今、私の家には森で出会った、若くて美しい娘が居て
私と生活を共にしています。

彼女は過去の記憶を失い、自分が誰なのか
何処からやって来たのか、全く思い出せません。

私は画家でキャンパスの木枠を作るために、
たまに森へ行くのですが、その森の中で
腹部を岩に挟まれて、意識を失っていた彼女を
発見し救出したのです。

発見時は、
彼女の体は衰退し切って、もう少し発見が遅れると
危なかったところでした。
なんとか助けたものの、
彼女は、その時のショックのために記憶を
失ってしまったと思われます。


初めの内は、
彼女は私に対して警戒をしていましたが、
私が命の恩人だと分かると警戒も和らぎ、
事の流れの中で、
今では私の家で、2人の新たな生活が始まったのです。

私は、捜索活動をしてもらいながら、
彼女の様子を見ながら、
約1ヵ月が経ってしまいました。


彼女は私の恩に報いるために家事や、
画家である私の絵のモデルを務めながら、
一見平穏に暮らしています。

私の年齢は70歳をゆうに超える、見るからの老人です。
彼女は22~23歳の若い女性で、
彼女からすると、私は年寄りの、優しいおじいさん位にしか
見えてないのかもしれません。

そして、そのことが、
彼女の警戒心を一層、和らげているのかもしれません。

彼女は私の家からは、1歩も外へは出ようとはしません。
自分が何処の誰だか分からないことに不安が
あるのでしょう。。。
無理もありません。

ですが、それは、私に取って、
色んな面で好都合なのかもしれません。
私は全く気にしていませんが、
世間体やマスコミ関係など
面白がる人間は常にいるものです。。。


それよりも、
私が今、何よりも優先しているのは彼女のとの暮らしです。
彼女は私にとって、何よりも大切な人なのです。

そんな彼女に、私は1着の着物を着せました。
私の家が和風建築ということもあり、また、彼女の
部屋も和風だったからです。


そして、
何よりは、
私が和服姿の彼女を見ていたかったからです。
私は、和服姿の彼女の笑顔に毎日が癒されました。

ず~っとこのまま彼女と共に暮らしたい。
彼女の笑顔を見ていたい。
それが、私の一番の願いでした。。。。


実を言うと、
私は彼女のことを、遠い昔から愛し続けて来たのです。
彼女は、私の人生の全てと言ってよいのです。

今回の森での出会も、
本当は偶然ではないと内心は思っています。
そ~なる運命だったように思えるのです。


私は彼女を以前から知っています。
ず~っと昔から愛し続け、探し求めて来たのです。
その彼女が今、私の直ぐ近くに居るのです。


ただ、残念なことに、時間のねじれのせいで私が
70歳を超えた世界に彼女が現れ、それを私が見つけたのです。
或いは、
彼女が危なかったので、彼女を救うために私が
森に現れ、彼女を私の元に連れて来たのかもしれません。

どちらにしても、
私たちの間には、時差があることは間違いありません。

遠~い昔、私が20歳代の若い頃に、
私は、今の彼女と森の中で出会い、
私は彼女に恋をしてしまいました。

当時、彼女は何かを求め森の中を1人でさ迷っていました。
そこに若い私が彼女と出会い、ある共通の性癖もあって、
私たちは、
相思相愛の関係で心が結ばれたのです。


私に取っては、遠い昔の出来事ですが、
今の彼女に取っては、そう昔の事ではありません。
彼女にその記憶がないだけです。

当時、彼女と私の思いは1つでした。

時のねじれという厄介な現象のため、
例え、思いは1つであっても、決して長く一緒に
居ることは出来ずじまいでした。


私たちは常に、時間のねじれの中に存在して来たのです。
私たち2人は出会う度に、互いに初対面で接するのですが
どの時間の流れの中においても、結局は恋が芽生え、
強く愛し合って来たのです。



そして、今では、
いつの時代から彼女と知り合って
いつから彼女を愛し続けているのか自分でも
よく分からなくなって来ているのが現状です。

ですが、時間が普遍的に流れると同じように
私も又、
彼女を普遍的に愛し続けてきたのは間違いありません。


彼女は時間を無視して、私の前にその姿を表し、
その度に、愛の言葉を残して去って行きました。

彼女の愛は紛れもない純愛です。
美しく、清らかで、清楚で、キレイ過ぎる純愛!

