横断歩道の事故から3ヵ月が過ぎました。

今日は仕事は休日です。
と言っても、
この2が月間、殆ど仕事に出られる状態ではありません。
原宿店の開業も流れました。
他の2店舗は、前オーナー時代からの常連のお客様のお陰で
何とか経営を保っています。
ありがたいことです。

あの事故から約3ヵ月。

事故から1ヵ月程しての、
悪友たちのパーティーで
それまで、知らなかった意外な事実を、悪友たちから聞かされました。

そして、その次の日
ピンクのハンカチの刺激で机から跳ね飛ばされ、
時間のねじれを超えて、
あの森の彼女の元へ落とされました。
その森は、今まで、2年間、あなたが必死で探し続けても
見つからなかった、彼女との愛の世界でした。

彼女が恋しくて、愛おしくて、会いたくて、必死で探し求め
追い続けてきた世界です。

ですが、
その森での出来事のストーリーの最果ては、あまりにも
悲惨なものでした。

幸せな二人の愛の世界には、
予想もしない、最悪の悲しみが待ち受けていたのです。
彼女を守り切れず、約束を果たし切れず、その中でも
彼女はあなたの命を救い、
涙を浮かべて、あなたの腕の中で、逝ってしまいました。

泣き叫ぶあなたの声は、
あまりにも悲しく、澄み切った森の空気は
一瞬のうちに涙色に塗り替えられました。

次の瞬間、
あなたは、その強烈な悲しみを持って、
あなたの現実の世界に跳ね返されて戻って来たのです。

一瞬にして、全てがよみがえりました。
あなたの頭に、今までの全てがよみがえりました。

窓辺に2つのラベンダーが薄紫の花を咲かせています。
白のカーテン越しの朝の光を受けて、
所々が、キラキラと輝いて見えます。
大切に、大切に育ててきた、
あの花火大会の夜に、中学生の時代の彼女と交換した、
ラベンダーの花です。

彼女はもう、この世にはいない。
この事実と向き合って、生きて行かなければならないのです。
この2ヵ月間、あなたが流した涙の量は計り知れません。
1日中、1人で大声を出して泣くこともありました。
泣き疲れて眠り、眠りの中でも、涙を流して過ごしてきました。

いくら泣いても、いくら叫んでも、もう彼女は戻ってきません。
心が、胸が、頭が張り裂けそうになって、もがき苦しみました。

彼女は、
自分の命と引き換えに、俺の命を救った。

あの交通事故で俺の命を救ったのは彼女だ!間違いない!
あの森の中でと、全く同じだ!

彼女は、
あの森で、丸太の橋の後ろから、俺の背中を突き飛ばし、
あの横断歩道で、急に飛び出して、俺の背中を突き飛ばした。
それで俺は助かった!2度も。

だが、そのために彼女は死んでしまった!

俺の世界でも、彼女の世界でも、
二度と返らぬ人となってなってしまった。
もうどこにも彼女は居ないのです。


事故当日の朝、俺は何故か彼女のピンクのハンカチを
胸ポケットに入れて仕事に出た。
それまでに、なかったことだった。
でも、あの朝、どうしても彼女の存在を胸に
感じていたかった。それでハンカチを持ち出した。


クリックして下さると嬉しいです。

2年間、彼女と会えない苦しみの中で、彼女を感じたくて、
たまらなかったのです。
彼女の笑顔が、可愛くて、好きで、愛おしくて、
彼女の内臓の感触が、頭の中に広がってきて、
そのピンクのハンカチを胸ポケットに入れて出かけたのです。

原宿の横断歩道で、俺は青信号になって直ぐに渡り始めた。
3号店のオープンのための、面接の事ばかり考えていて、
前しか見ていなかった。

いくら信号が青になったからといっても、
左右の確認は当然すべきだった。
だが、俺はそれをしなかった!
そして横断歩道に入って車に引かれかけた。
そこに彼女が飛び出して来て、
俺を助けようと、後ろから背中を突き飛ばしたのだ!
俺のせいで、彼女は死んだのだ。
自分が跳ねられることは分かっていて、それを覚悟で!

あの時、後から走ってくる音が「タ タ」とハッキリ
聞こえた。 あれは彼女の足音だ!

命を懸けてまで、俺の命を救おうとする人間は
彼女以外に存在しない!

