前回関連ストーリー⇒ 森での出来事 転校生(9)時の重なり(高2の小5)

朝、
自転車置き場で美香ちゃんに会いました。

おはよ~ 美香ちゃん。

お早う、美沙ちゃん、
あっ、美沙ちゃん、今日の髪形ツインテールだね。

美香ちゃんが嬉しそうに私の髪を両手で引っ張りました。

こらーーーーあ! 触るな~ 止めろ~ 美香
リボンが取れちゃう!

ケラケラケラ、、、ケラケラ、、

私はいつだってこの髪形なんだからね。
美香ちゃんと同じ髪型だよ。
私のリボンはピンク、美香ちゃんはレッド、、、
子供の時から、ず~っと同じ、、、

えい!

私も美香ちゃんのツインテールを両手で引っ張り返しました。

ケラケラケラ、、、ケラケラ、、

・・・

美香ちゃん、
今日放課後に運動場の階段の所へ来てくれない?
以前に杉浦先生とセーラムーンについて話をした処。。。

話したいことって言うか、
美香ちゃんにだけは知っててもらいたいことがあるの。
空手の練習の前に話しておきたいから...

・・・

うん! 分かった。
美沙ちゃん、話してくれるんだね。
私、待ってたよ。

教室に入って、席に着くと、
隣の転校生が話しかけてきました。

おい、ムシ子!
その髪型、ど~したんだよ?
ピンクのリボンなんか付けちゃってさ、
ど~言った風の吹き回しなんだ。。
まあ、悪くはないと思うがな!

・・・ こいつまだ分かってないの バカ

私は口を利くのも面倒で完全に無視しました。

おい、ムシ子!
なんで黙ってんだよ! 何とか言ったらど~なんだ。

私は、転校生を睨みました。

・・・

おい! 空き缶!
私に馴れ馴れしい口を利くんじゃね~
言っただろう!

私にそれ以上構うと、ぶん殴るとな!
脅しで言ってるんじゃね~ 本気でぶっ飛ばすぞ!



———————– 運動場の階段で

放課後、

美香ちゃんと私は運動場の横に面したコンクリートの
広い階段に並んで座りました。

色んな場所で運動部が練習をしています。
男女の掛け声が聞こえてきます。
少し離れた処で男子たちがサッカーをしています。
以前に、あのコートの中を試合中に美香ちゃんと2人で
自転車で走り回ったことがあります。

ケラケラ、クスクス、面白かったね、、、

うん!

2人は同じことを思い浮かべていました。

・・・・

美香ちゃん、私ね、自分でも信じられないことが
体の中で起きちゃってるみたいなの。
って言うか、変なの、、、お腹の中とかが、、、

えーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!
まさか、

美沙ちゃん、妊娠しちゃったの!

はーーーーーーーーーーーーーあ、、、?

妊娠---------ん!

バカーーーーーーーーーーーーーーーーーア!

なんで私が妊娠しちゃうのよ~
美香ちゃんと同じで、私は男子に全然持てないのよ!
相手が居ないのに妊娠なんてするわけないじゃん。。

・・・

そっか~ 彼氏は居ないのか~
淋しい女子高生だね~ 私たち、、、トホホ、、、

・・・・
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・・・・

美香ちゃん、
あのね、信じてもらえないかもしれないけどさ、
最近なんだけど、
私の体の中に別の人が入り込んじゃってるの。

えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

体の中に別の人が入り込んでる~~~~う!
美沙ちゃん、
ど~言うことなの?
意味が分かんないよ!

・・・

私は美香ちゃんが知ってる美沙に間違いないわ!
少なくとも、今ここに居る私は間違いなくそ~
でもね、ある時、他の人格になっちゃうの。
急にお腹が痛くなっちゃりすると、その時に
他の人に変わっちゃうみたい。

でも、
最近は自分である程度人格の切り替えが出来るように
なってる感じなの。

美香ちゃんがビックリした表情で私を見つめています。

・・・ ?

それって、二重人格って言うやつなの?
マンガで見たことあるわ。。。
美沙ちゃんが、それだって言うの?

・・・

うん、、そ~みたい。
でも美香ちゃん、誤解しないで、
これって最近の事なの。
私はず~っと美香ちゃんのダチだし、
美香ちゃんを欺いたりはして来なかったよ。
それだけは信じて!

