お父さんが新聞を広げています。
おはよ~う! お父さん、お母さん!
あ~ ねむいな~
両手を上に広げて大きなあくびをしました。
あ~ お腹ペコペコで死ぬ~ 。。ご飯! ご飯!
父が言います。
美沙! お前! 随分と身長が伸びて大きくなったな~
でもな~ 、、、 お父さんが私を見ています。
ガブガブ、、、ガブガブ、、、、お母さん、お代わり~
お、おい! 美沙! それはお父さんの卵焼きだぞ、、、
気にしない、気にしない、、
お父さんの可愛い娘の成長のためなんだからね~
ガブガブ、、、ガブガブ、、、、、、ガブガブ
美沙! お前! 女の子だぞ!
もっと女の子らしく、おしとやかになれないのか~?
お前、もう高2だろう?
ガブカブガブガブ、、、、ガブガブ、、、、うま~い!
高2と言えば、もう半分大人なんだからな。。。。
半分大人か~あ。。。
女の子らしくか~ 、、、?
おしとやかにか~ 、、、?
私には縁が無い単語だと思いました。
父が言います。
美沙!
隣町で女子高校生への、いたずらの記事が出てるぞ!
未遂ってなってるが、実際にど~なのか分からんよ。
美沙! お前も気を付けないとダメだぞ!
学校の帰りに寄り道なんて絶対にしちゃダメめだぞ!
いいな!
本当に物騒な世の中だ!
なんでも組織的な犯罪のようだが、
本当にけしからん連中だよ!
弱い女の子ばかりを狙った、許せない行為だよ!
・・・
私の頭の中に、あの時の事が浮かんで来ました。
あっ! あの連中だわ!
実は私と美香ちゃんも、
その連中に襲われて、ヤバイところだったのです。
あいつら!
まだ同じことをやっているんだ!
このままだと、被害者は増える一方だわ!
お父さん!
他に何か書いている?
ガブガブ、、、ガブガブ、、、
あ~ なになに、、
「勇気と愛の会」と言う街の有志の人たちが
立ち上がって、その悪い奴らと戦っているようだね。。。
その人たちのお陰で、助かった女の子も何人かいるようだ!
え! 「勇気と愛の会」
ピーナツバターやでっぷりパンダたちだ!
助かった女の子って、ひょっとして私たちのこと、、、?
このような人たちが居てくれて本当に助かるよな~
有難いことだよ!
でも、実際には大変なことだと思うね。。。
でもお父さん!
なんで警察は動いてくれないの?
悪い人をやっつけるのが、警察の役目なんでしょう?
う~む、、、、それは、そ~なんだけどね、、、
この手の事件は、
被害届が殆ど出ないケースが多いんじゃないのかな~
被害届が出ないと警察も動きずらいだろうし、、、
被害を証明するのも法的に大変だろうし、、、
例え証明できたとしても、
失うものが大きいからね~。。。。
結局は泣き寝入りってことになる。
だから、お前は十分に気を付けてもらいたいんだよ。
傷ものにされちゃ、
お父さんとお母さんは寝込んでしまうからな。
生きていけないかもしれん!
だから、学校からは絶対に寄り道なんかせずに、
真っすぐに家に帰って来るんだぞ!
いいな! 美沙! 分かったのか~?
はーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!
お母さん! お代わりーーーーーーーーーーい!
お父さん! そのお漬物、もらっていい?
おい、美沙! 聞いてんのか?
なになに、、、、「勇気と愛の会」の人たちの中に
怪我人が出ている様子だな。。。
えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!
怪我人! (大声で叫びました)
わっ~! 急に大声出してど~したんだよ?
一体、なんなんだ? 美沙!
ビックリするじゃないか!
ごちそうさまーーーーーーーーーーーーーーーあ!
美沙! わかってんのか~
気を付けるんだぞ~ いいな!
大丈夫!
私は大丈夫だからーーーーーあ! お父さん、お母さん!
私は自転車を必死にこいで学校に急ぎました。
校門の入り口を通過し自転車を放り投げて、
校庭を走って校舎の入口に急ぎました。
校舎の入り口の前に、1人の女子が立っています。
赤のリボンのツインテールが見えます。
まさか、、、、、あれは!
美香ちゃん?
あ~ 美香ちゃん! 私を待っててくれたの~?
そ~だったらいいのにな~と思ったのです。
私は一気に美香ちゃんに向かって走って行き
5m手前で止まりました。
美香ちゃんが、私の思っている美香ちゃんなのか、
それとも、
今までど~りの美香ちゃんなのか分かりません。
私は夢の中で美香ちゃんと行動を共にしました。
ですが、あれは私の夢!
でも、このツインテールは何?
赤のリボンのツインテール!
単なる偶然なの、、、、?
でも、今までの美香ちゃんと違ってる感じがするわ。。。
違っててほしい!
どうか違っててください!
そ~思って、私は美香ちゃんの顔を、
じ~っと見つめました。
美香ちゃんって、こんなにキレイだったなんて、、、
澄み切った瞳が輝いています。
美香ちゃんも、私を見つめています。
・・・
美香ちゃんが言いました。
美沙ちゃん!
・・・ なに? (私は、美香ちゃんを見つめます)
今井先生と一緒にケーキ食べたの美味しかったね!
・・・ え? うそ、、、、
やったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ!
私は美香ちゃんに抱きつこうと走り寄りました。
両手を出した、と、その時です。
エイ!
あれ~~~~~~~~~~~~え~、、、、
私の体は宙に舞い、投げ飛ばされちゃいました。
はあ~~~~~~~~あ、、、、、美香ちゃん!
ど~なってるの~? ドン!
これって合気道の投げ技じゃん! お尻が痛い~~~~い!
美香ちゃんが言いました。
こんなところで、女同士が抱き合っちゃったら
何言われるか分かってんの。。。
美沙ちゃん! パンツ見えてるよ!
本当にみっともないんだから! 早く立ちなよ!
う、うん!
さあ、行くよ! セーラームーン ピンクちゃん!
私は、セーラムーン レッド!
