ソフトテニス秋期地区大会 ダブルス 決勝戦

日の出丘高校  公古谷奈々/水戸静香(組)
秋日山高校   野々村真紀/葉山理恵(組)

ゲームカウント 3:3

特別ルールが発動されました。
ファイナルゲームとなり、4ゲーム先に先取した方が勝ちです。
ただし、
ファイナルゲームに限ってはポイントが7ポイントとなります。
サーバーは2ポイントごとに入れ替わり6:6のデュースの場合は
先に連続2ポイント取った方がゲームの勝者となります。




日の出丘高校の高木監督は3:3でタイムを要請しました。

公古谷奈々と水戸静香がベンチに走って戻ってきます。
奈々の足元はフラついてその激しい呼吸から極度の疲労が明らかに分かります。
立っているのがやっとといった状況です。

汗まみれの顔はいくらタオルで汗を拭いても後から後から汗が噴き出してきます。
奈々の表情は険しく悔しさが明らかに見て取れます。

奈々は激しい息のなか、切れ切れの声でやっと声を出して言います。

「先生! すみません! 」

「同点にされてしまって、、、」

・・・

・・・

奈々の激しい息は止まりません。
水を含んだ口元から水がこぼれ、あごの下から地面にポトポトと落ちていきます。
ポットを持つ奈々の手が震えて定まらず水がこぼれてしまうのです。
健康そうで引き締まったキレイな顔が真っ赤になり髪がほうにへばりついています。
衣服が重いくらいの汗の量です。

前衛の静香はそんな奈々の姿を見るのは初めてだと思いました。
いかにこの試合が激しいものであったかが想像できます。

奈々は言います。

「真紀にやられてしまった!」

「私は野々村真紀に敗れた、、、、、」

その声は震えていて目から涙を流している様にも思えました。

高木は両手を奈々の肩にかけて言いました。

「何を言うんだ 公古谷!」

負けてなんかいない! 負けてない!
お前が2ゲーム先取し、追加で1ゲーム取ったじゃないか!
相手はそれにやっとついてきた、、、、そうだろう!

誰が見てもお前の方が優勢だった!
お前の方が勝っている!
お前が負けただなんてとんでもないことだ!

クリックして下さいね!

公古谷! お前は強い! それは先生が一番よく知っている!

ただ相手は怪物だ! だが、お前はそれより強い!
公古谷!
お前は昨年、野々村真紀を破ったチャンピオンだぞ!

自分を信じろ!
この1年間を思い出せ!
お前がどれだけ練習に励んできたかを思い出すのだ!
どんな時も水戸と二人で頑張ってきたじゃないか!
先生はお前たち二人をず~っと見てきた!
だから一番よく知ってる!

 

汗で光る奈々のキリッ!とした顔が高木の言葉に何度も何度もうなずいた。
静香もうなずく!

ちょうど1年前の同じソフトテニス秋期地区大会 シングルス決勝戦で奈々は
野々村真紀と対戦しました。

今回と同じ3:3で7回のデュースの時、真紀の打ったボールがネットに当たり
跳ねてライン近くに落ちたのです。
副審の判定でアウトになったものの、周囲に何故か納得しない雰囲気が広がり、
奈々は試合に勝ったものの、名もなきルーキー野々村真紀がまるで勝者のように
一躍注目されたのです。

 

噂はどんどん広がっていき、母校内でも
勝ったのは野々村真紀とまで言われてきたのです。

奈々の悔しさは半端なものではありません。
人には決して理解できないほど大きく、何としても野々村真紀との
決着をつけないと収まらない状況がこの1年間続いてきたのです。

奈々はこの1年間、血のにじむような努力を続けてきました。
それは真紀との対決で、ただ勝つだけではなく、
圧勝を目指して練習に励んできたからです。

1年前、奈々の強さの前には敵なしと思われていました。
実際にいなかったのです。
ところが、無名の高校から名もなきルーキーが突然現れ、
春秋2制覇の優勝者、奈々をおびやかしたのです。