美沙ちゃん、
勿論、信じてるよ!
私は、ず~っと美沙ちゃんを信じて今までついて来たの。
勇敢で優しい美沙ちゃんを信じてね!
私だけじゃない、
多くの人が美沙ちゃんを信じているわ。

美沙ちゃん!
ありがとう!
でも、驚いちゃったけど、よく話してくれたね!
私ね、時々、美沙ちゃんが美沙ちゃんでないように思えて、
遠くから美沙ちゃんを観察したりしてたの。
だから、この前、美沙ちゃんの後を追っかけて行って
帰りの土手道で美沙ちゃんに、
あんな手荒なことしちゃった。
ごめんね!
美沙ちゃん、本当にごめんね!

美香ちゃん、
謝らなくっていいわ、
私が悪いんだから。

早く美香ちゃんに話そうと思ってたけど、
私も戸惑ってたし、何がど~なってるのか、
ど~すればいいんだか今でも分かんなくて、、、、
でも、美香ちゃんにだけは話しておきたかったの。

 

で、美沙ちゃん、
別の人格ってどんな人格なの、自分で分かるの?

・・・

それがね、驚かないでね美香ちゃん、
別の人格って1人じゃないの。。。
私以外に2人居て、だから私の体の中には
現在、私を含めて3人の人格が居てる様なの。

えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

美沙ちゃん以外に2人居るの~~~~~~~お?

嘘----------------------お!

あっ! ゴメン!
美沙ちゃんが言ってるだから
信じるけど、

それって、どんな人格なの?

1人は400年以上前の戦国時代のお市の方様って人で、
もう1人はムシ子ってあだ名の同じ歳の高校生。

えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

美香ちゃんが、目を丸にして私を見つめました。

ちょっと、ちょっと待って、美沙ちゃん!
美沙ちゃんの話は、勿論、信じちゃうよ!
でも、私にはよく理解できないわ。
つまり、同じ体の中で、美沙ちゃんを含む3人が居てて、
その都度入れ替わっちゃうの?

そ~なの。

私の頭の中でそれぞれが経験して来た知識があったり、
今やってる行動なんかも共有してるって感じなの。

人格が切り替わった時には、
完全にその人になっちゃってるけど、
他の人格の知識なんかを思い出そうとすると
それが頭の中に徐々に浮かんで来ちゃうの。

でね、
私以外の2人なんだけど、
ムシ子の中にお市の方様が入り込んじゃってて、
そのムシ子を私が共有してるって感じかな~。

お市様はムシ子の体に乗り移っちゃったって自覚があって、
ムシ子を大切に思っている感じだわ。
2人は、それぞれが、その人格を尊重し合ってるの。
私がそのムシ子を共有しちゃってるけど、
でも逆に、
ムシ子からすると自分以外にお市様と私の
2人の別の人格を共有してると思ってるはずだわ!

時と場合によって、その個性が強く表に出て来ちゃう感じで、
最近はそれぞれが、
人格の切り替えが出来るようになって来てるの。

・・・

それと、もう1つ

え、もう1つ、何?

・・・

私の横の席の転校生だけど、、、

・・・

あいつの名前は 新藤マサキ。
ムシ子は彼を缶コーヒーって呼んでるわ。
勿論、あだ名んだけど、
ムシ子もお市様もそ~呼んでるわ。

私はムシ子の知識で名前を知ってるだけで、
私には無関係なんだけど……

・・・

美沙ちゃん、
私、なんだか頭が混乱して来ちゃったみたい。
めちゃ複雑なんだね。。。

美香ちゃん、ゴメンね!
これって直ぐに美香ちゃんに話すべきだったんだけど、
でも、簡単に説明できる自信がなかったの。
それに、
今でも私の中で新しいことがどんどん起きちゃってて
私自身も困惑してるの。

・・・

美沙ちゃん、
お市の方様って、確か大昔の女の人でしょう。
なんでそんな人が美沙ちゃんの体の中に入って来ちゃったの?

う~ん、、、
私には分かんない。。。
他の2人の人格の記憶では、
ムシ子と空き缶は2人同時にタイムスリップして
戦国時代に行っちゃって、帰って来たらムシ子の体に
お市様が入っちゃってたみたいなの。。。

・・・ ?

タイムスリップ?
美沙ちゃん、漫画の中でそんな話があるよ。

うん!

缶コーヒーはムシ子の中にお市様が居ることに
当初はビックリしてたみたいだわ。

でね、美香ちゃん、
ムシ子と缶コーヒーは仲良しって言うか、
お互いに好き合ってるみたいなの。

タイムスリップした戦国時代の経緯で
缶コーヒーはムシ子の中に居るお市様の
護衛役になっちゃって、お市様を守ろうと
思ってるの。
ムシ子も空き缶もお市様も、勿論、私だって
なんで、そ~なっちゃたのか、良く分かんない。
でも、どちらにしても空き缶は、
ムシ子とお市様を重ねて考えちゃってるみたいなのよ。
めちゃ大切に思っているの。
命がけで守ろうとしてる。

・・・

美香ちゃんが、私の顔をじ~っと見つめています。
恐らく、私の話は分かってないと思いました。
ですが、
美香ちゃんは必死で頭を整理しているようでした。

・・・

美香ちゃんが言いました。

美沙ちゃん、
分かった!
で、1つ質問していい?

