え? 私は、、、、、今  どこ、、、?

白い世界が少しづつ現実の世界に変わっていきます。

森です。

大きな木の根元に私はうつ伏せになっています。
私のお腹に大きな岩が食い込んでいます。
おへその処に岩の先端がめり込んで腸を突き刺しています。

どれくらい時間が経ったのでしょう?

そっか~
私はこの森でこの岩で私の性欲を満たしていたんだわ!

今日は学校も休みで私はお腹フェチの欲望を満たすために
一人でこの森へやってきてたんだった。。。

やっと我に返りました。

そして、いつの間にかこの状態で眠ってしまったんだわ。
空を見ると晴れた青空に白い雲が浮かんでいます。。。

私はその雲を地面の落ち葉の上に座って、
ただぼんやりと眺めていました。

キレイだな~ ここは私だけの世界なんだわ、、、
そ~だ、、、
私、、、なにか夢を見ていいたような気がする、、?

夢の内容は思い出せないのですが、何となく、、子供の頃の、、
そんな気がしました。

・・・

この森って、いつ来てもいいな~
私の超Hで、お腹の内臓の欲求をストレートに満たしてくれる。
本当に私だけの秘密の世界だわ。。。
来てよかったな。。。

何気なく辺りを見回しました。

すると、

えーーーーーーーーーーーーーーーえ!

嘘でしょう!

大きな木の根元から切り口が尖った太い枝が
突き出しているのです。

これって、この枝って、、、、なに? なんなの?
私を、、、ど~したいの、、、?
私の内臓をど~しようっていうの?

まさか、私がここに来るのを待っていた!
そうとしか思えない!

私は膝で歩きながら、その枝の前に歩み寄りました。
斜め下から枝の切り口が突き出しています。
指で触ってみます。

うっわ!

硬い、 木なのにこんなに、硬いわ!

信じられない!

枝の先端をお腹を近づけていきます。
え~え!
私のお腹の位置とピッタリだわ!
それも斜め下から突き出して、おへその位置で止まっている。
切り口には角度がある!

もし私がこの位置から、そのまま体を倒していくと体重で
この切り口が私の内臓に食い込んで来るわ。ゾクゾク、、

私の体勢の傾きと枝の突き出しの角度で、
切り口が私のお腹に直角に食い込んで来る。

私のお腹はこの枝で串刺しにされる! すっごい、目まいがしそう、、

当然に腸はこの切り口で寸断されてしまうかも!

お腹の中のぎっしり詰まった腸の中にこの枝の先端が
深くめり込んで、私の腸は切り口面でカットされちゃう。
一気にお腹の中に粘液が噴き出してくる、、、

頭の中に自分の小腸の状態が浮かんで来ます。
・・・
先程の岩で腸が突き上げられて刺された。
今度はこの枝の切り口面で腸が切られるなんて!

ああああ、、、、、今日はついてる! ラッキー!

柔らかいお腹に枝の先が食い込んでいる光景が
頭の中に浮かんできます。曲がりくねったピンクの腸

私は極度の内臓フェチ、自分の腸にしか一切興味がない。
その自分の腸が薄っぺらなお腹の中で切断されていくなんて
もう我慢できない! 快感以外の何物でもないわ、、、、、、

あ、、、、、あ~、、、、、、もうダメ、、、

想像しただけで、、、、、気持が変になっちゃう。
下半身が異常だわ。。。異常すぎるわ、、、

まだ何もしていないのに、もうこんなにあそこが
じ~んと熱くなって汗が滲みだしてくる。。。。

ここには私一人だけです。
どんなお腹責めでも自由に出来ます。
どんな醜態もここでならいっぱいできちゃう。。。
ここなら、私の性癖の秘密なんて誰にも分かりっこない。。

私はセーターをめくってお腹の処の肌を出します。
全裸になってもいい。。。ここでなら出来る、、、
実際に、全裸になったことも何度かあるのです。

ですが、全裸は開放感があるようで逆に緊張してしまいます。
やはり私は衣服派です。
何故って全身に汗を出したいし、自分の肌の匂いに包まれたいから。。
服を着ていると汗もめちゃ出るし、体がねっちょりして
お腹の処で物体がしっかりと固定出来て逃げないのです。
セーターをめくって生のお腹を出します。

生の私と生の木が直接に触れ合い合体するのです。
私の内臓をこの鋭い枝の形状にゆがめられます。
私の内臓は柔らかくて温かく生きていて動いています。
それに比べこの枝は硬くて鋭くて冷たい単なる物です。
でもその2つは同じ物体なのです。


限りなく柔らかい内臓にとてつもなく固い枝が食い込んだ時、
それは単なる物と物の接触ではないのです。
枝が硬ければ硬い程に内臓の柔らかさが伝わり、
私の内臓が柔らかければ柔らかい程に枝の強さを感じるのです。


それは硬さと柔らかさの調和なのです。
その強い調和から特殊な世界が広がって来ます。
言葉では表現しようのない世界、、、
あえて言うなら、
気が狂ってしまう程の甘い強烈な快感の世界です。
普通の快感ではありません。
心と身体を快感が突き抜けて痙攣させ溶けていくのです。
炎のように熱く全身が燃え上がるのです。
一度味わえばもう2度と抜け出すことは出来ません。
求めてやまない世界が待っているのです。

枝が私の腸をどのようにしても私は抵抗なんてしません。
切るのか、刺すのか、つぶすのか私はただ受け身のままです。
この枝は妥協なんてしません。自然だからです。
そんな自然に私の体を委ねるのです。

それによって私は別の世界に入れるのですから。。。

じらして、じらして、超Hな気持ちになっていくのです。
この甘い蜜の世界で私は狂ってしまいたい。。。
お腹の力を抜いて大きな木に両手で体を支え少しづつゆっくりと、
切り口に向かって倒れていきます。

なんの抵抗もなく枝の先端が私の柔らかい腹部へと
入っていきます。
ほぼ直角に鋭い切り口が食い込んできます。

あ~ 来るわ、、、、強い、、、
この瞬間って最高にいいな~
柔らかすぎる内臓の中に絶対的に強い物が食い込んでくる、、、
冷たくて、すごみがあって、譲らない強さ、、

あ、、、、、、、! 来る、、、 いい、、

切り口が私の腸に触れました!
私の腸に張り巡らされた性感帯が一斉にビビーッ!と反応します。
全身に細い線が広がって震えます。
ゆっくりと、慌てず、しっかりとじらして
この魅惑の世界の入り口を味わいます。

枝の切り口がもう直ぐ腸をカットするんだわ!
それも時間をかけてゆっくり、ねっちりと
つぶすように押し切っていくんだわ、、、

切り口がかなり奥の方まで食い込んでいます。

あ~ 、、、、 いい、、、、いいわ、、、

荒々しくて強くてシャープで飾りっ気のない素朴な強さ!

、、、、感じるわ、、あ~ なんて素敵なの、、、いい

すっごくいいわ、、、、最高だわ、、、、こんな快感って

ここでしか味わえない、、、、、、あ~ いい、、、

これが私の内臓なのよ、、好きにしていいから。。。

この快感は私だけのもの、その代わり私の内臓は全てあげる。。

鼓動が寸断されていく、、、腸が切られていく、、、あ~ 最高だわ、、、
もう少しで一番奥へ届く、、、、、ゆっくりと、、

その時です。

膝をついた足元の枯葉が、スルッ! と滑って、両手が木から外れて
状態が一気に前に倒れました。

ぐちゅっ! うっ!