又の名を
悪を正す正義の味方、女戦士
ガブガブ噛みつきセーラムーン、山口美香よ!
美香ちゃ~~~~~~~~~~~ん!
私の目に涙が一気に溢れ出しました。
私は一人じゃなんだね!
美香ちゃんがいるんだよね!
美香ちゃん! ありがとう! ありがとう!
そ~言って美香ちゃんに結局は抱きついてしまいました。
美沙ちゃんってば!
私は変な趣味ないんだからね!
キモイんだよ!
2人は、
ケラケラと笑いながら、教室に入っていきました。
ホームルーム前に、美香ちゃんが言いました。
ねえ! 美沙ちゃん、知ってる?
「勇気と愛の会」の人が怪我をしたって、、、、
私たちを助けてくれた恩人の人たちよ。。。
うん! 分かってる。。。
ピーナツバターとでっぷりパンダたちだわ。
あの2人、大丈夫なのかな~、、、?
イヤな予感がしちゃうね。。。
美沙ちゃん!
放課後、杉浦先生の部活に行って先生に
聞いてみない?
きっと何かが分かると思うの。
杉浦先生も「勇気と愛の会」の会員でしょう?
だったら、きっと何か知ってるよ!
そうだね! 美香ちゃん!
ここでいくら心配しても、何もならないもんね!
2人は手の平をパチン!と叩きあって
じゃあ、そ~しようか! うん! うん!
美香ちゃんと私は、体育館の横に隣接する
武道場の前にやって来ました。
空手部の専用の道場です。
中から威勢のいい掛け声が聞こえて来ます。
6年前に私たち2人とみんなで南校の空手部に乗り込んだ
時のことを思い出します。
美香ちゃんも私も小5の時でした。
不安と正義感が入り乱れる中で私たちは
前に突き進んでいったのでした。
その時に出会ったのが、
ピーナツバターとでっぷりパンダだったのです。
そして今、その2人の身を案じて、
事情は違っているのですが、又、杉浦先生の
監督する空手部を訪ねようとしているのです。
空手部の武道場の前で美香ちゃんと私は
顔を見合わせ、うなずき合いました。
美香ちゃん! いくよ! うん!
私たちは、靴を脱いで裸足になって部屋に
入って行きました。
部屋の入口のフロアーで少し練習を眺めていました。
杉浦先生の姿は何処にも見当たりません。。。
・・・
20人以上の男子が並んで掛け声に合わして
みんなが前に向かってパンチの練習をしています。
へ~え、、、これが空手なんだ、、、?
美香ちゃんが不思議そうに眺めています。
しばらくすると、美香ちゃんが、その場で
男子がやっているのを真似て手をパンチし始めました。
美香ちゃん、なにしてんの?
空手してんの!
そして、
エイ! エイ! と掛け声も出し始めました。
え~ 美香ちゃん、積極的、、、、
と、その時、空手部の男子が美香ちゃんの掛け声を
聞いて私たちの方を振り返りました。
その内、空手部の全員が練習を止めてこちらを
注目し始めました。
あれれ~ なんだか、、、変な雰囲気、、、
ねえ、、美香ちゃん! 止めなよ!
みんなが、こっちを見てるよ!
エイ! エイ! エイ! 美香ちゃんは止めません。
美沙ちゃんもやってみて、、、
え~ でも、、、何だか変な空気してるよ!
まあいっか~ じゃあ、私も、、、、
ヤア! ヤア! ヤア! ヤア!
エイ! エイ! エイ! ヤア! ヤア!
ヤア! ヤア! エイ! エイ!
2人は空手のパンチを一緒にやりました。
セーラ服で両足を広げて2人はパンチの恰好をしました。
絶体、おかしいな~っと私は思いました。
エイ! エイ! エイ! ヤア! ヤア!
オイ! お前たち!
何してるんだ! ふざけた真似をすんじゃない!
ヤア! ヤア! ヤア! ヤア!
美香ちゃん、これ! いつまでするの 、、、?
なんだか、あの人たち怒ってるよ!
美沙ちゃん! 私、わざと怒らせてるの、、、
は~~~~~~~~~~~~~~~あ、、、?
だって、私、
合気道を試してみたくなっちゃったの?
自分の合気道がどんなのか知りたいもん。。。
美沙ちゃんを投げ飛ばしただけじゃあ分かんない。。
えーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!
う、、嘘でしょう~ まさか、この人達と、、、
美香ちゃんてば、、、そんなの無茶だよ!
いくら何でも、無謀すぎじゃん!
相手は多分20人以上の男子だよ! いいの?
うん! いい!
あの人たち、投げ飛ばしても体が丈夫そうだから
心配しなくていいもん!
まあ、それはそうだけど、本当に大丈夫なの?
うん!
・・・ 仕方ないか~ 私も見てみたいしな~、、、
・・
分かったわ! じゃあ、私も協力してあげるね!
でも、このままじゃあ、私たち喧嘩の押し売りじゃない!
もっとお互いに納得のいく方法じゃないと。。。
だって、あの人たち、
顔は変だけど、全然悪くないもんね!
私たちは正義の味方なんだよ!
そっか~、、美沙ちゃん、ど~したらいいのかな~
・・・ う~ん、、、、?
美香ちゃんは、スタイルが良くて可愛いし、、、、
それに、、、それに、、、胸も、そこそこ大きい、、、
よ~し、、、美香ちゃん! 私に任せてちょうだい
・・・
私は男子たちに大きな声で言いました。
すみませ~ん! めちゃめちゃ失礼だと思いますが、
この子の相手をしてくださいますか~?
もし、この子に勝ったら、この子のオッパイを
少しだけ触ってもいいですから。。。。
はーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ!
み、美沙ちゃん! な、なによ、それ、、、、?
じゃあ、缶コーヒーをみんなに1本ずつってことにする?
約20人として2400円は最低いるよ!
えーーーーーーーーーーーーーーーえ、、2400円!
無理! 無理! 絶対にムリムリ!
でしょう~! コストゼロの方で行こうよ! ね!
・・・ 美香ちゃんが考えています。
タダで私の合気道を試せるんだよね。。。。!