うん! いいよ!

美沙ちゃん、
美沙ちゃんは、
缶コーヒーが好き?

・・・・

はーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ!

私が~~~~~~~~~~~~~あ!

なわけなーーーーーーーい! ないない、ムリムリ、、

悪い奴じゃないけどさ、
私と空き缶は何でもないわ!

だから私、空き缶野郎に今朝も言ってやったの。
これ以上馴れ馴れしく口を利くと、ぶん殴るぞ!って。

美香ちゃんが、私の顔をじ~っと見つめています。
美香ちゃんの瞳の光が私の瞳の中に入ってきます。

。。。

私は本当に、
あの空き缶野郎の事は全く好きでも何でもないわ!
ただ、今話したように、アイツからしたら私を
ムシ子やお市様だと思ってるから、守ってやろうなんて
本気で思ってるんじゃないかな。。。。
そんなの、私には大きな迷惑だし、キモイだけじゃん!

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・・・・

美沙ちゃん?
美沙ちゃんが、ムシ子の時、アイツに何かされたの?

・・・

え? 何かって、、、?

だって、
ムシ子と缶コーヒーは、お互いに好きなんでしょう。。。
だったら、、、、、、、Hなこととか、、、

・・・

そ~言えば、、、ムシ子? いや お市様? は空き缶に、、、
腹痛の時、抱きしめられた様な記憶があるかな~

ダメーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

美香ちゃんが、
大きな声で私を抱きついて来ました!

・・・

美香ちゃん、
ど~したん?

・・・

やらない!
美沙をアイツなんかにやらない!
美沙ちゃんは、美沙ちゃんは
私だけの美沙ちゃん!

美沙ちゃん!
お願い、アイツの処になんて行かないで!
お願い! お願い!

・・・

、、、、、、、美香ちゃん~、、、
私はセーラムーンピンク! 野々村美沙
美香ちゃんはセーラムーンレッド! 山口美香
2人揃って1人前なんだよ!
ず~っとそ~ 今までも、これからもず~っと、、

私はどこへも行ったりしないよ。
ムシ子が空き缶をど~思おうと、私には関係ないわ!
お市様がど~であれ、それも私には無関係!
私は私! ムシ子はムシ子! お市様はお市様!
私は空き缶を好きでも何でもないわ!
信じて! 美香ちゃん!
私たちは2人伴、男子には全然縁がないじゃん
持てた事って無いのは美香ちゃんが
一番よく知ってるじゃん。。。

 

・・・

その言葉に美香ちゃんは、しがみついた手を
やっと緩めました。

美沙ちゃん、、、ホント?

ホントだよ!

美香ちゃん、信じられないような話ばっかしで
ゴメンね!
私自身も私以外の人格の全ては良く分かんないの。
その人格の持ってる記憶はあっても、
本当の心の奥までは分かんないのよ。
きっと、どの人格だってそ~なんだわ。
だけど、互いに人格は違ってても、理解すべき処は
しないといけないな~って最近は思っているわ。
だって、同じ体の中に居るんだもんね!
だからと言って、自分を曲げたりは私はしない!
私はセーラームーンピンク! 野々村美沙だもん!

美沙ちゃん、
私ね、美沙ちゃんの様に強くなんてないけど、
でもね、どんな時でも、美沙ちゃんが、
例え、どの人格の時だって、
私が美沙ちゃんを守ってあげる!
私は美沙ちゃんの幼馴染で親友だし、
セーラームーンレッド! 山口美香だもん!

・・・

ありがとう、美香ちゃん!

・・・

よ~~~~~~~~~~~~~~~~~~し!

空手部のみんなが待ってるわ。。。。そろそろ

行こうか! 美香ちゃん!

うん! 練習頑張るぞーーーーーーーーーお!


——————– 空手部武道場


美香ちゃんと私は揃って校舎から少し離れた武道場に向かいました。

渡り廊下を進んで行くと、食堂前の自販機の前に
1人の男子が立っていました。

美沙ちゃん、
アイツだわ、例の転校生、缶コーヒーだよ!
こっちを見てる。
ど~する?

