山内美穂、東西南北中央医科大学 4年生

美穂は4年生になって解剖学の実習授業がカリキュラムに
組み込まれているのですが、それが気になって仕方ありません。

解剖の実習は来月の3週目の水曜日です。
まだ先の予定なのですが、最近美穂は変な夢を授業中や
自宅で見るようになったのです。

その夢とは、自分が解剖台の上で腹部だけをメスで切られ

大きく開かれて内臓を摘出されている夢です。

自分だけではありません、親友のミッチ(小山美智絵)も
同じように腹部を解剖されているのです。
ミッチには夢の内容は話していません。話せません。

実は、美穂には人には言えない内緒の性癖があります。
それは、自分のお腹の中の内臓を極端につぶしたり、
締めたりすると、甘~い快感を覚えてしまうのです。

子どもの頃からず~っとそうでした。
ですが、医学部に入学したのは、それとは全く関係ありません。
医師になって、病気で苦しむ人を少しでも助けることが出来ればという
純粋な気持ちからでした。
必死で勉強しました。

自分の性癖はお腹の中にある内臓、特に小腸にあることは分かっていました。
小腸に性感帯がまんべんなく張り巡らされていることも分かっていました。
ですが、それはあくまでも自分の体内にある内臓が対象です。

他の人の内臓は無関係です。
美穂はそう思っていました。

それなのに、何故か、解剖の実習が前から気になって
仕方なかったのです。
解剖では当然に腹部にメスを入れます。
人間の腹部には想像以上にぎっしり詰まった腸があります。
メスが入ればその全てが露出し、当然それを全て摘出するのです。

そう考えただけで、
何故か自分の内臓の奥が熱くなってくるのです。
変な気持ちになって腸がぐにゅ~っと動くのです。
自分が解剖されている姿を思い浮かべてしまうのです。
それが、最近の夢に現れたに違いありません。
ミッチが解剖された夢は、何故か分かりませんでした。
キレイで魅力的で大好きな親友だからでしょうか?

??

とにかく今の自分は変だと思っていました。




週明けの午後は辻本教授の解剖学の授業です。
第2検査室での講義ということで、みんな検査室に集まりました。
約20人の男女学生です。

私はミッチと学食で、いつも通りチキンカツ定食大盛を食べて、
第2検査室に向かいました。

あ~ もうお腹いっぱいで死にそう、、、
見てこの胃袋! パンパンだわ!

私はミッチにお腹を、ぽんぽこポンと叩いて見せました。
すると、ミッチも負けずに、パンパカパンと叩いて、
そのお腹で私の体を押し付けて来ました。

もう! ヤダ―――  止めてー

あ~ お互いに、彼氏できないわけだ! きゃはははは、、、




(第2検査室)

辻本教授が皆がそろったのを確認して言いました。

みなさん! 実はこの度、うちの大学病院に最新鋭の検査機器が
導入されました。
今日はそれを使って解剖学の勉強を行います。

みんなが何だろうって、小声でそれぞれに話ています。

何だろうね?ミッチ!
私に聞くな! 見ればわかる!
だね!

今回導入されたのは、腹部透視検査機器です。
腹部の状態を切開しないでもそのままで細部まで見れる器械です。
今日はこの検査機器を使って実際に腹部内を透視して
解剖学の勉強をします。
本来内科使用がメインになりますが、今回は私の授業でも
採用します。

それで、この機器を使用するに当たり検体が必要です。
みなさんの中で朝ご飯をしっかり食べた人はいますか?
手を挙げてください!

7人いました。

じゃあ、その中で、お昼ご飯の大盛を食べた人?

3人になりました。

じゃあ、朝ご飯を2杯以上食べた人は?

1人になりました。

私です。

で、君の名前は?

あ、は、はい、山内美穂です。

じゃあ、君に協力してもらいます。
出来るだけ胃腸が活発に消化活動をしている方が良く分かりますからね。

直ぐに、全裸になってください。
あ、 下着は取らなくていいですから、、、、

・・・ ?

あ、あの~お?

何だね!

あの、、、、男の人がいっぱい居るのですが、、、、、?

そんなの気にしないでいいから、、、、
見るのは君の体の中の内臓だからね!

あ、は、  はい!

ミッチが早く脱ぎなさいよ! 単位落としちゃうよ!

早く脱げーーー! そう耳元でささやいて肩を押しました。

早くしなさい! みんな待ってるんだからね! (教授)

私は、仕方なく上着を脱ぎズボンを降ろして皆の前に立ちました。

すっごい視線を感じます。
特に男子の目が異常なほどに私を見つめています。

辻本教授が言います。
実は
私もこの器械を使うのは初めてなんです。
透視のピントが時々ずれるかもしれませんが、あしからず。

器械が作動します。
ガチャンと音がして私の腹部の前に四角な窓のようなものが
下の方から上がってきました。

私は、緊張して心臓がドキドキしてきました。

 

辻本教授が言います。
この器械の良いところは、体内の音も捕らえてくれるんだよ!
内臓の音が聴診器以上に正確に聞くことが出来ます。
実に便利だ!

じゃあ、透視するからね。
行くからね!

みんなが、検査窓側に集まって私の内臓を見ようとしています。

カチ!

何だか透視が始まったようです。

うわ~  おい! おい!  すっげ~

これが、人間の内臓か~

めちゃめちゃ動いてるじゃんか~ きも!

見て! みて! 見て!

あそこ、、腸がうねってるわよ!

じゃあ、拡大してみます!
よく見てください!

カチ! 拡大!

うえーーーーーーーーーえ!

おえーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

めちゃめちゃ 汚い! なに? これ!

今日眠れない! だよな!

大腸ってグロテスクだわ、、、、、、おえっ! 吐きそう!

おい! 小腸ってこんなに長いんだ! 汚な!

俺、こんなに汚い物 生まれて初めて見た!

だよな! それにこの音 めちゃめちゃきもいじゃん! 汚い!

皆さん! どうですか?
これが、生きた人間の内臓です。
よく見ておいてください。
活発に食べ物を消化している内臓です。
胃袋、小腸、大腸が活発に消化活動をしています。
ですが、解剖ではこの動きが停止した状態で腹部を開き
全て摘出します。

あなたに知ってもらいたいこの世界。動画見てね!



みなさん! 何か質問がありますか?
何でもいいですから、言ってください!

ある男子生徒が言いました。

辻本教授!

ついでに、この検体、すぐに腹部を解剖しませんか?

みんなが、一斉に

賛成ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ!

と言いました。

 

夢と幻想の森