オッパイも減らないし、、、
うん! 分かった! オッパイの方にするわ!
じゃあ、美香ちゃん!行ってきなよ!
負けたら、分かってるわよね、、、!
契約は守らなくちゃ! いい? うん!
あ、それと美香ちゃん、最初の1人を思いっ切り
やっちゃうの、、、でないとみ~んな女の子だと
思ってバカにして、本気にならないからね~
それと、、、
出来れば最初に1回は殴られた方が良いかも、、、
・・・
ふ~ん、、、そうなんだ~、、 じゃあそうするね、、
美香ちゃんが、道場の真ん中に向かって歩いて行きました。
私は自分の事のように、心臓がドキドキしています。
20人以上の男子がセーラ服の美香ちゃんを取り囲みます。
美香ちゃんが、丁寧に頭を下げて言いました。
じゃあ、お願いします!
私は合気道の技でみなさんをやっつけますので、
痛かったら、すみません!
手とか足をすりむいちゃったら保健室で
カット版をもらってください!
じゃあ、どこからでもかかって来てください。
男子たちが、
ぼけ~っと口を開けたまま呆れた顔で美香ちゃんを
見つめています。。。
あれれ、、、、? みなさん! ど~しちゃったの?
私が怖くて手が出せないの?
は~~~~~~~~~~~~~~~~~~あ!
お前! 気が狂ったんじゃないのか?
俺たちは空手部なんだぞ!
怖くないのか、、、?
うん! 全然、、、
お前! 空手を知ってんのか~あ、、、、?
うん! 良く知らな~い!
プロレスと柔道を合わせたのかと思ってたけど、
違ってたみたい! だから私に、教えてください!
空手部員たちが互いに顔を見合わせています。
こそこそ、、、あいつ、、、No.1の、、、
食パンマンみたいな顔の部員が美香ちゃんの
前に歩いて出てきました。
お前な~! 俺たちの事、かなりバカにしてしてない?
いくらお前が女子だからと言っても、
そんな事、許されると思ってんのか?
はい、だから本当にすみません!
でも、私は自分の合気道を試してみたいんです。
ただそれだけなんです!
試す~う?
はい! まだ使ったことがないので試したいんです!
あのな~ お前!
増々、俺たちの事、バカにしてんじゃん!
それに、お前が負けたら、本当に、、本当だろうな?
え?
本当ッて、何が、、、、?
オッパイだ!
美香ちゃんは、ゆっくり食パンマンにうなずきました。
食パンマンの視線が美香ちゃんの胸に集中しました。
・・・
よし、契約成立だ!
後悔しても知らないぞ!
・・・ 食パンマンが変な構えをしました。。
じゃあ、俺が最初に試してやる!
腹に力を入れて俺のパンチを受けてみろ!
おりゃ!
美香ちゃんのお腹に食パンマンのパンチが
ねじり込まれました。
ズボッ! うっ! う~~~~~~~~~~~~うぅ、、、
拳が美香ちゃんの胃袋辺りにかなり深くめり込みました。
ぐちゃ!っと
音が聞こえたように思えました。
クッ! クーーーーーーーーーーーーーーーーウ!
美香ちゃんは床に倒れて、
両手でお腹を抱えてうずくまってしまいました。
う~~~~~~~~~~~~~~~~~~~うぅ、、、
オイ! 大丈夫か? な~あ、、、どうなんだよ!
何か言ってくれよ、、、
俺、、女の子の腹が、
こんなに柔らかいなんて知らなかった。。
やり過ぎた! 悪かった! なあ、、しっかりしろ、、、
つい腹を立てて本気でやっちまった。。。!
・・・
食パンマンは、
おろおろしながら美香ちゃんの肩に手を
掛けてゆすりながら、泣きそうな顔になっています。
・・・ ク、、苦しい~
・・・ おい、、、大丈夫か。。。な~?
・・・
美香ちゃんが、よろけながら立ち上がりました。
は~ 、、、深呼吸
お腹が潰れちゃったかもって思ったわ。。。
だから言っただろう、、後悔するぞってな!
空手をなめると、こ~なるんだぞ!
分かったか?
・・・
これが、空手のパンチなの?
実際に当たると結構痛いわね! よくわかったわ!
でも、当たらなかったらど~なるの。。。?
はーーーーーーーーーーーーーーあ!
お前! まさか、、、、?
まさか、俺の拳を、わざと腹で受けたっていうのか。。。?
それも力を抜いた腹で、、、
そう! その まさかだよ!
あの、、、私、さっきから思ってたんだけど、あなたって
食パンマンみたいな顔をしてるね!
はーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ!
お前って奴は!
絶対に俺のことをバカにしてるな!
してない!
イヤ、してる!
じゃあ、もう1度、私にパンチしてみてよ!
私が勝ったら、バカにしてないってことで、
食パンマンが勝ったら、バカにしてるってことと
プラス、オッパイ! いい!
・・・ 食パンマンが頭をかしげて考えています。。。
意味がわかんね~ オッパイだけはよく分かった。
よし、じゃあもう1度だ、本気で行くぞ、いいか!
美香ちゃんが、両ツインテールをサッと背中に回し
食パンマンに気を合わせています。
おりゃ! シュッ!
美香ちゃんの腹部に向かって拳がねじれるように進んできます。
次の瞬間、食パンマンの体が大きく宙を舞い
ドン!と床に叩きつけられました。
うわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ!
取り囲んでいた多くの他の部員たちがビックリして
大きなどよめきが上がりました。
えーーーーーーーえ! 美香ちゃん! すっごい!
派手にやっちゃったーーーーーーーーーーあ!
完全に相手の先を読んでる!
気を合わせて投げ飛ばしちゃった~!
今井先生が言ってた通りだわ、
美香ちゃんには合気道の天才的な才能があっるんだ!
でも、こんなにスッゴイなんて信じられない。。。
感激しちゃう!
・・・
キャプテン~~~ン! 大丈夫ですか~あ?
他の部員たちが、その様子をボケ~と見つめていましたが、
一瞬、ハッと我に返って、
一斉に美香ちゃんに向かって構えました。
食パンマンが床に転んだままで言いました。
みんな顔はダメだーーーーーーーーーあ! いいか~!