ど~するって、私には関係ないもん。
ど~もしない。無視して行くだけだよ。。

私たちは、真っすぐにその男子に向かって歩いて行き
近くまで来ると、素早く回れ右をして通路を進みました。

2人のツインテールが同時に大きく肩で踊ります。

・・・

おい! ムシ子!
お前、

今、お前が誰であろうが、俺の事は忘れてないだろう?
缶コーヒーだ! 俺だよ!
少しだけ俺の話を聞いてくれ!
な~ 少しでいい、、、

缶コーヒーが、
後ろを追って話しかけてきます。

・・・

えーーーーーーーーい! ドーーーーーーン!

あっ! 美香ちゃん!

痛てーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

何すんだよ~~~~~~お、、、いて~じゃね~か!

あ、痛、痛、、痛い、、、、腰が、、

振り向くと、空き缶が通路に腰を押さえて転がっています!

・・・

ねえ! あんた!
これ以上、美沙を追っかけないで!
話しかけてもダメ!
そ~しないと私が許さないわよ!
分かった?

痛い、いたた、、、、お、お前は何なんだ?

私?
私は美沙の親友の山口美香!
あんたが、守らなくても美沙は大丈夫!
この私が美沙を守る!

・・・

お、お前が、山口美香か?
ムシ子から聞いているぞ!
お前は、
美沙の一番信頼している大切な親友なんだろう。。。
知ってるさ!
どんなに苦しくてもさ、つらい時でもさ、
お前は美沙をしっかり守ってやらないとダメだぞ!
でもな、
そこに居る美沙の中には俺の大切な人も居るんだ!
それを忘れるんじゃないぞ!

俺は、その大切な人をやっと見つけたんだ!
だから命がけで守る!
分かったか!

そ~言うと、
缶コーヒーはその場を走り去りました。
腰に手を当てて痛そうでした。

・・・

・・・ し~ん

・・・

美香ちゃん、
私は、私だよ!
私は美沙!
ムシ子と空き缶の仲は私には関係ないから!

・・・

美香ちゃんが小さな声で囁きました。

美沙ちゃん、
アイツいい奴なんだね!

かもね。。。
でもそれは、ムシ子やお市様に取ってだよ。
さ~あ、行こう!

うん!

美沙ちゃん、
なんだか急に空が暗くなって来ちゃったみたいだよ。

うん! 雨が降るのかな~?
天気予報では今日は晴れのち曇りになってたけど、
天気予報って当てにならないわね。。
私、傘持って来てないわ。

私もよ。

・・・

ザーーーーーーーーーーーーーーーア、、、、

あ~ やっぱし降って来ちゃったわ!

ゴロゴロ、、、、、ザーーーーーーーーーーア、、、

ヤダな~ 雷だわ!

美沙ちゃん、帰りびしょぬれになっちゃうよ~。
練習が終わる頃には止んでるかもしれないし、
もし止んでなくても、
杉浦先生に言って傘を借りちゃおう。

武道場の前にやって来ると、杉浦先生と剣道の監督の
本堂先生が私たちを待っていました。

あれれ~

美沙ちゃん、あれってこの前、剣道部に居た先生だよ!

うん、本堂先生って言うわ!
私ね、あの時、お市の方様になってたの。
人格が変わってたけど、その時の記憶が残ってる。。。

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・・・・

ふ~ん、、、記憶に残ってるのか~
美沙ちゃん、本当に大変だね!
でも、私が付いててあげるからね、心配しないで。。
うん! ありがとう美香ちゃん!

いや~ 美沙君! 美香君!(杉浦先生)
練習に来たんだね!
実は待ってたんだよ!

ここに居らっしゃるのは剣道の監督の本堂先生だ!

(知ってま~す)

・・・

杉浦先生の話によると、
本堂先生が私との立ち合いをこの空手武道場にて
木刀で、怪我の無い範囲で行いたいとのことでした。

杉浦先生は、私が剣道はやったことがないから、
丁重にお断りして下さったらしいのですが、
この前、
私が急に剣道部に現れ立ち合いを申し込んだため。
今回は本堂先生が急にやって来たらしいです。

美沙君! (杉浦先生)
君は本当に剣道をやるのかね?

・・・

まあ、少しは、、、、(私)
ですが、
私はあくまでも合気道流空手ですが、、、

。。。 本堂先生が怪訝そうな顔で私を見つめます。

合気道流空手?

杉浦先生が本堂先生に小声で話します。

実は本堂先生、先生は武道会の主要メンバですから
お話いたしますが、、、

ここに居る2人は、
あの有名な今井重徳師範の直弟子なんですよ。
知られざる愛弟子とでも言いましょうか。。。

えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

今井重徳!

ま、まさか?
あの、波動の術で波紋を起こしている、、、?
ですが、あ、あの技は迷信だと思われていますが!