目の前が急に赤くなったかと思うと、それが黒になって、、、、
意識が遠くの方へ行ってしまいました。

・・・

・・・

なにがど~なったのか分からないまま、、、
気が付くと辺りが白くなって少しづつ周りが見えてきました。

・・・ ?

・・・

私はスタート地点で片手を上にあげて助走に入りました。
力いっぱい走ってバーに向かっていきます。


ダダダダダダダダダダアダ、、、、、ダダダダダダ

あーーーーーーーーーーーーーーーーあ!

踏み切れな~い! ジャンプできな~い!


そのまま直進でバーを両手に掴んで、


うわ~あ、、、、、、ど~ン!

クッションに頭から突っ込んでしまいました。


私が起き上がるとみ~んなが私にパチパチパチパチと
手を叩いて、転げまくって笑っています。 くそ~!


5時限目の体育の授業です。

はーーーーーーーーーーーーい! 集合!

先生の声でみんなが一カ所に集まって座りました。

いいですか、走り高跳びは助走が大切です。
助走と言うのはタイミングを合わせる事です。
自分の体と気持ちが完全に一致した状態で
ジャンプすることがポイントなんだ。


ただ、みんなに知ってもらいたいのは
この走り高跳びでいかに高く飛べるかどうかよりも
今までの自分と比較してどれだけ上手く
飛べるようになるかってことが大切なんだ!


自分に対してのチャレンジなんだ。
人と比べてどれだけ高く飛んだということじゃあない。
この競技に限ったことじゃないが、
体育を通じて健康な体を作って自分の将来の
夢を叶えるために役に立てるんだ。
勉強だって同じだ。


先生が思うには、
もし人生に尺度があるとすれば、
それは、いかに自分が多くの人のために役だったかが
尺度だと思ってる。

そのためには体を鍛えないと何もできない。
弱い体や病気になっては何もできない!
君たちはまだ高2だ!とても若い!

しっかり体を鍛えて人のためになる人間になりなさい。
そ~思ってバーに向かって大きくジャンプするんだ!
今の自分より少しでも高く飛び上がるんだ!
バーに向かってではない。
夢に向かって力いっぱい高くジャンプするんだ!


いいね!


はい! 杉浦先生!


人生の尺度か~あ、、、
いかに多くの人のために役だつかが尺度。。。


杉浦先生ってなんだか体育の先生じゃあないみたい。
だって、
私たちに将来の生き方を教えてくれてるもんね。

難しくて少し分かんないけど、
でも何となくいいな~あ、、この先生、私的には好きかな。。。
美香ちゃんも、私も大好きと言いました。

夢に向かって力いっぱい高くジャンプする!

そっか~ 夢に向かってのジャンプなんだ!

バーが目的じゃあないんだ、単なる通過点なんだわ!

美香ちゃんが手を挙げてスタートしました。

タッ! タッ! タッ! タッ! タッ!

踏み切って、ジャンプ!

ああああああああああああああああああああああ、、、!

飛び越えたーーーーーーーーーーーーーーーーーあ!

美香ちゃんが夢に向かってジャンプ!
そしてバーを飛び越えちゃった。。。。。すっごい美香ちゃん!

美香ちゃんが嬉しそうに両手をガッツポーズしています。
笑顔が輝いています。

美香ちゃんが言います。

やったーーーーーーーーーーーーーーーーーあ!

夢に向けて飛び越えたーーーーーーーーーーーーーあ!

私は手が痛くなるほど拍手しました。パチパチパチ、、、

よーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーし!

私だって!

夢に向かって大きくジャンプするぞーーーーお!

右手を大きく真っすぐに空に挙げて、呼吸を合わせて
スタートしました。

ダダダダダダダダダ、、、、、ダダダダダダ、、、、

杉浦先生が言ったように歩調のタイミングを合わせていきます。
バーが近づいて来ます。

夢に向かって!

踏切だーーーー!

エイッ!  ジャンプ!

やった~ 私も飛び越えられた!

そ~思った、次の瞬間、

ガタン! ドン! キャーーーーーーーーーーーーア!

お尻が~

痛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!

大きな音がして地面が私に近づいて来ました。

一体何が起きちゃったっていうの?

起き上がると、みんなが前以上に転げまくって笑っています。
大拍手が聞こえます。

え~ どうなっちゃたの~?

よく分からないまま戻って美香ちゃんに聞くと、
ジャンプしたのは良かったらしんだけど、
バーの真上に飛び上がって、お尻からバーと一緒に
地面に墜落したらしいです。

え~ 墜落?

みんなも美香ちゃんも初めて見たので勉強になった
って言っていました。

いかに多くの人のために役だつかが尺度

そっか! 私の墜落はみんなの役に立ったんだ!
これでいいんだわ!

・・・

その日の放課後です。

美香ちゃんと私は掃除当番が一緒で授業後居残りでした。

机や椅子を移動させてモップでフロアーがけするのです。
丁寧にやれば切りがありません。
結構な重労働です。

美香ちゃん!

飛べちゃったね! 高跳び! すっごかったよ~!
夢に向けてのジャンプ、大成功だったね!

ありがとう、美沙ちゃんだって誰よりも高さはあったんだよ。
みんな超ビックリしてた。
落下の場所が問題だったけどさ。
美沙も夢に向けてのジャンプ、大成功だったよ!

夢に向かって力いっぱい高くジャンプする!か~ (私)

あの先生、なかなか良いこと言うわね。(美香ちゃん)
教え方が! うまいよ!
杉浦先生って、うちの空手部の顧問だって!

ふ~ん、、、、空手部~? (私)
なんだそれっ?
空手って名前は聞いたことあるけど、何するの?

私もよく知らないけど、
プロレスと柔道を一緒にしたもんよ!(美香ちゃん)

ふ~ん、、、 、、、そうなんだ、、、(私)
まあ、私たちには関係ないわよね。
特に私は運動神経鈍いし全然関係なさそう。。。ケラケラ!

帰ろっか~ うん!
美香ちゃんが私に、
えい! や~ プロレスだ~ 柔道だ~

私はお腹を抱えて
う~ やられた~

ケラケラケラケラ、、、、私たちって本当に高校生?
幼稚すぎかも、、、、小学生みたいだね、、ケラケラケラ、、

その時、ガラガラっと音がして教室の前側の扉が開きました。

え?

杉浦先生!

何故、杉浦先生が私たちの教室に来るの?

私は美香ちゃんと顔を見合わせました。

・・・

あ~ きっと見回りかなんかで各教室を見て歩いてるんだ!
私たち2人は同時に先生に頭を下げました。

先生! 今、掃除が終わりました。
これから私たちも帰ります。
そ~言って美香ちゃんと私はカバンと体操着の袋を持って
帰ろうとしました。

じゃあ、先生、失礼しま~す。

と、その時です。

待ってくれ! セーラムーン!

・・・

・・・ ?

私は美香ちゃんの顔を見ました。
美香ちゃんが顔を横に振っています。
意味不明の単語が耳の中に入ってきました。

セーラムーン?