オッス!
部員が構えから一転して攻撃に変わりました。
エイ! やあ! おりゃ~! ドン!
はっ! エイ! 痛て~ ドスン! ヤア! エイ!
ドスン! えい! どん~ん! ぎゃ~
あれっ! どこだ! エイ! ドスン! いてーーえ!
ヤア! エイ! この野郎! ドスン!
はっ! エイ! ドスン! ヤア! エイ!
一瞬の出来事でした。
美香ちゃんが倒れた部員たちの真ん中に立って、
手を叩いて、わ~ やっちゃった~~~~~あ!
・・・
美香ちゃん、、、、、すごいよ、、、
私は小5の時の美香ちゃんを思い出していました。
6年前、
南高の空手部に私たちが乗り込んだ時のことです。
武道場に入る前に、あまりの不安と緊張で
目をクリクリさせて美香ちゃんは私に言いました。
美沙ちゃん、私、おしっこが漏れそう。。。
その美香ちゃんが、あの時、私がやったと同様に
たった1人で高校生の男子空手部員20人以上を
一瞬にしてやっつけてしまったのです。
美香ちゃん!
あなたは本物のセーラムーンなんだね!
すっごいよ! すごすぎるわ、、私の目に涙が滲んで来ました。
と、その時です。
武道場の後ろの扉が開いて杉浦先生が入ってきました。
杉浦先生は私の隣に並んで立ちました。
部員の1人が叫びました。
先生~~~~~~~~~~~い!
殴り込みで~~~~~~~~~~~す!
こいつ! 道場荒らしです。
先生が驚きの表情で道場内を見渡しています。
美沙君!
君が、、、君が、やったのかね。。。。。?
イエ! 先生、私ではありません。
君じゃあない? じゃあ、、だれが?
見てください! あそこに居る女子を!
あ、あれは、山口美香!
山口美香が、
この部員たちを全員やっつけたっていうのか?
たった1人で我が校の空手部員23名をやったのか?
はい! それも一瞬でした!
私は何も手出しはしていません。
ここで、ただ見てただけです。
しかし、彼女が~ 、、、なんで、、信じられん!
先生! 山口美香は本物のセーラムーンです。
あ~ そ、そう、みたいだな、、、、
先生は、私たちを探していたのではないですか?
セーラムーンを探していたのでしょう。。。
、、、、、、見つけましたね!
・・・
美香ちゃんが、食パンマンの介抱をしています。
ねえ、、食パンマン! 大丈夫? ねえ~、、どうなの!
何か言って下さい、、、
私、、男の人が、
こんなに簡単に投げ飛ばせるなんて知らなかった。。
やり過ぎちゃったわ! ごめんなさい! ねえ、、しっかりして、、、
初めてなので、つい本気でやっちったわ。。。!
・・・
食パンマン! 食パンマン! 大丈夫なの?
あのな~ 俺は中西って言うんだよ!
食パンマンじゃない!
あ、そ~なんだ、じゃあ、中西君! ゴメンネ!
ああ、、いいさ、、でも一体何が起きたんだよ?
気が付いたら床に投げ飛ばされてた!
お前は、一体何もんなんだよ?
え! 私、、、わたしは、、、わたしは、、、セーラ・・
いえ、私は、、、、、2年C組の山口美香です。
えええええええええ、、、、、、、、えええええ!
お前が、我が校の全女子可愛いランクNo.1の山口美香なのか~
もう一人お前と同点数のNo.1、野々村美沙ってのがいるが。。
は~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~あ?
可愛いランク~~~~~~~う? なんだそれ?
おい! まさか、まさか、あそこに立ってるのが、
その、野々村美沙じゃないだろうな!
そ~だけど。。。
それが ど~しちゃったの?
食パンマンが急に走り出して部員皆を向こうで
集めています。
・・・ ?
部員が一か所に集まって何やらこそこそと
話をしています。
・・・ ??? 変なの、、、
美香ちゃんが、先生と私の処へやって来ました。
杉浦先生! 道場で暴れちゃって、本当にすみません。
私の合気道を、皆さんにお願いして、
試させてもらいました。
そ~かね! で、美香君! 結果はど~だった?
はい! 最初にしては先ず先ずって感じでした。
全員を倒すのに約36秒掛かりました。
えーーーーーーーーーーーーーーーえ!
36秒で23人の空手部員を全員倒したのかね?
はい! 少し手間取ったかもしれませんが、
何とかなりました。。。。。
全く息も乱れてないし、、、
杉浦先生の顔が増々驚いています
恐ろしい。。。。。私も見て見たかったよ!
ここへ来た時には、勝負は既についていたからね!
残念だよ!
——————————
私たちは杉浦先生に「勇気と愛の会」について聞きました。
元々、私たちは、そのためにこの空手部に来たのです。
杉浦先生が居ない間、ちょっとしたハプニングは
ありましたが、そのことで美香ちゃんの自分の合気道を
確認することが出来たのです。
そんなことより、
杉浦先生の話で美香ちゃんも私も驚きました。
ピーナツバターとでっぷりパンダがある組織に
捕まって帰って来ないというのです。
2人は女子高生を狙った、いたずら事件の防犯に頑張って
いたのですが、それに関係する事件以降、
姿が見えなくなっているというのです。
その折、「勇気と愛の会」のメンバーも組織の人間と
やり合って、2人が軽い怪我を負わされたとのことでした。
それが、
新聞の記事になっていた件のようでした。
だか2人の失踪については、何も手がかりがないんでね
警察も動けないようなんだよ!
まだ犯罪とはみなされていないんだよ!
え~~~~~~~~~ぇ、、、
じゃあ、
2人が今ど~なってるのか分かんないのですか?
ああ、、、そうだ!
組織の連中からすると、
あの2人は憎き邪魔者のなはずだ!
特に、一生懸命に頑張っていたからね。
本当に正義感の強い青年たちだよ!
だから私たちも、今2人の身を案じて必死で探しているんだよ!