・・・

本堂先生、
剣道の道を一筋にやって来られた先生だからこそ
本人の了解のもとに手合わせを認めているのです。
但し、怪我の無いようにお願いいたしますよ。
空手部の道場に来られたのですから部員全員で
立ち合いを見せてもらいます。
剣道道場ではありませんから、お気遣いなくやって下さい。
先生の今後の武道界のご活躍を願っての事です。

 

美沙ちゃん、
なんだか本人に関係なく、
話がどんどん進んじゃってる感じだよ。。。

いいのかな~?

美沙君、美香君、早く中で道着に着替えなさい!
支度を急いで!

え?

は~
もう既に決まってるじゃん。
本人の了解って、ど~なってんの。。。?

美沙ちゃん、
どっちにしても道着に着替えなくっちゃ、
後は成行に任しちゃおう!

うん

私たちは武道場の中に入りました。
すると、皆が輪になって中央を開けて座っていました。

あれれ~?
お手合わせの準備ってもう出来てんじゃない。
私たちが来るのを待ってただけ見たい。

・・・

え? あそこ、美沙ちゃん

壁の窓際の床に制服姿の男子が1人座っています。

嘘ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーお!

美沙ちゃん、
なんで、アイツがここに居るの?

。。。。

美沙ちゃん、
アイツ先回りして、ここに来てんだ!
でも、なんでここに入れちゃったの、、、?
もう1度、私が投げ飛ばして来ちゃう!

美香ちゃん、
無視して道着に着替えようよ!

美香ちゃんが、空き缶を睨みつけました。

・・・

・・・

私たち2人は道着姿で道場に出て行きました。

美香ちゃん、
私、アイツに直接話して来るから待ってて。

・・・

私はその男子の元へ足早に歩み寄りました。

缶コーヒーが私をじ~っと見つめます。
見上げるその瞳は何かを訴えかけているようでした。

・・・

缶コーヒー、声を出さず聞くのじゃ!
腰は痛むか?
その痛み、わらわの心はもっと痛むぞ!
許せ!
そなたの想いは分かっておる!
ムシ子殿とて同じじゃ!
かたじけのう思っておるぞ!
じゃがな、今のわらわは、そなたの知らぬ美沙じゃ!
その美沙に関わるでない! よいな!
関わるでない!

・・・ 私を見つめる缶コーヒーの瞳が濡れています。

お方様、俺はどの人格でも、あなた様をお守り致します。
美沙もと申すのか?
はい!
じゃが、美香が許さぬぞ! 承知の上か?
はい!

じゃあ、ハッキリ言おう!
美沙は、そなたの事は心には無いぞ!
会う度に、事ある毎に、そなたが傷付くだけじゃ!
わらわは、そんなそなたの姿を見とうない。
美沙はそなたに全くの無関心じゃ!
それでもか?

構いません。覚悟しております。

そ~か、、、
そなたも、分からず屋じゃの~ 不思議な男じゃ
勝手にするが良い!

本当の美沙を見るがよい!

おい! 空き缶!
てめ~こんな処まで私を追っかけて来て
タダで済むとでも思ってんのか!
いい加減にしゃ~がれ! アホウ!
言ったよな! 次はぶん殴るって!
練習が終わったら、ぶっ殺す! 待ってろ! バカ缶!

美香ちゃんが後ろから呼んでいます。

・・・

杉浦先生がみんなの前で言います。
皆さんは空手を修練していますが、武道の垣根を越えて
今日は剣道の監督をされていらっしゃる本堂先生と
我が空手部部員の美沙君との交流練習をして頂きます。
本堂先生は、皆さんも知っての様に全国社会人剣道大会で
幾度となく優勝をされた剣の達人です。

美沙君ご指名と言うことなので本人には
了解の上、技を披露して頂きます。

・・・ ?

美沙ちゃん、了解しちゃったっけ?

したのかな~?

美香ちゃん、
本堂先生はこの前、剣道部に私が乗り込んじゃったでしょう。
その時の事があってさ、今日ここに来てんのよ。
間違いないわ!
元はと言えば私なの。
だから私はやるしかない!
でね、私、これから人格を美沙からお市様に変えるね!
変に思うかもしれないけど、私は美沙に間違いないからね。
美香ちゃんの知ってる美沙なんだからね! いい!
そのつもりで、見ててね!
最初はお市様で次は美沙になっちゃうかも?

・・・

忙しいんだね、美沙ちゃん

うん!
でも、分かった!