なにそれ?
でも確かに間違いなくそ~聞こえたのです。
杉浦先生が真面目な顔をして私たちを見つめています。
何故か私たちの反応を伺っているように感じました。

・・・ 先生が私たちを見つめています。

ヤッバー!

なんか変な空気が教室に流れています。
先生の目が絶体変だ、、、、、

・・・ ゆっくりと美香ちゃんに寄っていきます。

美香ちゃんの袖に手をそっと近づけてトントンと合図しました。
次の瞬間、私たちは近くに置いてあったカバンとナップサックを
大慌てで握ったかと思うと、

タタタタタタタタ、、、バタバタバタ、、、、タタタタタ、、

教室の後の出口に向かって
一目散で教室から飛び出しました。

美香ちゃんと私は並んで廊下を超特急で走りました。
2階から1階に階段を飛び降りるようにして走って
靴置き場まで来ました。

は~ もうここまで来れば大丈夫だわ!

ハアハアハアハハハアハア、、、息が切れます、、、
お互いに声が出ません。ハアハアハアハ、、、心臓が高鳴っています。

でも、私は美香ちゃんに言いました。

おかしいよね! 絶対 変だよね!

うん! うん! 絶対に変だった! 今のなに?

杉浦先生が変な目つきで私たちを見つめてた!(美香ちゃん)
セーラムーンってなに?
小学生の人気アニメじゃん、、
なんで先生がそんな変な事言うの?
そんなの分かるわけないじゃん! キモ、、

・・・

と、その時です。
靴置き場の出口の処から声がしました。

・・・

野々村美沙君! 山口美香君!

・・・ ドッキ!

えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

うっそ? 先生が先回りして出口に立ってる。。。

それに、
なんで杉浦先生が私たちをフルネームで知ってるの?
美香ちゃんと私はまたまたビックリです。
担任でない杉浦先生が私たち2人の名前をフルネームで
知ってる訳ない。普通なら

一体ど~なってるの?

又、私たちはお互いの顔を見合わせ、
互いの手を ぎゅ~っと! 握りしめました。
美香ちゃんと私が後ろに下がります。いったい何なの?

・・・ 杉浦先生が言います。

いや~ ごめんごめん、、、驚かせて悪かったね!
心配しなくても大丈夫だよ。
少し君たちと話しがしたいんだ!

・・・ ?

先生の顔は普通の優しいいつもの顔でした。
私は杉浦先生が好きだし美香ちゃんもそ~みたいなので
だから先生の話を聞くことにしました。

1階の職員室の隣の部屋に案内されました。
進路指導や個人面談の部屋に使われている部屋です。
私たち2人は並んで先生と向き合って広い机に座りました。

先生が言います。

急に驚かせて、すまん! すまん!

君は野々村美沙君だよね!
そして君は山口美香君!

あ、はい! そ~です。。。

・・・ ?

会いたかったよ! ず~っと探していたんだよ、、、
もう6年にもなる!

セーラムーン! 会えてよかった。
本当に会いたかったよ!

美香ちゃんと私は顔を見つめ合います。
次の瞬間、

ガタガタガタ、、、ドタドタドタ、、、バン!

打合せなしで、
一気に走って部屋から外に飛び出しました。

心臓が破裂しそうです。
美香ちゃんも必死で逃げることしか頭にありません。
2人は靴置き場から靴だけを持って裸足で外の地面を
走りました。

タタタタタタタタ、、、バタバタバタ、、、、タタタタタ、、

校舎から飛び出して自転車置き場まで必死で走りました。
息が切れて言葉が出ません。

美香ちゃんは両手を膝に立て苦しそうに肩で息をしています。
美香ちゃん! 早く帰ろう!
うん!

2人は自転車に乗って校門を出ようとしました。

えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

うっそ!

杉浦先生だーーーーーーーーーーーーーーあ!

杉浦先生が校門の出口で、両手を広げて通せんぼしています。
美香ちゃんも私も急ブレーキで自転車がこけそうになりました。

先生ーーーーーーーーーーーーーーーーーい!

何ですかーーーーーーあ!
いったいど~したんですか~?
止めてください!
美香ちゃんが大きな声で叫びました!

野々村美沙! 山口美香! 君たちはセーラムーンなんだ!
頼むから、先生の話を聞いてくれ!

美香ちゃんがグランドの方を目で合図しました。
一斉に私たちはグランドに向けて自転車を走らせました。

美香ちゃん! 先生は頭をどこかで打ったんだ!
きっと最近の異常気象のせいなんだわ!
変になってる! 捕まってはダメ! 逃げるのよ!
うん!
美沙ちゃん!
離れないで付いてきてよ! 行くよ~
2人は体を立てて自転車をこいで全速力でグランドに向けて走らせました。

あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ!

サッカー部が試合中だーーーーーーーーーーーーーあ!
ど~しよう、、、、
いいから突っ込んむのよ!

・・・

こらーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ、、、、

お前たち何なんだ! 今、試合中なんだぞ!
こんな処へ自転車で乗り込むなんて、いい加減にしろ~

試合中の男子が大慌てです。
そんなコートの中を自転車でぐるぐると走ります。

ピーーーーーーーーーーーイ! ホイッスル! 試合中断!

直ぐにいっぱいの男子が走って来て、
私たちの自転車を取り囲みました。 あ~ もうダメ!
サッカー部員に囲まれて、仕方なく自転車を降りると、
直ぐに杉浦先生が走ってやってきました。

うわ~ もう最悪! 逃げられない!

先生が言います。
君たち!どうか先生の話を聞いてくれ!
話を聞くぐらいできるだろう、、聞くだけでいいんだ! 頼む!

美香ちゃんが私の顔を見てうなずきます。
さ~ こっちへ来なさい!

私たちは男子にペコッ!と頭を下げて謝りました。
杉浦先生と私たちはグランドの横のコンクリートの階段に座りました。

なんだか変な感じだな~、、、、
先生は一体私たちに何を話したいのだろう?
美香ちゃんも私も心の中でもやもやとした思いでした。


先生が言います。

先生は君たちを驚かせてしまったみたいだね。
いや、本当に申し訳ない。謝る!
でも、君たちにど~しても聞いてもらいたい話があるんだ!
もし君たちが今から話す内容に心当たりがないようでも、
最後まで聞いて欲しいんだ。

聞いてもらえるだろうか?
杉浦先生が真面目な顔で私たちを見ます。
元々、美香ちゃんも私も杉浦先生は好きです。

美香ちゃんと私はそんな杉浦先生が言ってることなので、
お互いの顔を見つめ合いうなずきあいました。

美香ちゃんが言います。
はい、先生! 分かりました。もう逃げたりしません。
私もうなずきました。


そ~か、ありがとう、、、じゃあ話そう、、

実は、6年前、ある勇敢な少女たちと出会ったんだ。
その少女たちは、いじめを無くそ~と体を張って必死で頑張っていた。
先生が南校の空手部の顧問をやっていた時に、
自分の監督不足で自分の部活員が残念にもいじめをやっててね、
そこに少女たちがやってきて、いじめを解決してくれたことがあるんだ。

そればかりか、私の教え子だった不良グループの暴走族の1人も
その少女が更正させてくれたんだ。

私の教師人生の最も大きな難関であり最大の喜びでもあった。
私に取っては、今も将来も決して忘れることの出来ない出来事なんだよ。
そればかりか、私はその少女に大きな勇気と愛をもらった。

人生の中で難関に接する度に、私の心にその時の少女たちの姿が、
少女が言った言葉が思い出されて勇気付けられて来たんだ。


そこまで話すと先生は私たちの顔を見つめました。

・・・ 一体先生はなんでそんな内容を私たちに話すんだろう。。。
・・・ 美香ちゃんだって戸惑っている様子です。。。

・・・ 先生の過去の経験談はわかったけど、
私たちとどんな関係があるっていうのかな~

私は先生に聞きました。

あの~ 先生!
その少女ってどんな子だったんですか~?