間違いなく奴らに連れていかれたのだと思っている。。。
私たち会の仲間としては、放っておくなんて出来ない。
警察が動かないなら、自分たちで探すしかないからね!
でも、みんな殆どが社会人だ!
みんな仕事があるんだよ!
だから、仕事の合間や休日をぬって、
また学生も授業の合間に出来るだけ集まって
皆で協力して捜索をしているんだよ。
美香ちゃんが言います。
先生!
私たちも一緒に探します。
あの2人は私たちが組織に連れられて行こうとした時に
助けてくれた恩人なんです。
お願いします。捜索の仲間に入れてください。
・・・ し~ん、、
・・・
、、、、、先生!
・・・
・・・
美香ちゃん! 無理だよ!
考えてみなよ、私たちは未成年者なのよ!
それも先生からすると自高校の生徒で教え子、
しかも、私たちは女の子なんだよ!
そんな危ないことに、
私たちを巻き込むことは出来ないの!
先生を困らせてちゃダメよ! いい!
美香ちゃんが言います。
先生は何故、
私たちセーラムーンを、あれ程までに
探していらっしゃったのですか?
今、先生の目の前に、セーラムーンが居るんですよ。
何とか言ってください!
セーラムーンは悪を正す、正義の味方なんです。
それが、セーラムーンの役目なんです。
・・・
・・・
・・・
、、、、、先生! 杉浦先生!
・・・ お願いです。。。先生!
・・・
・・・
美香ちゃん、、、、もう、、、やめなよ~
美香ちゃんは、引き下がりません。
美沙ちゃん!
だって、先生は矛盾してるって思わない?
授業で私たちに、夢に向かってジャンプしろって言っておいて
現実の問題に対しては、何故ジャンプさせてくれないの!
夢に向かうってことは、
言葉の理想ばかりに向かうことじゃあないと思うわ!
今そこにある現実の問題に向かって行くことでしょう!
例え危ない事や難しいことにでも、
勇気をもって、ぶつかっていくことが大切なんでしょう!
夢はその向こうにあるんでしょう!
・・・
美香ちゃんが必死に話します。
・・・
美沙ちゃん!
私は美沙ちゃんに、小5の時にそれを教えてもらったのよ!
そ~でしょう!
思い出してよ!
小5のちっちゃな私たちでは不可能なことをみんなで
力を合わせて自分たちでやったのよ。。。
美沙ちゃんが、勇気と愛をみんなに教えて
くれたんじゃない!
だから、みんな美沙ちゃんを信じて、どんなに怖くても
だれ一人逃げずに、美沙ちゃんの後をついて行ったの!
杉浦先生!
勇気と愛の会は、そんな美沙ちゃんや私たちを思って
作った会だって言ったでしょう。
先生の立場は分かります。
でも、野々村美沙と山口美香はセーラムーンなんです。
そのセーラムーンが、
あの2人を助けなくてど~するのですか?
大人社会の形ばっかし考えても2人は見つかりません。
どうか、私たちも捜索に参加させてください。
杉浦先生! お願いします!
・・・
・・・ 杉浦先生! 読まれているんでしょう?
・・・ 私たちの先を!
・・・ 私には分かっていますよ!
そこへ、
空手部全員が、のそのそと近づいて来て、私たちに言いました。
食パンマンが言います。
あの~ お話し中ですが、、、
今度の文化祭で、君たち2人が俺たち空手部の人員として
参加してもらえないかな~あ、、、
俺たちの部、全然人気がなくてさ、
人が集まらなくって困ってんだよ。。。
可愛いランクNo.1のお二人に参加してもらえば、
いっぱい人が集まって、
空手部の人気上昇、間違いなしなんです~、、、
は~? なに言ってるのよ、こいつ(私)
邪魔よ! 今は、あっちへ行ってて!
私は全員を「グッ!」と睨み、心の中で気を吐き出しました。
ドドドド、、、、、、、、、ド、、、ドン、、ドカン、、
ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ!
23人の空手部員が一瞬にして向こうの壁まで
吹き飛んでしまいました。
あれ~ 前より強くなってる。。。なんで?
美香ちゃんと、杉浦先生が、ぼけ~っと口を広げたまま
向こうの壁に重なるようにして転んでいる部員を
見たまま瞬きもしません。。。
・・・ え
・・・ うそ!
・・・
美沙ちゃん! ひょっとして、、、
今の、、、美沙ちゃんが、、、、、やったとか、、?
う、 まあ、、、そ~みたい、、、(私)
いったい、何しちゃったの、、、?
・・・
う、うん! 「波動の術」を使っちゃった~
波動の術? なんだそれ?
変な技が使えちゃうんだネ!
でも、めちゃめちゃスッゴイ技だわ!
私、初めてみちゃった~、、、
・・・
でも、なんで、そんなこと出来ちゃうの?
・・・
う、うん!
なんでか私には説明できないけど、、、でも
今井先生に教えてもらっちゃったの。。。
体にねエネルギーを貯めちゃって出すの!
簡単だよ!
ふ~ん、、、、、でも私には出来そうにないな~
杉浦先生の様子が変です。。?
杉浦先生が声を震わせて言いました。
み、、み、、、み、、、美沙、、、、君!
い、、、いま、、、な、、んと、言った!
先生の体が直立不動でガタガタ震えています。
美香ちゃんが先生に聞きます。
先生!
ど~されたんですか? 顔色が良くありませんよ!
美沙ちゃん、今なんって言ったの?
は~?
波動の術? エネルギーを貯める? 今井先生?
美香ちゃんが先生に聞きます。
先生! どの部分ですか~ はっきり言ってください!
先生! 杉浦先生! しっかりしてください!
ど~されたんですか~?
・・・ ?
先生は何か言おうとしているのですが、
言葉が出にくいようです。。。。。?
・・・ は、、、、は、、、
・・・ ?
は、は、波動の術って言ったよな、、、美沙君
波動の術って、、、
あ、はい!
い、今井先生って、も、もしかして、もしかして、
今井重徳師範の事じゃあないだろうな、、、、?
え! そ~ですが、
それが、ど~かしましたか~?