あの森でもそうだった。

丸太の橋の上で、彼女が助かろうと思うなら、
来た方向へ自分が戻っていれば、助かったかもしれない。
イヤ、あのタイミングなら助かった。
だが、彼女はそうしなかった。
俺を橋の前方の安全な場所へ突き飛ばし、その代わり、
自分は丸太と一緒に谷底へ落ちていった。
落ちることが分かっていて、それを覚悟で!

あああああああああああああああああああああ、、、、、

何ということなんだ!
こんな状況で、今後、俺に生きて行けというのか!
そんなこと出来っこない。
彼女と一緒に死んだ方が良かった。
彼女なしで、どうやって生きろというんだ。
俺の人生の全ては彼女だ!その全てを失ってしまった。
そんな人生にどんな意味があるというのだろうか。。。

本来なら、俺が命がけで、
彼女を守ってやるべきじゃなかったのか!
命より大切な、愛おしい、愛おしい彼女を!
これでは、立場が全く逆じゃないか!

あの横断歩道で彼女は俺の世界に居た。
間違いなく居た。

そして俺も彼女の世界の、あの森に居た。
間違いなく居たのだ。

あの瞬間、時間のねじれは、一致していたに違いない。
何故かなんて、分かるはずはないが、
あの時、同時間の流れの中で、互いが別々の世界に存在していた。
複雑な理由はどうでもいい、そう考えざるを得ない。

ハッキリしているのは、
俺の世界でも彼女が存在していたという事実です。
俺は、彼女の居る世界だけしか考えていなかった。
あの森に行くことしか頭になかったのです。
自分の世界に彼女は実在していたのです。
今となれば、手遅れです。
ですが彼女が、俺の世界に居て、俺の命を救ってくれたのです。

探そう!

あなたは、自分の世界での彼女を、必死で探してきました。
その彼女は、もうこの世に居ないと分かっていても、
彼女が自分の世界で誰なのか?、どこに住んでいたのか?
名前は?、故郷は?、仕事は?、趣味は?、家族は?、、何もかも、、

気が付けば、
命より大切な彼女のことを、何も知らない。
そんな自分が、本当に情けなく、悔しくて、自分がたまらなく
惨めでした。

少なくても、あの事故、当日の、
彼女の様子をもっと詳しく知りたい。

お墓にも参りたい。
君の好きだったラベンダーの花をささげて、
君の前で、今まで告白できなかった、心の思いを
全て、告白したい!

一言だけ君に言いたい!

「愛している!」と!

君がこの世に居なくても、俺の心の中にいつも居る。

そして、一生、君だけを愛し続けて生きていくと!

約束したい!

この2ヵ月間、彼女を探す生活が続いています。

近くの病院をしらみつぶしに回りました。
何故か、彼女が運ばれた病院は、見つかりません。
原宿以外の病院かもしれません。
ですが、
そうなると範囲が広くなり、かなり困難になってきます。

ある病院の人に聞いた話ですが、身内以外の人には
簡単には個人情報は漏らさないということでした。
又、即死の状態では治療が発生してないため、病院側も
データとして記録しているかどうか分からないというのです。

ハッキリ言って、病院では受付で要件を話すだけで、
丁重に追い払われるのが現状でした。


クリックして下さると嬉しいです。


警察関係にしても、身内でもない者に、
それも
事件性が無いものについて、簡単に、
個人情報を漏らすことなど考えられません。
捜索願でもなく、事件でもなく、
交通事故で既に死んだ人間の、プライバシーを漏らさない
でしょう。怪しまれるだけかも。
又、そんな暇もないでしょう。
警察へは行っていません。

俺は彼女の名前すら、知らないのです。
殆ど何も知らないのです。
そんな者の言うことを、誰が相手にするでしょうか?