その純愛に接した私の愛も又、純愛だと確信しています。
彼女の心に触れると、自分が変わってしまうのです。
清らかな心になってしまうのです。


その中から生まれる愛は、
今のこの複雑な世の中に決して存在しないような
ピュアーなものだと私は信じています。

だからこそ、
私は彼女の存在を探し求め、さ迷って来たのです。
そして、その純愛になんとか応えたい思いで、
必死に彼女を追い求めてきました。

それが、私のこれまでの人生だったのです。
今、私の家に記憶を失った若い娘がいます。
そして、その若い娘こそが、
私が長年探し求め続けてきた最愛の彼女なのです。




この出会が偶然だと言えるでしょうか。


時間のねじれの中で、またしても、彼女は私の前に
姿を現し、これまでにない1ヵ月の間を私と共に
暮らしているのです。

ただ、私は歳を取り過ぎて、今は彼女との年齢差は
親子以上にかけ離れているのです。


彼女の捜索の手がかりなんて、あるはずはありません。
それは、彼女に対しての演出に過ぎないのです。
私には分かっています。
半世紀以上も時を超えた人間の捜索なんて
出来るはずはないと思っているのです。



私はこの歳まで、ず~っと彼女と一緒に暮らすことを
夢見てきました。
今まで、どんなにこの生活を願って来たことでしょう。

だから、何よりも今の彼女を大切にして行きたい。。。
彼女との暮らしを最優先にしたいのです。


そして、私の大きな愛で彼女を優しく包み、
命に代えてでも守ってやりたい。
決して傷つけたくないと思っています。
それが、私にできる彼女に対する純愛なのです。



彼女は、地味で家庭的で料理も私の健康を考えて
作ってくれています。
私に対して小さな心使いもしてくれます。
記憶を失っていても彼女の優しさ思いやりの
性格が滲み出ているのです。

ただ、
家の中には、彼女の甘~い体の匂いが漂っているのです。
若い魅力的な美しい娘の体臭が、ほのかに香るのです。
70歳を超えて、
そちらの方は全く反応しないと思っていました。


ですが、
あの森で彼女を救おうとして、大きな岩を
彼女の腹部から取り除き、
必死でその体の再生をはかった時に、
私は彼女の肉体に触れました。


それは命を救うための、やもおえない行為でした。
ですが、
その時、私の体に異変が起きてしまったのです。
自分の物が、
まるで大きな岩のように固くなってしまったのです。
自分でも信じられないことです。

私の脳細胞の全てに突き刺さったていた
鋭い針が一斉に反応し始めたのです。
まるで、無数の針に一気に電流が流れ始め
針の先端から銀色の光がバチバチと放電を始めたかのようにです。


その針は、その昔、彼女と接した時に彼女の腹部から
私の脳細胞に突き刺された一生抜くことの出来ない針でした。



その針には、彼女だけの肌の匂い、
彼女だけの汗の味、彼女だけの鼓動、そして
この世に2つと無い、彼女だけの内臓の感触が、
秘められているものでした。
その全てが、今、私の中で時を超えて蘇ったのです。

その結果、
私は彼女の体を再生したつもりが、
私の身も心も全てが、彼女に再生されてしまったのです。


ど~にもならない、時間のねじれの中で、
互いに苦しみながら、
それでもプラトニックで愛し合った遠い昔の私が
この年老いた体の中に完全に蘇ったのです。

彼女には特殊な魅力がありました。
強烈な刺激を私に与えるものです。

それは彼女の性癖の中に秘められた魅惑的なものでした。
彼女の腹部の中の内臓の感触です。


それは表現のしようのない強烈な物でした。
人間には男女を問わず、誰にでも内臓があるのですが、
彼女のそれは単なる内臓と表現できない物でした。

彼女がかもし出すそれは、神秘的で魅力的でエロスの
根源が秘められた別世界のものでした。

それは、彼女自身が持つ特殊な性癖から滲み出す
特有で固有のものだからでした。


元々昔から、
私には自分独自の性癖があったのですが、
彼女の固有のその性癖と重なり合って、
私は強い衝撃を受けてしまったのです。

私は彼女の腹部内の魅力にとりつかれ、
その2度と抜け出せない、甘~い官能的な底なし沼へと
引き込まれて行ったのです。
彼女も又、私に自分の内臓を全て委ね、
2人の心は固く結ばれました。


時のねじれの中で、
彼女は私に、
必ず私を見つけてくださいと言いました。
そして私は、
必ず君にたどり着いて見せると約束したのです。

今まで私たちは、何度も初対面の男女として
会って来ました。
悲しいことに、
以前に2人が死ぬほど愛し合っていたことを
知らないままに再会を繰り返して来たのです。


ですが、例え、そんな中にあっても、
その度に、新たな恋が芽生え、それまで以上に
互いの愛を育んで来たのです。

純愛です。



私はこの歳まで、
彼女との、その純愛を絵に残してきました。
私が若い教師として高校時代の彼女と接した時の絵、
歳を取って女子高生としてここに現れた時の絵、
初めての出会いだと思っていた、あの森の木の下の絵、
中学生時代の彼女と花火大会でぶつかりラベンダーを
を交換した時の絵、
私のマンションに彼女が現れた時の絵、
森の中での彼女の様子など、、、他にも多くあります。


