あなたは、今なき彼女に寄せる思いの中で、悲しみと
絶望の中で、身も心も打ちひしがれて、マンションの
机の上で涙に濡れて眠ってしまいます。

机の上には、
彼女が最後に、あなたに届けたブルーのハンカチがあります。
その上から、かぶさるようにしてピンクのハンカチが
広がっています。

 

今でも湿り気のあるピンクのハンカチの赤いシミの部分に、
下にある、ブルーのハンカチに置いたトゲの先が
ちょうど刺さっています。

赤いシミは彼女の血、トゲの先にはあなたの血、
その二つが、小さな1点で混じっているのです。
きっと偶然なのでしょう。

暗い窓辺の2つのラベンダーの新芽が花を咲かせてきます。
ゆっくりと、ゆっくりと時間が流れていきます。

 

植物の花が咲く流れは緩やかで静止しているように見えますが
それでも、間違いなく時は流れて花を咲かせます。

どれだけ時間が経ったでしょう、、、、

咲いたラベンダーの花の香りが、あなたを優しく包み込んでいきます。

あなたは深い眠りの中で、彼女の夢を見ています。
そこには、嬉しそうに微笑みかける、彼女の笑顔があります。

 

指切りの約束をしています。

「私は幸せです」

「あなたに会えて良かった」

「いつまでも離さないでください」

「ああ! 離すもんか!」

「ず~っと 一緒だよ!」

「絶対に離さないから!」

「例え君がどこにいても、必ず会いに行くからね!」

「例え、時間を超えてでも!」

彼女は幸せそうに、、、

「本当! 嬉しい!」

「じゃあ 指切りして!」

「約束」

・・・

・・・



クリックして下さると嬉しいです。

その時、あなたの閉じた目に涙が滲んできて、
大きな輝く水滴となってポトリと1粒落ちました。

悲しみの水滴が、ピンクのハンカチの赤いシミの上に落ちて広がり、
トゲを伝わってブルーのハンカチにも広がっていきます。

二人の血の交わりと、彼女の汗とあなたの涙が交わって、
同時に両ハンカチに広がっていきます。

そこに、ラベンダーの香りが、更に強く漂い始めます。





あなたは車を運転しています。
すると、何故か気になる脇道がそこにあって、
気まぐれに、その道に入っていきます。
今まで、あなたが行ったことのない道です。

はっ!

まさか!

ここは!

・・・

この道は、俺が彼女と出会った時の道!?
俺は今彼女の世界に居るのか!?

だが、彼女は既に、死んでこの世界には居ない!
一体どうなっているのだ?

・・・

・・・

彼女の居ない世界にやって来て、
何の意味があるというのだろう!

道をしばらく走ると、小さな神社があるはず!

あ~

神社がある! 間違いない!

やはり、神社がある。 あの時の神社だ!

自然に囲まれた神社は、とても静かで空気もキレイで小鳥が鳴いて、、、
あなたは車から降ります。

 

間違いない!
俺が、必死で探し続けていた、彼女の居る世界が今ここにある!
そして俺はその世界に居る!

小高いところに小さなベンチや藤棚もあります。
山裾に小川が流れていて、水のせせらぎも聞こえてきます。

森へ繋がる小道があります。
俺は、あの時、冒険心でその小道を登って行った。
そして彼女と出会った!

行ってみよう!

人気のない小道には知らない草花が咲いています。
石や岩がゴロゴロして足元も良くありません。
小道を進んでいきます。

何故か、心臓が激しく高鳴ってきます。
鼓動が自分の体の中に広がっていくのが分かります。

今俺は、俺の命より大切な彼女の世界に居る、
だが、彼女はこの森の中で俺の命を救うために
死んでしまった。

 

愛おしい彼女、
俺に取って、この世で俺を理解してくれる唯一の存在だった。

俺に色んな大切なことを教えてくれた。
彼女を探し求めることが俺にとっての
最高の幸せだったのかもしれない!
会えないからこそ、強く求め、一瞬の二人の時間だからこそ
最高の喜びだったのかもしれない。

人に取って、時間の長さよりも、一時の純粋な心のトキメキの方が、
人生を大きく左右することを彼女に教えてもらった。

今の俺は、彼女なしでは生きていけない!