毎日、毎日、この世に居ない彼女を探して歩きます。
わびしさと、孤独感があなたに襲い掛かります。
それでも尚、彼女を探し続けるのです。

通行人を呼び止めて、事故のことを尋ねたて、さ迷います。
ですが、返事は、
知らない、見ていない、聞いたことない、、、、、、でした。

彼女の姿が浮かんできます。
嬉しそうに微笑みかける顔が、涙に光る美しい瞳が、
俺を見つめているのです。
俺を理解する唯一の人。それが彼女でした。

胸が締め付けられて、我慢が出来なくなって、
心が張り裂けそうです。
その場に立ち尽くし、
東京の空に向かって大声で叫びたくなります。
それを、やっとの思いで我慢し、深く沈み込みます。

両手を握り締めると、固く閉じた目から
涙が溢れて、ほうを伝い、舗装に落ちていきます。

その時です。

あの~

あなたは、その声の方向に目をやります。

すると、
小さい女の子を連れた母親の顔が、涙越しに見えます。

あの、何か人をお探しとかで、、、、、、?

実は、
数日前に、あなた様から、この横断歩道での事故のことを
聞かれたのですが、

すみませんでした! 
その時は、つい知らないと言ってしまいました。
ですが、何かご事情があるようにお見かけして、
声を掛けさせていただきました。

え! 
何かここでのことをご存じなのでしょうか?

は、 はい!

実は、
あの事故の時に、私たち親子はここに居ました。

えーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

じゃあ、、、事故を見られたのですか?

あ、 はい!

それでは、事故の様子を知っていらっしゃる?

は、 はい!

お願いいたします。どんなことでも構いません。

話して頂けませんでしょうか。 何でも どんなことでも、、、、、

お願いいたします。

はい!

あの時、信号が青になって、
男の人が直ぐに横断歩道を歩き始めました。

少しして、左から白の普通車がブレーキ音を立てて
歩道に向けて突っ込んできて、、、、、

あなたは、真面目そうな母親の顔を覗き込むように
見つめて話に聞き入ります。

それで? 、、、、、

はい、、、、

私は、 あ! 危ない! 
男の人が引かれると一瞬思いました。

ところが、
次の瞬間、私の横に居た若い女性の方が飛び出して
男の人の背中を突き飛ばし、女の人は車にはねられました。

そ、 それで、その後、どうなったのですか?

男の人は、横断歩道に倒れました。

私の方じゃなく! その女性は!?

母親は、驚いた様子です。

あなたが、あなたが、 あの時の男の人なんですか!?

は、はい! 実は、そうなんです。
あの時、
私はこの横断歩道で事故に合いました。
ですが、その時、その女性によって命を助けられました。
その女性は亡くなりましたが、
私にとっては命の恩人なんです。
その女性が誰なのかず~っと探しているのですが、
分からないのです。

そうだったんですか!
ご事情は分かりました。
最初に聞かれた折に、知らない振りして、申し訳ありませんでした。

いえ、それはいいんです。

で、その時の状況をもっと詳しくお話してください。

はい!

その女性は車に飛ばされて、歩道から大きく外れて
ちょうど、あの辺りでしょうか、、、、
うつ伏せになったまま倒れていました。


クリックして下さると嬉しいです。


直ぐに救急車が来て、男の人は、あ、あなたはタンカーに
載せられて運ばれて行きました。

女性の人も、ほぼ同時に別の救急車で運ばれました。

別の救急車で?

はい! そうです。

あなたは、道路のこちら側に、女の人はあちら側に
救急車で運ばれていきました。

母親に手を引かれた女の子、幼稚園? 小1?が、 
お姉ちゃんは、あっちへ行ったと指さしました。

それで、それで、 その女性の様子は?

様子までは、よく分かりませんが、
救急隊員さん2人がタンカーに載せて運んでいきました。

知っているのは、これくらいです。
お役に立てたかどうかわかりませんが、、、、、、

あなたは、母親に

ありがとうございました。と丁重に頭を下げました。

すると母親は、

あ! 
女性の運ばれた救急車は消防署のものだと思います。

確か、原宿西東消防署と書いてありました。

えーーーーーーーーー!

消防署!

はい! 確かそう書いていたと思います。

それと、女性が飛び出す時に、

イレ??ト! とか、
そんな言葉を言われたような気がします。

え!

それって、 「イレット」ではありませんか?

あ、  はい、そうです。

イレットです。間違いありません!

それを聞いた途端に、
あなたの目から涙が、まるで滝のように流れ出しました。
もう、我慢が出来ませんでした。
手で涙を拭いながら声を出して泣いてしまいました。
今まで、枯れつくす程に涙を流してきたあなたですが、
涙は枯れることなどありません。

女性は、あなたの様子にビックリした様子ですが、
小さな声で言いました。

大切なお方を亡くされたのですね。
心よりお悔やみ申し上げます。
必ず、見つけてください。


病院の救急車じゃなかった、消防署の救急車だ!