あ~ 当時小学5年生だったよ!
ツインテールの可愛い女の子だった、、、!

えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

小学校の5年生ーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!

美香ちゃんも私も目を丸くして先生の顔を見つめました。
小5の女の子が今先生が言ったようなことをやっちゃったなんて、、、
信じられない! あり得ないわ! 嘘のような話です。
でも先生が嘘なんて言ってる風じゃあないし、、、、

でも、でも、なんでそんな話を私たちにするんだろう?
疑問だらけです。なんで?

先生が又話し始めました。

その少女たちは幼いながらにして、いじめを正すために
勇気と愛を持って正面からぶつかっていたんだ。

その少女の1人は恐ろしい程の強さだった。
当時の高校生の空手部員20人を一瞬にして負かす強さだった。
目に見えない動きと宙を舞う、イヤ、まるで空を飛ぶようだった。

私がこの目で実際に見たんだから間違いない。
本物のセーラムーンだった。
話し方がかなり荒っぽい少女だったが、的を得ていた。

当時その少女と接した人間は今は全て立派な大人になっている。
中にはまだ学生も居るがね。。。みんなまともな成人だよ。
その少女たちのお陰なんだ!

私も勿論だが、
その時少女たちから教えられた勇気と愛に今でも全員が敬意を表している。
あれから6年が経つ今でも、
私とその当時の人間が集まって「勇気と愛」という親睦の会を設立し
たまに親睦を深めているんだ。

世の中の色んな問題にも仲間として協力して取り組んでいる。

・・・

美香ちゃん! 杉浦先生って、私たちにそんな話をなんでするのかな~
なんでだろうね、、、、分かんない、、、、


でも本当にそんな小学生が居ると思う?
思わない、、、、、やっぱし先生、変かもしれないよ、、、うん!
でもなんだかいい内容だね、、、、「勇気と愛」か~
「勇気と愛の会」か~

・・・

美香ちゃんが聞きました。

あの~ 先生、、、それで、その少女たちは今どこに居るのですか?

ああ、、、それが居ないんだよ!

え! いないんですか?

その後みんなで必死になって探し続けたんだがね、
少女たちの小学校に行っても居なかったんだ。。。。
何故か分からない!

学校側に何度も足を運んだし、関係筋にも聞きまくったんだ、
みんなで必死で探したよ!

でも見つからなかった。
全く何がど~なってるのかさっぱり分からなかったよ。
理解できないんだが居なかったんだ。
今でもみんなそれぞれが探しているはずだよ。


信じられないことなんだけどね、
だが、先生は間違いなくその少女たちと接したし、話もした。
間違いなくその少女たちは居た!


イヤ、居る!
それに先生だけじゃあない。当時の20人以上の人間が実際に
少女たちと触れたのだから間違いなく存在していたんだよ。

・・・

当時、少女たちは自分たちの事を、

セーラムーンと言ってたんだ。

悪を正す正義の味方、セーラムーンだとね。


はーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ! ???

セーラムーン~  ??????


美香ちゃんが私に寄り添って、顔を横に何度も振っています。
違う、違う、私関係ないから、、、、、、

私は先生に恐々聞きました。

あ、あの~ 先生、、、
掃除のとき教室で、、、確か、、、そんなことを、、
それに進路指導室でも、、、、、私たちを、、、

私たちのことを、
セーラムーンとか言って、、いた、、よう、、、な~??

ああ、、、、確かに君たちの事をセーラムーンって言ったよ!

あの~ まさかとは思いますが、、、、(美香ちゃん)
ひょっとして、、、、、
先生は私たちの事をその当時の少女だと、、、、
、、思ってたり、、しちゃって、、、まさか、、、ないですよね。。。

美香ちゃん! いくらなんでも、、、それはないわよ、、、
だって宙を舞い空を飛ぶんでしょう、、、私たちには無関係だってば!

だよね、見えない速さで動くなんて、、、
先生! 今日の5時限目の走り高跳び、覚えていますか~?
この子なんて頭から突っ込むか、お尻からバーと一緒に地面に
墜落しちゃうんですよ、、、ケラケラケラ、、、、、


パチン! 痛っ!

悪かったわよね!あれは夢に向かってのジャンプなんだからね!
私は美香ちゃんの脚を手で叩きました。

先生が胸に腕組してグランドの方を見て考え込んでいます。

あの~ 先生!
私たちは先生の言われるセーラムーンではありません。
かなりめちゃめちゃ無関係だと思います。

・・・

先生が私たちを見つめます。

ドッキ! ヤバそう、、、

、、、あの~ 先生、、私たちの友達にもそんな
すっごい人は、居ません、、、心当たりも全くありません。
本当です。 何もお役に立てず済みません。

じゃあ、私たちもう帰ります。
そう言って立ち上がりました。

そ~か~ 君たちじゃあないんだね。。。。

私たちは自転車にまたがって帰ろうとしました。

杉浦先生は階段の処にうつ向いて座ったままでした。

美香ちゃん! 早く行こう! うん!

先生の声が後ろから聞こえました。

最後に1つだけ、
その少女はハッキリと言ったんだ!

私は悪を正す正義の味方、少女戦士セーラムーン、野々村美沙だ!
私は正義の味方悪を正すガリガリ噛みつきセーラムーン、山口美香よ!
ってね!


6年前の事だよ。今彼女たちは高2だ! 君たちと同じなんだ!
顔だってよく似てる! 2人ともだ!

え!

美香ちゃんと私はハンドルを握ったままお互いに顔を見合いました。

・・・ そんなバカな、、、、、、あるわけない、、、だね、、、

先生! 済みません。。。私たちセーラムーンじゃありません!
ビシャッ!と言い切って2人一緒に校門を出ました。

美香ちゃんが、何か考え事をしているようです。
私も何かがもやもやとした気持ちです。。。

2人は同時に自転車を止めました。
美沙ちゃん! 少し遠いけど公園に行ってみようか?

あそこなら人も少ないし、静かでゆっくりできそう。
そこで少し話さない?
うん! そ~した方がいいかもね、、、行こうか、、、


20分程かけて広い公園にやって来ました。
久しぶりです。1年ぶりくらいかな~ でも以前と変わっていません。
私たちは公園の2つのベンチに背中合わせで座りました。
横並びより顔が近くでよく話せるのです。
顔が見えないから思ったことを何でも言い合えるのです。


美沙ちゃん!
杉浦先生の話、ど~思う? 信じられる?
私は嘘なんかじゃないって思うけど、ただ、、、、
ただ、、、なに?
う~ん ただ、あの話だとセーラムーンが本当にいたってことでしょう?
セーラムーンはアニメじゃない。。。

仮にアニメじゃないとしても
本当に小5の女の子が高校生20人を一瞬にして負かすなんて出来るのかな~?
空手ってプロレスと柔道が一緒のものなんでしょう。。。
信じられない! 小5の女の子たちには無理よ!