私たちは今井先生とは、すっごい仲良しなんですよ。
ね! 美香ちゃん。うん!
美香ちゃんが言います。
合気道でもお世話になりましたが。
私たちケーキ仲間なんです。
先生のお口にケーキをスプーンで入れてあげると、
とっても嬉しそうに食べちゃうんですよ~。
今井先生って子供みたいなんです。。。
ね! 美沙ちゃん! うん!
えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!
杉浦先生が増々驚いた顔をして、私たちを見つめました。
で、美沙君! い、いつから、今井師範を知ってるんだネ?
は~あ? 私は小5のときからですが、、、、
美香ちゃんは最近です。。。
そ、そ、、そ~かね、、、
で、で、、、今井師範から波動の術を教わったんだネ!
あ、はい! それが、なにか、、、、?
ちょっと待ってくれ、、、
杉浦先生は言葉が出にくいようで、しばらく
天井を向いて深呼吸を何度もしていました。
美香ちゃんが私にこそこそと言いました。
先生って言語障害があるんだ、、、、うんうん、、
・・・
私は言語障害なんてないよ!
あああ、、、、、しまった~、、、、、、
・・・
やっと先生が普通に戻って言いました。
いやね、今井重徳師範と言えば武道の世界では知らない
者はいないんだよ、、、それに、今井師範の書物の中に
波動の術が書かれているんだ。
多くの人は疑問を持っている内容だけどね、
それでも随分と波紋を広げているんだ。
波紋と言うのは、現実にそれが存在するかどうかってね。
殆どの人が見たこともないし、信じてはいない!
早い話が、嘘だと思われているんだよ!
杉浦先生!
今井先生は嘘なんて言いません。
私は最初に今井先生から何十メートルも離れている
場所に居て、先生の波動の術で吹き飛ばされました。
そ~だったんだ。。。信じられないが、、、
目の前で見せつけられると、信じない訳にはいかないな!
いや~ 全くすごい、、、すごい技だよ!
武道の究極の技だよ!
手を触れることなしに相手を制する技、「波動の術」
ところで、美沙君!
エネルギーを放出するなら、吸収だって出来るのか?
・・・ ?
ど~いうことでしょう? 何をすれば、、、?
そ~だな、、、、
向こうに居る空手部員を全員こっちへ引き寄せられるだろうか?
え? 引き寄せる? 、、、、? 出来るかな~あ?
まあ、何事もチャレンジですよね、、、
先生! じゃあ、やってみます!
私は、向こうに居る空手部員を、じ~っと睨んで
グーーーーーーーーーーーッ!っと引き寄せました!
あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ!
嘘でしょう? 信じられな~い、、、、、ど~なってるの?
空手部員の体がまるで木の葉のように舞い上がり、
私たちの方へ飛んできました。。。。。
きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ!
ドドドドドドド、、、、、、ドドドドド、、、、ドン!
いやだーーーーーーーーあ、、、来ないで~ ぐじゃぐじゃドン!
その反動で美香ちゃんも私も床に転んで
食パンマンが美香ちゃんの胸の上に覆いかぶさり、
ハンペンみたいな顔の男子が、
私の体の上に完全に乗っかっちゃいました。
一瞬、自分でも何が起こっちゃったのか
よく分かりませんでした。。
・・・ あれ?
食パンマンの手が、美香ちゃんの胸に乗っかって言います。
これって、契約だもんね~、、文化祭の件よろしく!
ハンペンがにた~っと笑って私の顔の直ぐ上で
俺ってさ!君に1票入れたんだよな~
文化祭頼むよ! にた~
キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーア!
エッチーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!
ドン! 手で押しのけました。
食パンマンとハンペンが同時に3m程、吹き飛びました。
杉浦先生が空手部員に向かって言いました。
君たち!
今日のここでのことは言わないで欲しい。いいかね!
約束してくれないか。
・・・ はあ~?
食パンマンが言います。
先生! 約束って一方的過ぎますよ!
な! 鶴田(ハンペン)!
そ~だよ! 俺たちこんなに散々な目に合って
誰にも話さないってな~
・・・
ハンペンが言います。
じゃあ、交換条件として2人が文化祭に俺たちと
一緒に参加してくれるんだったら約束してもいいかもな~!
そうだ、そうだ、
みんなが一斉に声を挙げました。
・・・
杉浦先生が、私たちの方を向きました。
今は君たちの能力を、あまり他には知らせない方が
いいように思うんだよ。。。
美香ちゃんと私はお互いの顔を見合わせました。
何も言わずとも2人は互いに分かっていました。
美香ちゃんが、空手部員に言いました。
分かったわ! 一緒に文化祭を盛り上げましょう!
よろしくお願いしま~す。。。と言って
美香ちゃんと私は、ツインテールの頭をペコっと下げました。
やったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ!
全校の可愛いランクNo.1の二人が俺たちの物だーーーーあ!
美香ちゃん!
さっきから可愛いランクって言ってるけど、、、
可愛いランクってな~に?
詳しく知らないけど、
美沙ちゃんと私がNo1なんだって、、、
、、、、ふ~ん
美香ちゃん!
空手部の人たちって、結構単純なんだネ!
みたい!
杉浦先生が言いました。
田中と吉本の捜索なんだが、
君たちにもぜひ協力してもらいたい!
頼めるだろうか?
美香ちゃんと私は顔を見合わせて、同時に「ハイ」と
うなずきました。
実は、明日朝9:00から私の家で「勇気と愛の会」がある。
そこで、2人の捜索の打ち合わせがあるんだ!
明日は学校は休日だし、ぜひ来てくれないか?
「勇気と愛の会」のみんなも君たちに会いたがってるよ!
だって、6年間も君たちを探していたんだからね!
君たちの知っているメンバーばっかしだ!
はい! 必ずお伺いいたします。
・・・
私は心の中で誓いました。
ピーナツバター、でっぷりパンダ!
私たちが必ずあなた達を見っけて助けてあげるわ!
待ってて!