原宿西東消防署へ行きます。
意外と近くです。

あなたは、受付で要件を話します。
あの日、彼女を運んだ救急隊員に会って話をどうしても
聞きたかったのです。
彼女の様子を知りたかったのです。

ですが、病院と全く同じです。
彼女の親戚でもない者に、
例え亡くなった人間だとしても、そのプライバシーや、
その情報を、簡単には教えてくれません。

必死で事情を説明したのですが返事は、出来ない!でした。
あなたは懸命に懇願しました。
必死でした。
大きな声も出てしまい、
何事が起きたのかと、多くの消防署員が振り返って、
あなたを見ていました。
分かってくれるまで懸命に説明しました。
粘って、粘った結果はダメ、無理でした。
名刺を置いて出直すということで
ひとまずは、引き上げることにしました。

翌日、
西村という人間からスマホに連絡が入っていました。
西村は原宿西東消防署の救急隊員でした。
本日、
自分の住所に夜8時に来て欲しいとの内容でした。

あなたは、朝から落ち着がず、部屋の中をうろうろ歩き回っています。
時計とのにらめっこで、そわそわしながら、
時間の来るのを待っています。
ほとんど食事も手につかず、あの母親から聞いた、
最後の言葉!を何度も思い出します。

「イレット」と言って歩道に飛び出した!

あ~ 彼女が、、あそこへ居た!

「イレット」

その言葉を知っているのは、この世で2人です。
あなたと、そして彼女だけ!

あの時、彼女が俺の世界に居て、俺の命を救った!
確信はしていたものの、動かせない事実を知ったのです。
その事実は、本当に彼女が亡くなったということです。
強烈な孤独感に襲われて、もう発狂してしまいそうです。
あ~ 彼女が、彼女が、恋しい、愛おしい!

せめて、せめて彼女の息を引き取る、最後の様子だけでも知りたい。
その思いで、彼女を必死で追い求めてきました。

1日中、マンションで時間をつぶし、西村と会う事をだけを
考えています。
きっと、何かを知っているに違いない!

待ち切れず、
スマホの住所に7時に行き、古いアパートの前で時間をつぶします。

あなたが、以前に住んでいたようなアパートと似ています。
2階の203号室のブザーを押します。
明かりがついています。表札に西村とあります。

中から声がして、ドアが開きました。
あなたと同じか少し若い細身の若い青年が出てきました。
殺風景な部屋に紺色の消防の制服が掛けられています。

彼は言います。
今日のことは、言わないで欲しいと前置きをして、
話しだしました。

西村の話の内容:

あの事故の時、自分が救急隊員として現場に出向いた。
車で跳ねられた女性は、
うつ伏せに状態で歩道から10m飛ばされていた。
意識はなく、心肺停止の状況だった。
タンカーで救急車に運び、直ぐに蘇生を行ったが
心臓は回復せず、それでも必死で蘇生をやり続けた。
すると、奇跡が起きたように一時だけ回復し、
意識を取り戻した。
あれだけ跳ね飛ばされたにも関わらず、大きな外傷もなく
顔も本当に綺麗だった。
口に当てた酸素吸入器を自分ではぎ取って、

何か言いたそうであったので、話せますか?と聞くと

お願いがあります。
私のスカートの左ポケットに、
ブルーのハンカチが入っています。
あなたの処へ来た人に、それを
渡して下さい、、、、おねがいします

涙を流しながらそう言われたので、
わかりました! と言って首を縦にに振ると

安心されたのでしょうか、急に力が抜けていき、
そのまま、息を引き取られました。
苦しまず、穏やかな、安心しきった表情でした。

西村は、立ち上がると、机の引き出しから白い紙
を持ってきて、言いました。

救急隊員が患者さんの持ち物を、勝手に持ち帰るなんて
決して、許されることではありません。
ですが、
あの方の最後の願いを叶えてあげたかったのです。

そう言って、西村は二枚折の紙を広げてました。


クリックして下さると嬉しいです。


あ~ これは、これは 俺のハンカチ!