・・・

本堂が白のカッタシャツで道場の中央に立っています。
私は完全にお市そのものです。

・・・

杉浦先生始め美香ちゃんと、約20人の空手部員、
それに缶コーヒーが息を飲んで見つめています。

・・・

・・・ し~ん

・・・

本堂が木刀を2本手に持っています。
私はその1本を受け取りに本堂に近づきました。

来たか! 本堂!

待っておったぞ!

一瞬にして本堂から木刀を1本奪います。

う! いつの間に、、、? (本堂が一瞬うろたえます)

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・・・・

本堂が言います。

美沙君、俺は納得がいかない!
あれから夜も眠れないんだよ!
このままでは心が張り裂けそうだ!
杉浦先生にムリを承知でお願いしたんだ。
もう一度、お手合わせ願いたい!
この目で確かめたいんだよ!

君は、
柳生石舟斎に剣を習ったと言ったな。
そんなことがあろうはず無いじゃないか。
君の剣は認める。
だが、君の話は信じられない!
信じろと言う方が無理だ!
俺には納得いかない。全てがだ!
柳生石舟斎の話はどちらでもいい。。
だが、
何故、高校2年生の君があれ程の剣の使い手なのか?
何故、北斗一刀流なのか?
そんな剣が本当に今の世に存在するのか。。
君は何故空手部に居る?
一体、ど~言うことなんだ?
教えてくれ!

・・・

本堂!

そなた、何を申しておる?
そなたはここに何をしに来たのじゃ?
つまらぬ迷いを晴らすために来たと申すのか?

そなたの剣はまやかしか?
それを知るために来たのではないのか?
己の剣の誠を知りたいと思ったのではないのか?
それを知って前に進みたいと思うたのではないのか?

剣に理由などいらぬ!
剣は生きるか死ぬかの真剣勝負の世界!
生きてこそ道は開けるのじゃ!
死ねば道は閉ざされる!
すなわち、己の剣は活人剣なのじゃ!
わらわの話を信じられない、、、
納得いかぬだと、、、、
そんな、たわごとを申すでないわ!
くだらぬことを、つべこべ並べるでない!

・・・

美沙君! (杉浦先生)
口が過ぎるぞ!
本堂先生に向かって失礼じゃないか、
口を慎みなさい!

はい! 杉浦先生! すみません!

本堂! よいか!
そなたの握っている剣は己の命じゃ!
それを真剣だと思え!
そして、ここを戦場だと思うのじゃ! 良いか!
殺さなければ殺される!
そなたの剣で私を切ってみよ!
切らねば、わらわが、そなたを切る!首を跳ねる!
木刀とて首を跳ねることは出来るぞ!

わらわは手加減などせぬ!
そなたも命がけでかかって来るが良い!
剣に二度目はない!
そなたが負ければ、ここで死ぬだけじゃ!

・・・

・・・ 異様な空気が道場に流れます。

・・・

道場の中央に膝を立て向かい合います。
防具は付けていません。
白のカッターシャツ姿と空手着姿の二人が
挨拶します。

・・・

柳生新陰流、本堂信一郎です。いざ!

北斗一刀流、野々村美沙じゃ。いざ!

・・・

ゆっくりと二人は立ち上がり、木刀を構えます。
大きな体の本堂とスリムな空手着の美沙が向かい合います。

・・・ し~ん

本堂の構えは
柳生新陰流、、、尾張柳生の構え
あの剣道道場の時と変わりません。

・・・

(私)
本堂の一太刀目は上段振り下ろし、
わらわが かわした太刀を振り離し
わらわの腹を切る。
私は自然体のまま、真っすぐに剣を前に出し静止しました。
さあ、わらわの腹が切れるかな。。。
踏み込めるのか。上段振り下ろし。。。ど~する本堂。

 

(本堂)
この構え、
あの時と同じだ。剣先が全く動かない。
人間が剣を握れば剣先はいくらか揺れるはずだ。

微動だにも動かない!
静止のままだ。

・・・

やはり動けない!
踏み出すことが出来ない。
上段振り下ろしで踏み込めば、間合いが相手に近づき
相手の剣先が一直線に俺の喉を貫く、すかさず剣は抜かれ
二の太刀で俺の首は一瞬にして跳ねられる。

・・・

かと言って相手の剣先を払えば、俺の踏み込みが一瞬遅れ、
先を取られて、一太刀で俺の首は飛ぶ。
少しでも前に動けば首を跳ねられ、
後に引けば踏み込まれ、真っすぐに剣先が首に刺さる。
逃げることすらできないのか。
一旦、構えれば、二度と戻れない。死あるのみ!

あ~ 何と、恐ろしい剣だ!
これが斬首抹殺剣。

こ剣の前には、
俺の柳生新陰流とて無力なのか?