そ~だよね! 先生を信じない訳じゃあないけど
やっぱり嘘なんだ!

でも~ 本当のような気もするけどな~

ゴン! ぁ痛っ!

美香ちゃんが後ろから後ろ頭でゴンしました。
美沙はどっちなのよ? 嘘OR本当

じゃあ美香ちゃん、こうしない、本当だとして考えてみない? (私)
もしあの話が本当だとしたら、私たちがセーラムーンってことだよね。


まあ、、、そ~ なるわね。。 (美香)

6年前私たちに、そんな出来事あったっけ?(私)
6年前ね~、、、、? 全然覚えていな~い、、、(美香)
そんな大きなことがあったら、絶対に覚えているわよね。(私)
私も覚えていないってことは、つまり、そんなことはなかった。。

・・・

じゃあ、
私たちでないけれど、小5の時、同姓同名の他の人が居たとか、、、(美香)
で、当時何かの事情で転校しちゃって居なくなっちゃったとか。
2人同時に~、、かなり無理があるみたい、、、、(私)
あの当時、同姓同名の2人なんて居たら話題になってるわ。


じゃあ、本当に私たちがセーラムーンだったとか。。。(美香)
だけど、何故かそのことを本人達が忘れちゃってるだけだとかさ。。
でもさ、もしそ~だったら高跳びのお尻墜落はど~いうことかな~(私)
だって空を飛べちゃうんでしょう。。。? 墜落はあり得ない!
そ~思わない?

・・・

だね、、、あり得ない。
でも1つだけ気になることがあるの。先生が言ってた話の中でね。。。(美香)
え? どの部分?(私)
なんでもいいから話してみて!
私にはあの話全てが自分とは無関係の事ばっかしに思えたけど。。。


ツインテールって言ってたわね。(美香)
私、確かあの頃そんな髪型してたみたい。
アルバムにも写真があったわ。
あれって美沙ちゃんの真似しちゃった気がするんだな~

ふ~ん、、、そ~なんだ~ 私は覚えていないな~(私)
美沙ちゃんもツインテールだったみたいよ。だって(美香)
美沙ちゃんと私の2ショット写真だもん。。
どちらも同じ髪形で、すっごい嬉しそうだった。
すっごい活き活きとしてて、笑顔でね、、
何だか2人とも輝いているような写真だわ。

ふ~ 、、、、 ツインテールか~

セーラムーンは、 ツインテール、、、、!

美沙ちゃん! 私たち、、ひょっとして
美香ちゃん! 私たち、、、そのひょっとの、セーラムーン!

・・・ ???????

なわけないか~  だよね~  ケラケラケラケラ、、、

でも杉浦先生かなり落ち込んだ顔しちゃってたね。(私)
そ~思わない?

・・・

あれ? 返事がない!

美香ちゃんてば、、、、

美沙ちゃん! ヤバイ! なんだかヤバそう、、、、、
ヤバイって何が、、、、、、、?
美香ちゃん、ど~しちゃったの?

美沙ちゃん! 変な奴らがこっちへ来る!

え? 変な奴ら?
うん! 3人の大きな体の男が私たちを睨みつけて、
こっちへ近づいてきてる。振り向かないで!

なんだか超ヤバイ感じがするわ!
一気に自転車まで走って逃げるのよ!
私が合図すると走るの! 用意はいい!

・・・

美香ちゃん! もう手遅れみたい!
こっちにも4人変な奴らが私たちの自転車の処から
近づいてくる!


えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!


ど~しよう?
美沙ちゃん! 学校でも言ってたじゃない、、
学校のホームルームや放送でも寄り道しないようにって、、、
最近この辺りで女子高生を狙った暴行事件が起きてるんだって、、


噂では、
どこか倉庫のような処へ連れていかれて
みんなで意地悪されて変な写真なんかを撮られるって言ってた。


え~ じゃあ、まさか、、、、? あいつらが、、、、
間違いないわ! ど~しよう、、、、私たち犯されちゃうの、、?
死んでもイヤ! あ~、、、、、大ピンチ!

その変な奴らが私たちを取り囲みました。

男たちが、じろじろと私たちを見つめています。
頭からつま先まで見ているのが分かります。
きっとHな目で私たちの体を見ているに違いありません。
まるで獣に睨まれたようで動けません。
恐怖で体が震えています。


こんな上等なの初めてじゃんか! 手間を掛けるなよ、、、

あ~ 最悪! これからど~なっちゃうんだろう、、、?

止めてください! 美香ちゃんの声。

私の後で、美香ちゃんが男に立たされた風です!
と、次の瞬間

ドス! うっ! っと声が聞こえました。

美香ちゃーーーーーーーーーーーーーーん!

直ぐに私も両側から腕を掴まれて立てらされたかと思うと、


ボムッ! ウッ!


私の鳩尾の深くに硬い拳がめり込んで横隔膜を突き上げ、
胸の奥まで届きました。


一瞬、目の前が真っ白になって体の力が抜けていきます。
その時、その白い霧の中に1人の少女の姿が見えました。
ツインテールにピンクのリボンを付けています。
意識が薄れる中、私はその顔を見つめました。
だれ? 霧で顔がよく見えません。
でも、
ランドセル姿の小っちゃな体の女の子がいます。
いったい誰なの? じ~っと見つめます。
霧の中から、その顔が浮かび上がってきます。
段々と姿がハッキリと見えてきました。

え~~~~~~~~~~え、、、、、

うそ! 私だ!
小学生の私が輝くように私に笑いかけています。。。

なんて、はつらつとして優しそうで可愛いんだろう。。
これが、これが、、、私なの~、、、、
その内、
目の前が暗~くなって意識が遠くへ行ってしまいました。

 

ふと気が付くと、
変な顔をした男が私の顔を見つめています。

キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーア!

私はビックリして飛び上がって、

止めてください! 乱暴はしないで! お願い!

そ~言って両手を胸に当てて逃げようとしました。


美沙ちゃん! もう大丈夫だよ!
美香ちゃんの声が、後ろから聞こえました。

え? 美香ちゃん、、、

私たち助かったんだよ! この人たちが助けてくれたの!
もう心配いらないわ!

その声で後を振り向くと
美香ちゃんの前に太り気味の変な顔の男の人が居ました。

私たちあれから一体ど~なっちゃたの?


私たちが悪い奴らに連れて行かれそうになってたところを、
ここにいる男の人達が助けてくれたの。

悪い奴らとやり合ってかなり殴られたみたいだけど
なんとかあいつらを追っ払ってくれたのよ。

私は、目の前に居る男の人を見ました。
ひどい顔をしています。何度も顔を殴られたのでしょうか。
唇から血が滲んでいます。


その様子からかなりの乱闘だったと想像出来ました。
こんなになっても見知らぬ私たちを救ってくれたんだ。。。

私は、

あの~ あ、、、有難うございました、、、と言って
丁重に頭を下げました。
美香ちゃんの前の男の人にもそ~言って頭を下げました。

いや~ よかった!
あいつら本当に たちの悪い奴らで、変な組織が後ろ盾てでさ
可愛い女子高生を狙っては暴行を働いているんだ。
本当に腹の立つ奴らだ。

でも良かったよ! 連れていかれなくてよかった。
2人が被害に合わなくってさ! よかったよ無事で、、
それより腹は大丈夫なのか?
かなり強く殴られたみたいだからな、痛くないか?