あの森で彼女が手にしてた俺のブルーのハンカチです。

西村は、このことは、誰にも言っていません。
あの方の最後の願いだと思って、
私が大切に保管させていただいていました。
どうか、お納めください。

あなたの目からは、涙が滲みだして、ほうを伝わり
膝を濡らします。
やっと彼女の最後の様子を知ることが出来ました。


結局、彼女がどこの誰なのかは分かりませんでした。
西村も知りませんでした。
ハンカチのことや、俺に会ったことは内緒にして欲しい
と言うことでした。
西村には深く感謝しました。
勿論、今日のことを誰にも話すつもりなど全くありません。

あなたは、マンションに戻り、明かりもつけず
ブルーのハンカチを机に置いて座り込みます。

どうしても知りたかった、
彼女の最後の様子を聞くことが出来たのです。

彼女は、最後まで俺のことを思っていた。

ランダムに! 時のねじれの中でのことが、
森での出来事が、頭の中に浮かんできます。
彼女を自分を、、、色んな全てのことが!

あの森で彼女と一緒に過ごしたこと。
彼女の腹部によって、俺が覚醒し、自分の世界で
彼女のために頑張ってきたこと。
中学生の彼女と花火大会の夜にラベンダーの花を好感したこと。
時間のねじれで、彼女の色んな時代に自分が飛んで
彼女を感じたこと。
丸太の橋の事故の前に、彼女の腹部を足で挟んで
責めたこと。
彼女の嬉しそうな顔、俺に寄り添うように抱きついてくる姿、
幸せそうに微笑む顔。魅力的なその瞳に涙する顔。

そして、
彼女と約束したことが思い出されるのです。

まだ納まらない荒い息の中で、
彼女は俺の胸の中で小さな声で言いました。

「私は幸せです」

「あなたに会えて良かった」

「いつまでも離さないでください」

「ああ! 離すもんか!」

「ず~っと 一緒だよ!」

「絶対に離さないから!」

「例え君がどこにいても、必ず会いに行くからね!」

「例え、時間を超えてでも!」

彼女は幸せそうに、、、

「本当! 嬉しい!」

「じゃあ 指切りして!」

そう言って小さな左小指を出しました。

あなたも左小指を出し、指を重ねて指切りをしました。

「約束」

結局、俺は彼女との約束を果たすことは出来なかった。
それどころか、俺のせいで彼女は死んでだ。
俺の命を救うために、、、、、、

一体、俺は何なんだ!
俺さえ居なければ、彼女は死なずに済んだじゃないか!

本当に俺は一人ぼっちになってしまった。

彼女は俺にとっては全てだ。彼女なしでは生きていけない!
彼女と二度と会うことが出来ない現実を噛みしめながらも
更に、彼女の面影を追い続けているのです。
その思いは、どんどん大きくなっていき胸が張り裂けそうです。

彼女と出会った、あの森のことが頭に浮かんできます。
初めて、
彼女腹部を責めた感触が鮮明に思い出されるのです。
脳の中に刻まれているかのようにハッキリと浮かび
上がってきます。

引き出しから「トゲ」を出し見つめます。
あ~ あの時俺が握った棒で彼女の腹部を締めつぶした。
その時に刺さったトゲ!

彼女の瞳があなたを見つめています。
その瞳は潤んで涙が滲んでいます。
なのに何故か、あなたに微笑みかけているのです。

幸せそうな顔であなたを見つめています。

会えて嬉しい!

絶対に離さないで!

そう言っているのです。

心が避けてしまいそうです。心臓が破裂してしまいそうです。
もう我慢できません!

彼女のピンクのハンカチに顔を埋めます。
ハンカチには彼女の汗が、
体の匂いが、生々しく漂っているます。
あ~ 彼女の匂い、、、、
あ~ 彼女をこの手に感じたい、、、
彼女の全てをもう一度感じたい!
彼女の笑顔、瞳、キレイで可愛い顔、内臓の感触、腸の動き、、、
その匂いは、あなたの生命の全ての感覚を麻痺させて
甘い世界に強烈に引き込むのです。

彼女の匂い! 彼女の肌の香り!
せめて、もい1度だけでも、、、、
そのためだったら、死んでもいいです。
死んで彼女と一緒にしてください! 神様!

泣きぬれて、疲れ切って、自分を見失って、
あなたは机にもたれてたまま、深く眠ってしまいます。

D's CLUB

夢と幻想の森