先日の立ち合いでこの少女は
北斗一刀流は柳生石舟斎が合戦用に改良した剣術だと言った。

つまり、
この剣は柳生新陰流の斬首抹殺剣と言うことになる。

もしそ~なら、
私は間違いなく自分の死に直面している。
俺は殺される!

・・・

これは武道の交流練習なんかじゃない!
これは、正に今真剣勝負だ!

それを分かっているのはここでは
この少女と俺のみだ!
そしてこの少女は手加減せずに、やる!
少女が手加減することは自分の死を意味するからだ!

まさに、少女か言ってた通りだ!

「剣は己の命」

今やっとその意味が分かった!

・・・

・・・ と、その時です。

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・・・・

う!

なに?

彼女が、、、剣を捨てた!

・・・ ?

本堂!

そなた、やっと分かったようじゃの~
今回は、そなたの命は助けてやろう!
じゃが、剣士が一旦抜いた剣じゃ、
そう易々とは納まるまい!

・・・

私は木刀を美香ちゃんに投げ、
美香ちゃんがバッチリキャッチしました。 セーフ!

私は両手で手刀を前に出し空手の構えになりました。

・・・

空手?

・・・

空手で俺の剣に立ち向かうと言うのか?
剣なしで、
そんなバカな!
いくら空手といえども、木刀と素手では、
間合いが違い過ぎる。

空手に勝ち目は無い!
それを知ってて私に立ち向かうのか?
一体、この少女は何者なんだ?

・・・

今井重徳の愛弟子!

まさか、波動の術を?

なにもせずして相手を制すると言われる術!
波動の術!

そんな技が、本当にこの世に存在するとは思えない。

例え、存在したとしても、
この少女は高校生。
出来るはずない!

・・・

う! この娘の瞳!
俺の何処を見ている?
何を見ている?
試しているのか、俺を!

この剣を? 俺の一太刀を、、、、

・・・

あっ!
手刀の構えが微動だに動かない!
静止のままだ!
剣の時と全く同じ!

間合いは完全にこちら側にある。

踏み込んで来いと言うことか!

なら、、、それなら、、、今だ!

えい! シュッ!

あっ!

あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~あ、、、

こ、これは?

・・・

な、なんてことだ!
俺は何を見ている?
何が起きている?
そんなバカな!

・・・

こんなことが現実に起こるはずない。
実際に目の前で起きるのか?
現実に起こっているのか?
信じられない!
俺の目がおかしいのか?
目の錯覚か?

こ、これは、
剣の究極の極意!
夢想願流の足譚静止(そくたんせいし)

刀の峰の上に少女が載って静止している。
昔の文献で読んだことはある。
まさか、
本当にそんなことが出来るのか?

俺は夢を見ているのか?
これは本当に現実なのか?

あ、だが、おかしい。。。不思議だ!
足譚静止が出来たとしても、
木刀に少女の体重が全く感じられない!

一体、ど~言うことなんだ?

少女の体重はど~なっている?
何故なんだ?
木刀の上に乗れば俺の握った手に体重がかかるはず!
だのに、木刀の重さしか感じられない。。。

・・・ ?

・・・ ?

はっ!

まさか、そんなバカな!
だが、考えられることは1つだ!

少女は
宙に浮いている!

でも、
まさか、そんなことがあるわけない!
絶対にあり得ない!
信じられない!
そんなことがあろうはずがない、、、嘘だ!
何かの間違いに決まっている。
何かの手品だ! 何か仕掛けがあるんだ!

。。。 と、その時です。

ズルズルズル、、、、あ~~~~~~~~~~あ!

木刀が!
木刀が手から引き離されていく。。。。。引っ張られる~

あ~~~~~~~~~~~~あ、、、
ズルズルズル、、、、

どんなに力を入れてもダメだ!
俺の強力な握力を持ってしても引き離されていく。。
ど~なっている?
強烈な力で木刀が握った両手から引き抜かれていく。

あ~ こんなに力を入れて握っているのに。。。ダメだ
止められない、無理だ!
あ~~~~~~~~~あ、、、体までが引っ張られる~
このままではダメだ!
ど~すればいいんだ?
もう限界だ!

恐ろしい。
身体が震えている。
俺の体が恐怖で震えている。
全身があまりの恐怖で震えあがっている。
こんな経験は初めてだ!

あ~~~~~~~~~~~~あ、、、
ズルズルズル、、、、もうムリ!

・・・

あっ!
離せはいいのか?

・・・

とっさの思いで、
両手を開き木刀を離しました。

木刀が床に落ちて音が響きました。

・・・

次の瞬間、目を疑うことが起きました。

うわ~~~~~~~~~~~~~~~~~あ!
なんてことなんだ。。。。

嘘だーーー!