あなたは、石の小道を登っていきます。
この先だ!

この道の少し先の森の木の下で、俺は彼女と出会った。
それが全ての始まりだった。
それが、彼女と俺の二人の愛の原点だ!

あの時、この森の木の下で彼女を見つけた!
今はもう帰らぬ人! 居るはずはない人です!

それでも、あなたは彼女を求めて小道を登って行きます。

・・・

・・・

その時です。

自分の目を疑ってしまいました。

えっ! 信じられない!

・・・

小道を外れた森の中に女性がいるのです。1人だけで。
一瞬あなたは体が硬くなってしまいます。



クリックして下さると嬉しいです。

えっ! 嘘!

でも間違いなく居る!

幻想なのか?
彼女を思う俺が作り出した幻想だというのか?

・・・

幽霊?  まさか?

幽霊でもいい、彼女なら会いたい!

でも、そんなこと、あり得ない!

じゃあ、夢なのか?

俺は今夢を見ている?

・・・

彼女恋しさのあまり、彼女の幻影を見ているのだろうか?
頭が狂ってしまったのだろうか?

信じられない!

あ! 何かしている!

女性は大きな木を背にしてロープで何かをしようとしています。
夢中になっていて、あなたの事に気が付きません。

彼女?!

彼女なのか!?

・・・

イヤ! そんなはずはない!
彼女はもうこの世に居ない。この森に居るはずがない!

彼女が死んでしまったことは間違いない事実だ!
子連れの母親からも、
救急隊員からも、
色んな物が事が、悲しい事実を間違いなく証明している。

・・・

あの時、俺は、この場所に立って、
彼女に声をかけた。

「どうかしましたか?」と声をかけた。

すると、彼女は、ビクッ!として飛び上がって驚いて、
大きな目で、森の中から俺を見た。

・・・

・・・

ハッ!

まさか、、まさか俺は、、今!

いま、彼女と出会った原点に居るのか?
彼女を愛する強い思いが時の流れを超えて、
時のねじれを辿って、俺を二人の原点に運んだというのか?

あ~ 彼女をこの手に抱きしめたい!
彼女を強く感じたい! 彼女の全てを、、、、
そのためだったら,死んでもいいと思ってきたのだ。
それが、今、目の前に彼女が居る。

・・・

愛おしい彼女!

俺は君のことを心から愛している!

・・・


・・・

あ!

彼女が俺に気が付いた!

俺の方を振り向いて、俺を見ている。

大きな目で俺を見つめている。

全く驚いた様子ではない!

・・・

どうした? 驚かないのか?

何故だ?
あの時、
君はビクッとして飛び上がって驚いたじゃないか?

なぜ? なぜ、驚かない?

君はまだ俺のことは知らないはずだ!

知らない男が、こんな森の中で、君の気が付かない内に
近寄って見ているのだぞ!

しかも、君は大きな木にロープで巻かれて動けない。
俺が悪もんだったら、君は何をされるか分からない。
こんな森の奥で、若い女がたった一人で、木にロープで
縛られている。そうとしか見えない。

それも君は綺麗だ!
魅力的な女性だ!
真っ白な肌だって覗いている!

・・・

そんな君が今のこの状況で、良いことなど1つもない!
最悪のケースが、今、君の身の上に起こるかもしれないんだ。

だのに、だのに、、、、

何故、驚かない!?

・・・

あ~ その瞳! 俺が、俺が、
片時も忘れられない、その瞳!
その瞳を俺がどれだけ探し求めて、もがき苦しんで来たかしれない。

その瞳が、今、俺を見つめている。
会いたくて、会いたくて、愛おしくて探し続けた君のその瞳。

大きな彼女の瞳から涙が流れています。ほうを伝わり、
森の地面に落ちていきます。

ハッキリと分かります。
あなたが立っている小道からも、彼女の涙がハッキリと
見えるのです。

 

え! 涙?  何故なんだ!
何故そんなに悲しげに泣いているんだ?