 

真紀との対戦前は、自分の威力球が返されることなど予想もしていませんでした。
ところが、どんなに強力なボールを打っても、簡単に打ち返される、
それもシャープで切れのあるボールとなって帰って来るのです。
しかもその返却ボールを打った瞬間に奈々の手首にしびれを感じたのです。

奈々はその時初めて心の奥で脅威を感ていました。
副審の判定で試合に勝ったものの、やはり春秋の優勝者、
奈々にとっては大きな屈辱でした。

 

そのことは高木が一番よく知っていて、高木は奈々の練習を何よりも優先して
一緒に頑張ってきたのです。
昨年の副審の判定については、高木は奈々に常に言って聞かせてきました。

それは、
スポーツは審判が全てで、審判にクレームをつけると
どんなスポーツも成り立って行かない。
あの時の副審の判定はアウト!
ボールはラインから出ていた。
審判はだれよりも近くでそれを見て、アウトと判断した。
だから間違いない!
それ以上、何も考えるな! と言うことでした。

クリックして下さいね!

ただ、高木も奈々の気持ちが痛いほどわかり過ぎて、
また、その屈辱を晴らすために毎日毎日一生懸命に練習に励む奈々の姿に、
何としても試合に勝って、奈々の気持ちに報いてやりたいと思ってきたのです。

高木は二人の肩を同時に引き寄せ言いました。

二人ともよく聞いてくれ! これからの作戦を言う!

・・・

・・・

秋日山高校の前衛を徹底的に攻めろ!
左右に揺さぶりをかけるのだ!

あの前衛は左右の動きに時差がある!
それが、あの前衛の決定的な弱点だ!
その弱点を徹底的に攻めて攻めまくるのだ!

いいか!

奈々が言います。
先生、私は真紀との決着を、、、、、、

公古谷!お前の気持ちは分かっている。
だが、これはダブルスの試合なんだぞ!
お前ひとりで戦っているんじゃない!
さっきも言ったが、お前は野々村真紀より強い!
先生が言うのだから間違いない!

 

ただそれだけではだめなんだ!
試合に勝たないと意味がない!

水戸と力を合わせて何としてもこの試合を勝つのだ!
プレーは相手の弱点を見抜きそれを攻めることだって、
大切な戦略なんだ!勝つための!

水戸!お前も前衛としてよく頑張っている。
相手の前衛よりは上だ!

あの前衛に弱点があると言ったが、
彼女にはなにか計り知れないものを感じる。
それが何なのか先生にも分からん!

だが、弱点があるならそこを徹底的に攻めるのは効果がある!
それが、試合に勝つための戦略、戦法だ!

 

ただ相手はこちらの手は読んでくるはすだ!
そこであの前衛を攻めまくれば野々村はそのホローに入りバックが手薄になる。
そこで公古谷!
お前が野々村真紀のスキを突いてとどめを刺せ!
決着をつけるのだ!

奈々の目が一瞬輝きます。

水戸はカットで相手前衛の左右を狙う!
そしてチャンスがあればいつでもスマッシュだ!
但し無理はするな!

この試合は社会人クラスでも見られないハイレベルの戦いになる。

今話した作戦は二人が協力しないと成り立たない!

公古谷と水戸の二人で協力してこの試合に絶対に勝つのだ!

 

絶対に勝て!

いいな!

はい! ハイ!

 

二人は同時にうなずき、声を掛け合い、ホイッスルの音とともに
全速でコートの各ポジションへ向かいました。

さあいよいよ決戦です。

両校の応援団、プレーを終えた選手たち、
多くの男女のどよめきが会場を埋め尽くします。

全ての人が日の出丘高校と秋日山高校の試合のなりいきを
ドキドキしながら見守っています。

水城サキと高木圭三はコートを挟んでベンチで向き合っています。

その視線は丁度コート中央でぶつかり合い火花を散らしているのでしょうか。

ボールが高く舞い上がりました。

秋日山高校、野々村真紀のサービスボールです。

 

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