女の子の腹を殴るなんてとんでもない奴らだ!
病院に行かなくてもいいか?
痛いようだったら連れて行ってやってもいいぞ!


いえ、、、大丈夫です。
美香ちゃんもそのようでした。

もう下校中にこの辺りに寄り道なんてしてはダメだよ。
さあ、早く帰った方が良い、、、

今日は家の近くまで俺が君を送っていく、
吉本! お前、その子を頼むぞ! ああ、、、OK

・・・

私は助けてくれた男の人と一緒に自転車を押して帰ることになりました。

あの~ 先程は本当にありがとうございました。
改めてお礼を言いました。

あの~、、、あなたのお名前、、、、、、なまえは、、、

あ~ 名前か~ そんな言う程の者じゃあ、、、

でも~、、、、、、わたし、、、、

そ~か、、、俺の名前は田中だ!

田中さんですか、、、、、、、

で、君の名前は?
イヤ、、、もしよかったらで、、、言わなくても構わないよ、、、

あ、はい! 私の名前は、、、野々村です。

・・・

・・・ し~ん

・・・ ?

・・・ あれっ? ど~しちゃったの~お、、、

・・・ ?

・・・

何故か田中さんは話を止めました。
2人は自転車で家の近くの空き地に来ました。

あの、、、、、わたし、、、もうこの辺で大丈夫ですから。

今日は本当に有難うございました。そ~言って
丁寧に頭を下げて、自転車に乗って走り出しました。

・・・ と、その時 後ろから、、、、

美沙! 俺だよ!

え? 美沙?
なんで私の名前を初対面の人が知ってるの、、、?
私は急ブレーキで両足を地面につけました。

6年前の事、忘れたのか? 俺だ!


はーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ?


6年前の事~ またその話か~

田中さんが言います。

美沙! 随分と大きくなったな!
それに、めちゃめちゃキレイになったよ!
みんなお前たちをどれだけ探したか分かってんのか?
美沙だろう! 顔だって似てる!


田中さんも杉浦先生と同じことを言っているわ。
大きくなった~?
6年前は私は小学校5年生10歳だわ、多分。ちっこかったわ!
今は身長164cm、、、まだ伸びてる。。

キレイになった~?
うん!うん! これは許せるか~、、、少し照れちゃう、、

探してた~?
私じゃあないんだってば、、、ややこしいな~
ど~説明をしたらいいの?
私はどこにでもいる、普通の女子高生だけどな~

 

その時ふと頭の中に浮かんできました。
私がお腹を殴られて気絶する時に見た女の子!
そ~いえば、、あの子、、
私に何かを伝えたかったのかもしれない、、、、


ピンクのランドセル姿の小学生、、、、
ツインテールの女の子、、、、、
顔は間違いなくわたしだった、、、、、
輝くように明るい顔で私に笑いかけていた、、、、
あれが6年前の私の姿なの~


そして、そして、あれが本物のセーラムーン?
顔は私だった。
本人の私が間違えるわけない。
美香ちゃんが言ってたようにツインテールだった。
あっ! ランドセル、、、ピンクのランドセル!
小学校時代、私はピンクのランドセルだったわ。

私がセーラムーン?

だとしても、
今の私は本物のセーラムーンなんかじゃあない!
自分のことは自分が一番によく知ってる。
勇気もないし強くなんてない。。。


あの少女は何故あんなに私に笑いかけてるの?
なぜ私の前に姿を現したの?
まさか私に、、、セーラムーンになれって言うの、、、?


私は弱いし、強くなんて全然ないのに、、、、
今の私にはそんな勇気も力もないわ、、、
あの少女のように輝けない、、、私には無理!
でも、でも、
本心は私だってあの少女のように輝きたい!


今の私のままでいるのか、1歩進んでみるのか、、、
夢に向かってジャンプしたい気持ちはあるわ!
でも、、、そんな勇気は私にはない、、、

田中さんの声が後ろからします。

お前は、
悪を正す正義の味方だろ!
少女戦士セーラムーン、野々村美沙だろう?

あ~ もう止めて、、、私はそんなんじゃない、、、
少女戦士なんかじゃない、、、

私は、自転車から降りました。

田中さんがきっと私の後ろ姿を見つめています。
頭の中でさっきの少女が笑っています。
笑いながら言っています。。。人は変われる。。。。

・・・

・・・

・・・

私は背を向けたままで言いました。

・・・

田中さん! お願いがあります。
あ~ 勿論、なんでも遠慮なく言ってくれ!

もし田中さんが約束をしてくれないなら、私はこのまま帰ります。

約束? ・・・ あ~ 分かった!
美沙! 約束する!

・・・

私はその場で振り返り、田中さんの処に歩いていきました。
そして、その手を取って広場の塀の裏に連れていきました。

お、お、おい、、、、み、美沙、、、、、お、お前、、、、
いったい何をするってんだ、、、、、、

ここってなんだかヤバくないか?
俺はいいけどさ、、、、、お前は、、、

私は田中さんに正面に向かって立って真面目に言いました。

田中さん! あなた、なんでもするって約束しましたね!


ああ、、、

・・・

じゃあ、
私がストップをかけるまで、
私のお腹をその拳で殴ってください!

えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

腹を殴るーーーーーーーーーーーう! ま、待ってくれ!
そんな、、、そんなこと、、、俺には出来ね~、、、

あなたは嘘つきなの?
今約束したことを直ぐに破る嘘つきなの?


だってさ、、、、女子高生の腹を殴るなんて俺には出来ない!

そ~ じゃあ私は帰ります。
もう2度と私の前に現れないで!
私はそ~言い放してその場を立ち去ろうとしました。

塀の裏から出ようとした時、

分かったーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ!

やるよ! 殴るよ! やればいいんだよな!

私は振り返って田中さんの処へ戻り、
正面に立ちました。

・・・

思いっ切り、やってください!
お腹の力は全て抜いています。

さあ、、、やって!

・・・ モジモジ、、、

・・・ さあ、早く、、、殴るの!

・・・ モジモジ、、、モジモジ、、

腹を殴るんだな? でも痛いぞ! ど~なっても知らないぞ!

さあ、、、殴って!

私はお腹の力を全て抜きました。

田中さんはかなり迷った末に覚悟を決めて拳を握りしめました。

じゃあ、美沙! 殴るぞ!

ドス! ぐちゃ! うっ! クーーーーーーーウッ!

お腹の中で腸がにゅるっとなりました。
思ったより強いパンチです。

あ~ 悪い、、悪い、、痛かったか、、、大丈夫か美沙!

お腹の内臓が痙攣してぎゅ~~っとめくれるように動いています。
あ~ なにかがお腹の中で起こりそう、、、

・・・

そんな弱いパンチじゃあダメです。もっと力いっぱい殴って!

え~ 美沙! お前の内臓が破裂してしまう!

いいから、、、、思いっ切り殴って! もっと強く!

やって下さい! 続けるの!

ドボ! ぐちゃ、、うっ! うーーーーーーーーーーーう!