美しいその瞳から涙が溢れて、大きな粒となって
溢れ出し、輝く光の粒が幾つも落ちています。



クリックして下さると嬉しいです。

・・・
ああ~ 悟っているのか!
彼女には俺が分かっている!
全て分かっているのだ!

・・・
この森での出来事を、俺の世界の出来事を、全て知っている。
そして、
俺と同様に、彼女も俺を心から愛してくれている。
その愛で俺は2度も命を救われたのだ!

 

あ~ 走り寄って彼女をこの手に抱きしめたい!
彼女の全てを感じたい!

彼女の、微笑む顔を、澄み切った瞳を、優しい声を、
内臓の全てを、髪の匂いを、体の匂いを、口付けの味を、、、、
君の全てを、もう一度感じたい。

彼女の瞳が、その涙が、俺を彼女の元へ走り寄らせようと
するのです。
走り寄って彼女を愛撫したい。
今まで以上に優しく、強烈に抱きしめて、腹部も責めたい。
あなたの脳細胞が泡立つように、
あなたの全身に命令を出しています。

彼女の元へ走りなさい!

走って彼女の全てを感じなさい!

脳の本能が俺に指示しています。

彼女は、涙を浮かべながら、ロープで動けないまま、
あなたが走って来るのを待っています。

・・・

行ってやれ!

それが彼女の強い望みだ!

走れ!

彼女が好きなら、

彼女の全てを自分のものにしろ!

心も体も! 内臓も!

男と女の交じりをしろ!

それが、彼女の望みだ!

走れ! 行け!

本能が口調を強めて強烈に命令します。

・・・

足が、、、、

愛おしい彼女に向けて、今にも飛び出しそうです、、、、、
あなたの目から、涙が滝のように流れて小道の上に
落ちていきます。

涙が後から、後から湧き出して止まりません。
胸が破裂しそうで、息すら出来ません。

彼女が俺を待っている。
どんなに、彼女に会いたかったか知れません。
そのために、あなたの人生を生きてきたのです。

涙で濡れた瞳が、俺を見つめています。


あなたは彼女に言います。

会いたかったよ!
君に又会えて本当に嬉しい!

君をず~っと探し続けていたんだ!
今、やっと会えたんだよ!
実はもう二度と会えないと思っていた。
でも、こうして君を見つけることができた。

聞いて欲しいことがあるんだ!

今まで言いそびれていたけど、

僕は君のことが大好きだ!

・・・

愛している!

でも今は事情があって、どうしても君の傍に行けないんだ。

約束をする!

君がどこに居ても、必ず探し出して、君に会いに行くからね!

きっと約束を果たすからね!

彼女の瞳から大きな大きな、光る粒が落ちていきます。

事情は分かっています。嬉しいです。

私は幸せです。

きっと見つけてください!

いつまでも、あなたを待っています。

私も、あなたが好きです。

愛しています!

だから約束して!

必ず私を見つけるって!

ああ、、、必ず君を見つけるよ

待っててほしい!

二人の約束だ!

うん!

 

彼女は、幸せそうに涙の顔で、首を縦に振って、
俺に微笑みかけました。

あなたは後ろポケットにある
ピンクのハンカチを取り出しました。

初めて彼女と出会った時、
彼女との時間が、
あの棒を俺が拾った時点から0→1に流れ始めたのです。
それが今1→0に戻ろうとしています。

彼女を愛すればこその、あなたの選んだ道です。

あなたは彼女に言います。

愛をありがとう!

彼女の両腕があなたに向けて差し出されます。

いかないでーーーーえ!

・・・

あなたはピンクのハンカチを小道の上に落とします。
ハンカチは、まるで落ち葉のように宙を舞ってゆっくりと
落ちていき、
地面に当たって、刺さったトゲが「ピン!」と外れました。

・・・

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