俺の体が固く凝りついて、完全に戦意を
失ってしまいました。
あり得ない!
ど~説明が付くと言うんだ?

少女が、人間が宙に浮いてる~~~~~~う!
そ、そんなバカな!
あろうはずがない!
本当に宙に浮いている!

・・・

う、わ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~あ!

更に、信じがたいことが起こりました。

俺の体が宙に浮かび上がっていくのです。。。
あ~ ど~なっている~?

少女の高さまで上がって行きました。
少女が俺に向かって話しかけました。

本堂先生、
天井まで上げましょうか?
でも今日の処は3mくらいにしておきますね。
一緒に上がりましょう。

うわ~~~~~~~~~~~~~~~~あ!
何が起こっているんだーーーーーあ!

本堂先生、これから下に先生を落としますから。

美香ちゃん、お願い~~~~~~~~い!
美香ちゃんが中央に走って来ました。

美沙ちゃん、いいよ~

本堂先生、じゃあ、行きますね!
少し回してから頭から落としちゃいますから、、、

・・・ ?

えい!

本堂先生の体が宙で何回転かして、スーーッ! っと
頭から床に落ちて行きました。

わ~~~~~~~~~~~~~~~~あっ!
死ぬーーーーーーーーーーーーーーーう!

美香ちゃんが、本堂先生の体を受け取り
ついでに手を取って投げ飛ばしました。

お尻から、 ドーーーーーーーーーン!

合気道流空手だーーーーーーーーーーーーーーーーあ!

本堂先生は美香ちゃんと私の少し前に
転んじゃいました。

ヒエーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーエ!

止めろーーーーーーーーーーーーーーーーーーお!

止めてくれーーーーーーーーーーえ! 頼むーーー!

ストッーーーーーーーーープ!

もういい!

頼む! 分かった、 分かったから、、、

もう、もう、 止めてくれーーーーーーーーーーーーえ!

本堂先生、
私たち先生に特に何もしていませんが。。。

。。。

・・・

「校舎の靴置き場で」

美沙ちゃん、
雨、止まんないわね!
杉浦先生も自分の傘も持っていなかったし。
殆どの人がそ~みたい。
天気予報、晴れのち曇りじゃ仕方ないわよね。
ど~する?

止むのを待ってても止まないかもしれないし、
濡れて行くしかないかもね~

見てよ!
みんな濡れて帰って行くわ!
身体がびしょぬれだわ、、、
あ~ 最悪! ツインテールが台無しだわ!

処で、美沙ちゃん、
本堂先生大丈夫かな~?
なんだか顔色めちゃ悪かったみたいだよ。

そ~だね。
きっと、
武道に対する考え方が変わっちゃったかもしれないわね。
それが、杉浦先生の狙いだったのかもしれないわ。。

それに、あそこでの事を例え他で話しても、
誰にも信じてもらえないって分かってて
杉浦先生は私にやらせたのよ。
私、いつも杉浦先生には先を読まれちゃうの。

ふ~ん
そっか~

でも、美沙ちゃん、
あれくらいにしてあげて良かったね。
本当の波動の術を使っちゃったら、
ど~なっちゃうのかな~って私心配してたんだよ。

心配しないで美香ちゃん、
私、めったなことで、そんなことしないよ!
安心してね!

うん!

・・・

ザーーーーーーーーーーーーーーーア、、、、

あ~ 雨がひどくなっちゃってる!(美香ちゃん)
濡れたくないな~

私たちは靴置き場から外の雨を見つめていました。

・・・・

と、その時です。
私たちの後ろから誰かが走って来る足音が聞こえました。

缶コーヒーでした。

・・・ ?

あのさ、この傘2本、お前たちで使えよな!
ここに置いとくぞ!

そ~言ったかと思うと、
缶コーヒーは雨の中を全速で走って行きました。

美香ちゃんが缶コーヒーの背中に向かって叫びました。

あんたの傘が無いじゃん!

・・・・

俺はいい!


意識喪失
作品紹介
いい感じで始まった。とても和やかに、笑顔が溢れていた。大丈夫、この撮影なら楽に行ける…そう思ったに違いない。ボディーブロウはジワジワ効いてくる。いつの間にか涙が頬を伝い、唇から唾液が滴り落ちる。気が付いた時には、おなかを押さえてのた打ち回っていた。ゆがむ内臓、きしむ胃袋、最後の一撃が“みぞおち”を捉える。それは、確実に失神を導いた。



ナチュラルハイ20周年記念作品 これが噂の痙攣薬漬け水着モデル 絶叫10連続FUCK 小倉由菜

夢と幻想の森