美香ちゃんも、同じ思いでした。
5分で初対面の女性の興味を引き、1時間後には「また会いたい」と思わせる会話術
翌朝9:00少し前、杉浦先生の家の前に自転車で
到着しました。
家は学校の直ぐ近くでしたので直ぐに分かりました。
私が到着して間もなく美香ちゃんも来ました。
9:00時5分前になりました。
勇気と愛の会か~ 6年前のみんなに会えるんだわ!
美香ちゃん!
聞いてもいい?
うん! いいよ!
私、みんなにどんな風に接したらいいと思う?
小5の時って、私すっごい汚い言葉を使ってたでしょう。。。
あんな言葉を使った方が私らしくていいのかな~?
あのね、私、お父さんに言われちゃったの。
もっと、おしとやかになれとか、、、
女の子らしくしなさいとか、、、
だから、だから、ど~しよう?
なんだか緊張しちゃうな~ みんなに会うのって、、、
ウッソ~ 美沙! 本気でそんな風に思ってるの?
美沙らしくないよ! でも、美沙って可愛い~
そんな美沙って初めて見ちゃった~!
いいんじゃない! 女の子らしくしてたら、、、ケラケラ
うん! そ~だよね!
その方がいいよね! 女の子だもんね!
じゃあ、そろそろ入ろうか! うん!
・・・
私は美香ちゃんに先導されて
杉浦先生の家の玄関前に立ちました。ドキドキ
ピポ~ン! 失礼しま~す!
直ぐに杉浦先生が玄関先に出て来て、
やあ! 来てくれたんだネ! ご苦労さん!
さあ、上がってくれ! 広間でみんなが待ってる!
美香ちゃんと私は、廊下を通ってドアの前に来ました。
ちょっと、ここで待っててくれ!
私がみんなに少し話をするので、
呼ばれたら入って来てくれないか。。。
はい!
美香ちゃん! 私、すっごい緊張してる! なんでかな~?
中で先生が多くの人に何かを話しているようです。
6年振りの再会です。
この6年間、み~んが私や美香ちゃんを探してたんだわ。
みんなの頭には、小5のちっこい私の姿しかない!
今の私の姿を見て、みんなはど~思うんだろう!
私の体は確かに大きくなった、でも私は小5の時から
今の高2だったんだわ! 私は小5の高2だった。
私は、あの時と全く変わってなんていないんだわ。
ついに、先生から私たちは呼ばれました。
美香君! 美沙君!
入って来てくれ! 先生の声です!
ドキドキドキ、、、、、ドキ、、、なんでなの?
なんでこんなに緊張するの~
私は美香ちゃんの後について部屋に入って行きました。
うつ向いたまま、顔を上げることが出来ません!
あ~ 恥ずかしい~ 私、私、、ど~しちゃったの?
部屋も広く、人がいっぱい居る気配がします。
先生以外に18人居ます。
気お読めば、見なくても私には分かります。
と、言うことは2人を除いて当時の部員全員です。
みんなの視線が私たちに向けられています。
あ~ 私を見ている。。。恥ずかしい。。。
耳を澄ませば、声も聞こえます。
はあ、、、、、、、、、、あれが、、、美沙か~
美沙~~~~~~~~~~~、、、探したんだぞ!
会いたかった、、、、、~~~~~ 美沙~
こんなに、、、キレイだなんて、、、、、美沙、、
キレイだ、、、、、、美沙!
ありがとう、、、みんな~ 嬉しいよ、、、みんな(私)
キレイだなんて言ってくれて、、、うれしい、、、(私)
・・・
、、、、は~、、きれいだ、、、可愛い、、、
あれが、、あれが、、、あの美沙か~
美香もキレイだ、、、信じられない、、、こんなに、、
イイ女になって、、、想像よりはるかにキレイじゃんか、、、
綺麗すぎだよ、、、、、やっぱ口が悪いのかな~
おい! あの胸、、、見てみろ、、、うわ~
すっごい、、、いい、、、大きくなったな~
スタイル抜群じゃんか~ ウエストもくびれてる、、
色白でまるで透き通っている感じだ、、、色っぽい
もう大人じゃんか、、、当たり前だろう高2だぞ、、
俺、、感激して、、もうダメ、、、美沙~
会いたかったんだぜ美沙、、、、
やっと出て来てくれたんだ、、、探したんだぜ美沙、美香
今まで何処にいたんだよ、、俺たちを置いてさ、、、
色んな声が、かすかに聞こえて来るのですが
私たちを褒めてくれているようです。
でも、こいつらやっぱし、男じゃん!
人の体ばっかし見て感心してるじゃん。。。。すけべ
杉浦先生が私たちを紹介します。
皆さん!
山口美香君と野々村美沙君です。
6年振りにやっと私たちの元へ帰って来てくれました。
今回、
田中と吉本の捜索に協力してくれることになりました。
じゃあ、1言、挨拶をしてもらいます。
え! 挨拶! あいさつなんて、、、ど~しよう?
そんなの私、考えてないのに、、、困ったな~あ、、
最初に、山口美香君からお願いします。
美香ちゃんが挨拶をします。
みなさん、山口美香です。
本当にお久しぶりです。あれから6年が経ち今日皆さんに
こうして会えるのを嬉しく思います。
ただ、今回は田中さんと吉本さんの捜索ってことで
楽しい再会ではないかもしれませんが、みんなさんと
力を合わせて何としてもお2人を無事に救出できればと
思っています。
私に取ってはお二人は大切な恩人でもあります。
絶体に救い出したいと思っていますので
よろしくお願いいたします。
え~~~~~~~~~~え! 美香ちゃん!
すっごいよ~ 、、、なんでそんなに話せるの~?
信じられない~! 私には絶対無理!
あ~ 私の番だは、、、、ど~しよう~、、、
何を話したらいいの~?
それでは、野々村美沙君! お願いします。
あ~~~~~~~~~~~~あ、、、、最悪!
何も話せない、、、ど~したらいいの~
・・・
・・・ し~ん
・・・
私はうつ向いたまま、目を閉じて頭が真っ白状態でした。
・・・
・・・ し~ん
小5のホームルームの時、
私は皆の前で一声をあげたんだった。
あの時はヤンクミが出て来ちゃったんだわ。。。
私は、女の子らしくとか、おしとやかになんて出来ない!