本当に長い年月が流れました。

私は年老いた今でも尚、
彼女を愛し続け探し求めて来たのです。


私は、
必ず君にたどり着いて見せると約束したのですから。

そして今、
やっと、その彼女にたどり着くことが出来たのです。

今、彼女と私は共に狭い空間の中で暮らしています。


本音を言うなら、
彼女の肉体をこの手に抱きしめたい!
彼女の肌の匂いの中に顔を埋めて、体中を舐め回したい。
その腹部内の内臓を、腸の塊を、この手に感じたい。


もう1度、その体の汗と粘っこい皮膚を、全て吸い尽くしたい。
甘ったるい生々しい温もりをを感じてみたい。。。
私独自の性癖で彼女を喜ばせてみたい。。。
そして、幾度となく肉体的に結ばれたい。


今の私は、
彼女の肉体に対して、
想像を絶する性欲が湧き上がって来るのです。
自分でも信じられない程に強烈です。

老人の私に、これ程までに強烈な性欲があるなんて
彼女が知れば死ぬほど驚くに決まっています。


私のアトリエに彼女がいない時でも、
彼女が残した、かすかな匂いで、
あそこが岩のように固くなってしまうのです。


台所に吊るした彼女のエプロンに沁み込んだ
彼女の匂いだけで大量に放出して、
頂点を迎えてしまう程なのです。

彼女の風呂の湯の中につかるだけで興奮し、
使用したタオルに心がよせられるのです。

夜一人で眠る時、彼女の肉体を思い浮かべて
寝床でもがきながら行ってしまいます。

眠った夢の中で彼女の腹部を責めているのです。
朝起きて濡らしている時もあるのです。


アトリエの椅子に座った彼女の呼吸が
その腹部を緩やかに動かす光景に刺激され
頭の中は彼女の内臓を想像して筆は進みません。
私が作業着でなければ、彼女に私の興奮度を
見破られてしまいます。

そんな自分を戒めるのですが、
ど~にもならないのです。


私は70歳をゆうに超える老人です。
もし、今の私の状況を同年代の男性に話しても
決して信じてもらえないでしょう。。。。
私の性欲年齢は20~30歳代なのです。それ以下かも

彼女は、私の事を信じて安心し切っています。
私の事を命の恩人だと思って献身的に、
私に尽くしてくれているのです。
彼女は記憶を失っています。

いくら私たちが、時のねじれの中で愛し合っていたとしても、
今の彼女は自分が誰なのかさえ分からないのです。
そこに、真の純愛はありません。

そんな彼女に、どんなことがあっても指一本だって
触れることは許されません。

もし、それを破るようなことがあれば、
私は私ではなくなってしまいます。
私は彼女を純粋に愛しています。
彼女を命懸けで守ると決心したのです。

信じられないかもしれませんが、
彼女は間違いなく、

処女です。



今、私の時間側で彼女と結ばれたとしても、
又、一時的に彼女の特殊な性癖を満たしたとしても、
果たして、彼女が将来も本当に幸せになれるでしょうか。

時は残酷なまでも刻々と過ぎていくのです。
彼女の将来と私の将来には時間の差が
あり過ぎるのです。

探し求めて、
やっとのことで彼女と出会えたのだとしても、また、
今、私の体が彼女に再生され蘇っているとしても、
将来、私はいつまで、
彼女を守り続けられるというのでしょう。

私は彼女に何を求めようとしているのでしょう?

私と比較すると、
彼女は未婚の若い世間知らずの女性なのです。
しかも、彼女は自分が誰かさえ分からないのです。
そこに、私が求める純愛があるのでしょうか。


正直なところ、
彼女に私の事を思い出してもらいたい気持ちでいっぱいです。

また、これまでの様に、
新たに彼女との愛を育てたい気持ちでいっぱいです。


ですが、年老いた私と若すぎる彼女の間に、
例え愛を育むことが出来たとしても、
それが本当に彼女のためになると言うのでしょうか。
彼女を本当に愛することになるのでしょうか。
彼女はその特殊な性癖のために処女なのです。


彼女は私の性欲を蘇らせたのは事実です。
その性欲で彼女の性癖に火をつけて、その肉体を
私の物に出来たとしても、それがいつまで
続くと言うのでしょうか。

彼女の性癖は半端ではありません。
私にはそれが分かっています。
彼女は、
自分で命を懸けてまでも、岩に体を挟む程の強烈なものです。



私は彼女を自分の生涯の伴侶としたいと、
真剣に考えることもあります。
ですが、
彼女の将来は、まだこれからなのです。



私が一線を超えようとした時、間違いなく
時のねじれが起こるはずです。
きっと、彼女は私の前から姿を消してしまいます。

私は、これまで、
ず~っと彼女を愛し続けてきました。
彼女をあきらめたことなんて1度もありません。
時を超え、今、
彼女は私の前に姿を現しているだけなのです。


少しでも長く、
彼女と今のままの平穏な暮らしを続けることが
きっと、お互いの幸せなのです。


夢と幻想の森