内臓の中に拳がめり込んでお腹の行き止まりまで届きました。
あ~ 地球が回ってる。。。

私は九の字になって倒れそうになって田中さんの体に
両手でしがみつきました。 吐き気がします。
目がくらみ涙が滲んできました。。。。


美沙! 美沙! もう、もう、、俺には出来ない!

ダメ! 約束した、、、はず、、、、で、、、しょう、、、
ハア~ ハア~ ハア~ ハア~ 息が乱れます。


もっと強く殴るの! さあ、、私の言う通りにして、、、

さあ、、殴って!


え~ これ以上殴ると、お前の内臓が潰れてしまう、、、
美沙! 頼む! 勘弁してくれ!
もうこれ以上俺には出来ない、、、こんな酷いことは俺には無理だ!
頼む! もう勘弁してくれ、、美沙!


田中さん! 逃げないで!

もっと強く殴って私の腸をつぶしてください。。。。
え~ 腸をつぶす~ なに考えているんだよ!お前!


約束よ!
殴りなさーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!


ドスッ! ぐちゅるっ! う! クーーーーーーーーーーウ!


気が遠くなって周りの景色が歪んで見えます。
体が、、、体が、、、、倒れていく、、、

田中さんが私の体をしっかりと抱きしめて支えます。

美沙! 美沙! 大丈夫か? おい! しっかりしろ、、、
あ~ 内臓が、、私の内臓がつぶされて、、、熱く燃えているわ、、、
体が燃えている、、、全身から汗が滝のように流れている、、、


私は田中さんの体を振り切って、何とかその場に立ちました。

田中さん! まだよ! もっと思いっ切り殴って!

美沙! 待ってくれ! もう止めよう!
こんなこと出来ない! どんな事情かは知らね~が
俺にはもうムリだ!

女の子の腹を殴るなんて俺には出来ない。
これじゃあ、あいつらと何ら変わりないじゃないか!


美沙! 止めろ! 頼む!

だめ! 私のお腹を殴りなさい!
約束を守りなさい! もっと強く殴るの! 思いっ切り!



やるのよ!
やるのーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーお!


ドスッ! ぐちゃ! ウエッ! うーーーーーーーーーーう!


体が倒れそうになって何とか背中を塀に付けて立てっています。

美沙! 大丈夫か? 美沙! 悪かった、、やり過ぎた!

あ~ 目の前が白くなっていく、、、、、、、霧がかかっている、、


私は心の中で叫びました。
出て来てーーーーーえ! 小5の私!

あっ! 少女の姿がチラリと見ました。。。
、、、、、待って、、、、行かないで、、、
あなたは本当に私なの? ね~ 教えて、、、、
あ~ 霧の中を走り去っていく、、、、、


田中さん! もっとお腹を強く殴って! 早く!
早ーーーーーーーーーーーーーーーーく!


どすっ! ぐちゃ! ウッ! うーーーーーーーーーーーう!


ツインテールの少女が私に言います。


相手の先を読むのよ!
え~ 先を読む? なんのこと?
合気道の先を読むことは人生そのものだよ!
合気道? なにそれ、、、?
あなたはお兄ちゃんから合気道の先を教えてもらったの、忘れちゃったの?
お兄ちゃんから勇気と愛を教えてもらったの。


勇気と愛?


そ~ お兄ちゃんに教えてもらったでしょう?
え~ お兄ちゃんに~?
強さに裏付けられた勇気と、そして優しい愛で立ち向かうの、、、
合気道の今井師範から、人生の先について教えてもらったの!


え~ 私が~ 、、、、、
そ~ あなたにはそれが出来るの、、、やってたの、、
あなたは勇気と愛を持って弱いものいじめに立ち向かってたの、、
それが小5の私で、私はあなたなの、、、、


え~ 私がそんなことをやってたの~?

あっ! また霧が濃くなってくる。。。。待って~

少女が、、、、見えない、、、どこなの?

・・・

塀がなければ私の体は倒れます。。。
ぐっしょりの体で息が激しく胸だけで息をしています。
ハアハアハア、、ハアハア、、内臓が、、溶けていく、、

小5の私を見つけないと、、、どこなの、、、どこ?

・・・

田中さん! もっとお腹を強く殴って下さい。
私を信じてやるのよ! さあ早く!

美沙! もう俺には出来ない! もう限界だ!
頼む! もう止めにしよう! もう許してくれ!
俺はお前のことをこの6年間1日として忘れたことがないんだ。
探し続けて来たんだよ。


俺はお前が好きなんだ! ず~っと思い続けて来たんだ。
だが、会えて直ぐにこんな酷いことをお前にするなんて
あんまりじゃないか、、、もう勘弁してくれ、頼む!


田中さん! あなたが探している美沙は私ではないの!
私は普通の女子高生なの!


セーラムーンに会いたいんでしょう?
好きなんでしょう?

だったら私のお腹を思いっ切り殴るの!
殴ってください! さあ! 早く!
私の内臓にその拳を思いっ切り叩きこむの!

さあ、早く、言われたように、殴りなさい!


やりなさーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!


どぼっ! ぐちゃ! ウっ!


硬い壁を背に拳が内臓の一番奥に届いて背骨に当たりました。
腸が、、、、本当に潰れたかもしれません、、、
限界はとっくに超えています。

内臓はもうぐちゃぐちゃになっています。そ~思いました。


目の前に色んな光景が浮かんできます。

あっ! ここは森! 大きなピラミッドのような岩の先が
私のお腹に食い込んでいる。
お腹の中に大きな枝の切り口がお腹の中に食い込んだまま
その枝に意識を失ってだらりとなっている私が見えます。


あ~ 体が燃える、、、溶けていく
・・・
ここはどこ?
コスモス畑? 、、、、小学校が見えるわ、、、、
ここは教室、、、私は花ちゃん?
でも私がホームルームで皆の前で大きな声で何かを言っている。


あっ! 美香ちゃんがいる。。。。
私が河原せんべいに叩かれて転んでいる。
美香ちゃんが勇敢に私の前で手を広げて立ちはだかってる。
、、、、、あっ! ピーマンが、、、

画像がどんどん流れていく~、、、なんなの、、これって、、

、、、、、、、、

あっ!空手部の武道場で私が高校生とやり合ってる。
杉浦先生だ、、、、、

え? 角竜の角田が木刀を持って立ってる。。。。。。


、、、、、、、、、
佳奈ちゃんたちもいる、、、み~んなが私を囲んでいる、、、
ツインテールでみんな笑ってる! みんなが輝いている!
ランドセルの可愛い女の子や男の子がみ~んなケラケラ笑っているわ。

ピンクのリボンのツインテールの少女が
夕日に向かって嬉しそう走って行く、、、、輝いている、、
あっ!
みんながその少女の後を追っかけて元気に走って行くわ、、、


美沙! やっと思い出したみたいだね、、、、、
あなたが誰だか教えてあげよう~か?


あなたは、
悪を正す正義の味方、少女戦士セーラムーン、野々村美沙!


高2になって更にパワーアップして出現だね!
きっと大変なことが待ってると思うわ、
でも、みんながあなたを待ってるよ!
みんなが美沙を呼び寄せたみたい!
私の時と同じだね!


いい!人は変われるの! 自分を信じるのよ! 美沙!

次の鳩尾パンチでスイッチONになるわ!
勇気と愛! 頑張ってね! 美沙!
これで引き継ぎは終わり、、、じゃあね、、、
待って、、、行かないで! 私を一人にしないで、、、お願い!


