと2人でだぞ!
健一の様子を見て来てくれ! 頼んだぞ!

やったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ!



夢と幻想の森