そんな単語は私の辞書の中にはないんだ!
・・・ し~ん
美沙君! ど~したんだね?
1言だけでもいいんだよ、、、なんでもいいんだ。。。
みんなに声を掛けてくれないか。
・・・ し~ん
私は顔を上げてみんなの方を見ました。
1人1人の顔をじっくり見つめました。。。
・・・
・・・ しばらく皆の顔を見つめたままでいました。。。
・・・ し~ん
あ~ みんな懐かしい顔ぶれだわ、、、
南校の空手部の連中だ。。。
みんな立派になっちゃったな~
・・・ 色んな光景が頭の中に浮かんできます。
私たちが南校の空手部に乗り込んだ時のこと。
角竜との対決の時のこと。
夕日に向かってみんなと一緒に夢に向かって
走っていた時のこと。。。
キラキラと輝いて私たちは、みんなで一緒に笑ってた!
・・・
私の足は、何故か自然に、みんなの中に進んでいきました。
前の方からゆっくりと歩いて、1人1人の前で立ち止まり
近くで顔を見つめました。
目から涙が溢れ床にポトポトと流れて落ちていきます。
私は、1人1人の体をしっかりと抱きしめていきました。
18人の男子たちが、しっかりと私の体を強く、
ぎゅ~っと、苦しい程に抱きしめてくれました。
そして、みんなが私の耳元で、
会いたかったと言って涙を流してくれました。
私はみんなに、私の存在を目いっぱい感じて欲しかった。
私の体、私の匂い、私のツインテール、私の涙、、全てを。
そして、なによりも、
私の温もりを感じてほしかった。
。。。。。
でも、
ここにピーナツバターとでっぷりパンダは居ない!
私は、元の場所に戻って、
みんなに話しかけました。
何も考えず思った通りに話しました。
かなり大きな声で話しました。
声が部屋中に響き渡りました。
・・・
お前ら!
まったく、どいつも、こいつも男臭せ~奴らだ!
いいか! みんな! よ~く聞いてくれ!
ここに、なんで
ピーナツバターとでっぷりパンダがいね~んだよ!
捜索をしてんだってな!
笑わせるんじゃね~~~~え!
何が捜索なんだーーーーーーーーーーあ!
お前ら、それでも、あいつらのダチかーーーーーあ!
なんで4日間も見つからね~んだよ!
おい! お前ら!
耳の穴よ~く、おっぴろげて聞きゃあがれ!
仕事の合間だと~~~ 授業の合間だと~~~
ふざけんじゃね~~~~~~~~~~~~~え!
死に物狂いで探してやったのかーーーーーーーーーあ?
何よりも最優先で探してやったってのかーーーーーーあ!
ど~なんだーーーーーーーーーーーーあ!
これだけ、がん首揃えやがって、
お前ら、み~~~~~んな、でくの坊か~~~~よ!
それでも、ダチだって言うのかーーーーーよ!
甘め~んだよ! お前らはーーーーーーは!
あいつらの今の気持ちがわかってんのかーーーーーーあ!
あいつらのダチは、お前らしかいね~んだぞ!
お前らが見つけてやらにゃきゃ、
だれが、見つけてやるってんだーーーーーーーーあ!
もし、お前たちが逆の立場ならど~なんだよ!
頼れるのはお前たちだけだろ!
昔、私が言ったよな!
ダチってのは困った時や苦しい時は
一緒に側にいるもんだってな!
忘れたのかーーーーーーーーーーーーーーーーあ!
今が、あいつら2人の苦しい時なんじゃね~のかよ!
もし、一生懸命に探してるなんて言う奴がいたら
私の前に、出てきや~がれ!
私が、思いっ切りぶん殴ってやる!
仕方がね~なんて思ってる奴がいるなら出てこい!
私が、そのケツを蹴とばしてやる!
お前たちの努力がたらね~んだよ!
・・・ し~ん
ピーナツバターとでっぷりパンダは待ってるんだよ!
お前たち、ダチの来るのをな!
警察も動きゃしね~え!
だったら! ここに居る、みんなで探し出すしかね~
いいか! 今日中に2人を助け出す!
助け出すんだよ~~~~~~~~オ!
美沙! 美沙! な~美沙、、、 おい美沙!
ど~したらいい? 言ってくれ!
いいか! よ~く聞くんだ!
私と美香ちゃんが、公園でおとりになる!
私たちは女子高生だ!
必ず奴らは現れるはずだ!
奴らをとっ捕まえて、
2人の居場所を吐かせるんだ! いいか!
吐かない時は、しごいてでも吐かす!
場所が分かれば、こっちのもんだ!
一気に乗り込んで2人を救出する! いいな!
だがな、奴らはろくな奴らじゃね~!
刃物や銃器を持ってる可能性だってある!
覚悟するんだ!
その覚悟なしで2人を救出することなんて
できやしね~!
だがな、それは私と美香ちゃんで何とかしてやる!
いいな!
それといいか!
これだけは忘れんじゃね~ぞ!
お前たちが、いくら社会人として立派になってもな~
あいつらを助け出さないかぎり、
そんなものは、な~んの意味もね~え!
何故だか分かるか?
この世で一番大切なものは「勇気と愛」だからだ!
・・・
なにをぼけ~っと聞いてんだーーーーーーーあ!
分かったのかーーーーーーーーーーーーあ!
分かったら返事ぐらいしや~がれ!
返事はーーーーーーーーーーーーーーーあ!
オ―――――――――――――――――――-------------―オ!
うわ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~あ!
美沙だ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~あ!
美沙が帰って来たーーーーーーーーーーーーあ!
本物だーーーーーーーーーーーーーーーーあ!
本物の美沙だーーーーーーーーーーーーーーーーあ!
みんなの士気が一気に上がって、部屋中が男の熱気で
溢れんばかりになりました。
あ~又ヤンクミだわ、、、なんでこ~なっちゃうの?
でも、みんなが私の話を聞いて泣いてる!
ど~しちゃったのかな~? 私、変な事いっちゃった~?
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夢と幻想の森