あなたは1人なんかじゃないわ!
私はあなたの中にず~っといつも居るのよ
だって私はあなただもん。
それにあなたには多くのダチが居るはずよ!

・・・

・・・

早くスイッチONしや~がれ! 美沙!
いつまでも霧の中をうろついてんじゃね~え!
みんながお前を待ってんだよ~!
分かったら、さっさと行きやがれ!
言っとくがな、高2のお前は、私よりもっと言葉が荒れ~ぞ!
覚悟しとくんだな! じゃあな!

、、、、、うん! 分かった!

えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!
うっそ! それ以上言葉が荒い~、、、、!


霧の中に少女が笑いながらランドセルを背負って走っていきました。
後ろ姿のツインテールがとても可愛い少女です。
有難う! 小5のわたし!

私はセーラムーン、野々村美沙! 勇気と愛!

・・・

・・・

田中さん!

もう1度だけ! もう1度最後に思いっ切り
私の鳩尾にパンチしてください!

美沙! 俺の気持ち分かってんのか?
お前! 好きな女の腹を俺に殴らせているんだぜ!
俺はもう立ち直れね~え!
こんな酷い男になっちまった。
勇気と愛の会員の資格なんてね~

田中さん! あなた私の事が本当に好きなの?
好きなら、証明して見せて!


証明~?

人生には辛いことだってあるわ、でもその先を見るのよ!
私は今変わりたい! 夢に向けてジャンプしたい!
もしあなたも同じなら、
そして私の心をつかみたいなら私を信じてください!


私の鳩尾をもう1度だけ思いっ切り強く殴ってください!

それが証明です!

手抜きなんてしないでください!
思いっ切り強く拳を鳩尾深にめり込まして!

 

早く!
早ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーく!
やるのよーーーーーーーーーーーーーーーよ!
やってーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

・・・




ドボ! ぐちゃ! うげっ! う~~~~~っ、、、スイッチON

 

目の前が真っ暗になり私は地面に倒れ意識を失いました。

・・・

・・・ お腹の内臓がうねるように動いています。

・・・ あ~ パンチってなんでこんなに気持ちいいんだろう、、、

・・・ 快感以外の何物でもないないわ、、、、、あ~最高!

・・・

美沙! 美沙! 大丈夫か! おい! 美沙! 目を覚ましてくれ、、、!

薄っすらと周りの景色が見えはじめます、、、
私は田中さんの両腕に抱えられているようです。


俺はなんて事をしてしまったんだ!
取り返しのつかね~ことをしてしまった。。。。
美沙! 美沙~! 悪かった、、、本当に酷いことをしてしまった。。。
救急車を呼んだ方がいいのか、、、ど~したらいいんだ、、、
許してくれ、、、、おい、美沙! 何とか言ってくれ!


私はやっと我に戻りました。

そして、私は言いました!

おい! ピーナツバター!
いつまでもめそめそしてんじゃね~
私がお前のへにゃちょこパンチでやられるとでも思ってんのか~
いい加減にしや~がれ!
お前のパンチなんてな、私にとっては痛くもかゆくもね~んだよ!


おい! ピーナツバター!
ところで、お前!

いつまで私の体を抱いてんだよ! 早くその汚ね~手を放なしゃがれ!

バシッ!

痛てーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

ピーナツバタが2m先まで吹っ飛びました。

私はスカートの土を手でパタパタとはたき立ち上がりました。

ピーナツバターが尻もちをついたまま私を見つめています。

美沙! 俺は今でも空手を続けてるんだ!
高校時代は全国大会の準優勝もしたぞ!


そ~か で、それがど~したって言うんだよ~
相変わらずケチなこと言ってんじゃね~ぞ! バカ!

ピーナツバターが立ち上がって変な構えをしています。

な~るほど、やるって~のか?
試して~んだな!

仕方ね~ 遊んでやら~ その代わりしらね~ぞ!
いいのか、、、こい!

ピーナツバターが真剣な顔で少しづつ私に近づいてきます。

ピーナツバターの足が1歩出ようとした瞬間に私は大きく
シュッ! っと
飛び上がり頭を越えて素早く後ろから腕を首に絡めて締め付けました。


ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーア!


変な声でピーナツバターがうめき声をあげます!
両手を必死でバタバタさせて苦しんでいます。

私は耳元で言いました。
よ~く聞きゃあがれ!
お前の空手なんてな、私には百年早えんだよ~!
分かったか! 覚えとけ!

私は腕を緩めピーナツバターの尻を平手で
パチン!と叩きました。

痛ってーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

本物だーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ!

セーラムーンだーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ!

美沙が、美沙が、帰って来たーーーーーーーーーーーーあ!

 

な~にほざいてんだバ~カ! みっともね~ぞ!
ピーナツバターは両手を広げて大きな声で夕日に向かって
叫びました。
そして、片腕を顔に当てて後ろ姿で泣いているようです。


こいつは私を待っててくれたのか、、、、こんなに泣くほどに
私に会いたかったというのか? きっとそ~なんだ!
私も心の中でじ~んと熱い物が込み上げて来ました。


おい! ピーナツバター!
お前! いい加減にしや~がれ!
男ってのはな! そ~簡単に泣くもんじゃね~ いいか!

おい! そんなところでいつまでもメソメソしてんじゃね~!
こっちへ来い!
私とピーナツバターは近くの石の上に並んで座りました。

ピーナツバター!
お前の顔ひっで~な~
ほらハンカチだ! 唇から血が出てるぞ!

お前! 
あのチンピラ達から美香ちゃんと私を助けてくれたんだってな?
それでこんな顔になっちまったのか? だらしね~奴だ!
痛かったか?

でも、お前! なかなか可愛い処あるじゃんか!
私たちを助けるなんてさ!
こんな怪我をさせちまってさ! 悪かったな!
こっちへ来い!

そ~言って私はピーナツバターの頭を両腕にグッと包んで
胸の中に引き寄せました。
痛、イタ、頭、イタタタ、、、なんでこんなに強力なんだよ、美沙!
私はピーナツバターの頭にほうを寄せ両手で優しくなでなでしてやりました。


まるで母親が赤ん坊をあやすようにです。
本当に幼子のように思えたのです。
ありがとうな! ピーナツバター! 待っててくれたんだな!
随分と待たせちまったな!

ピーナツバターが言います。

美沙! お前! 大きくなったな~あ!

・・・

当たり前だろう! 高2だぞ! もう小5じゃあないんだぞ!

イヤ! そ~じゃなくってさ、胸だよ! おっぱいが大きい!
それにいい匂いだ!

はあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ!

ドン!

ピーナツバターが2.5m程吹っ飛びました!

痛てーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

てめ~ いい加減にしやがれーーーーーーーーーーーーーえ!

なに考えてんだ! ぶっ殺すぞーーーーーーーーーーーーーお!

 

殺されてもいい、、、もう一度だけ抱っこしてくれーーーーーえ!

ピーナツバターが両手を広げて走って私に抱きついてきます。

エイ!

ドーーン!

痛てーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

私はピーナツバターの手首を掴んで一回転し投げ飛ばしました。

一瞬の事でした。

え! なに? これ? 自分でも分かりません。

・・・

・・・

あっ! これは、小5の時、今井先生がやってた合気道の技だ!

 

夢と幻想の森