私には腹に関する色んなフェチがあります。
それは、
お腹責められフェチ
自分の内臓に対するフェチ
お腹の音フェチ
匂いフェチ
汗フェチ
舐められフェチ
自分でする切腹フェチ
等です。

そんな私が、夢の中に出て来る彼によって色んな方法で
お腹責めをされるのですが、ある時、私がたまに行く森に彼と
ピクニックに行きました。
ですが、彼の強いお腹フェチが彼の理性を失わせ、
一線を超える激しいお腹責めへと発展させてしまいました。

それは、巨大な岩を私のお腹の上に乗せたままで、
私の内臓を押しつぶし、私の苦しむ姿を
すぐ横で優しく観察するものでした。
それは内臓フェチの私を愛してくれる最高の行為でした。
その時、私はもうきっとダメだと悟ったのですが、
喜んで彼の行為を受け入れました。
結局、それが、あまりにも長時間に渡ったために
私は気絶してしまいました。

 

以前のストーリー ↓
森での出来事、夢で。彼と私(5)愛の形

目を覚ますと、ある老人が衰退しきっていた私の体と内臓の機能を
今まで経験のない甘く優しい官能的な方法で復元してくれ、
私を助けてくれていました。

老人の発見が、もう少し遅れると私は危ない処だったようで、
その老人は私の命の恩人だと知りました。

ですが、私はあまりの大きな肉体的なショックにより、
それまでの記憶を全て失っていました。

自分が、誰なのか、どこから来たのか、何歳なのか、
全く分かりません。

結局、私はその老人に、命を救っていただいただけでなく
その後の生活まで見ていただくこととなり、
老人の家で二人で生活することとなりました。

私は恩返しとして記憶が戻るまでの間、画家である老人の身の回りの
お世話や絵のモデルをすることとなり1か月以上が過ぎて行きました。

 

以前のストーリー ↓
森での出来事、夢で(6)純愛(老人)

ある日、
老人が留守をしている間に、私がアトリエの掃除をしていると、
老人がかなり昔に描いたと思われる1枚の絵を偶然に見つけました。

私は、その絵を見て困惑してしまいました。
何故なら、その絵は、間違いなく私の姿だったからです。

ラベンダー畑に立つ制服姿の私の絵でした。

これは、私!

なぜなの?

私には記憶がありません。
私が何処の誰か、何歳なのか全く思い出せません。

鏡の自分から想像するのに、年齢は20歳少し過ぎの様に思います。
それ以外は、花が好き! それ位かな~

ふ~む、、、、でも

この絵の私が高校生だとすると、4~5年前の私をおじいさんが
描いたことになる。

4~5年前の私

、、、分からない。 ど~解釈したらよいのだろう?

今の私を高校生に見立てて描いたのだろうか、、、

・・・ でも、なぜ、、、

・・・ ふ~む

いや、違う!
この絵の木枠や絵具や絵紙の全てが最近のものではないわ。
てことは、やはり4~5年前に描かれたもの。。。

ふ~む、、、、分からない。。。

失われた私の記憶の中に、それがあるって言うの。。。?
眠っている記憶の中に、その答えが眠っているの。。。?

絵を裏返して見ます。

あ、なにか書いてある。何だろう?


時を超える愛


ふ~む ど~いう意味なんだろう?
この絵と何か関係があるのだろうか?
分からない。。。
謎だらけです。

・・・

でも、素直に考えるなら、
描いた絵に愛って書いていることは、
この女性を愛しているってことかもしれないわ。
そして、
これが本当に私なら、おじいさんは私を愛しているってことなの?

そんな~

例えそうだとしても、年齢差があまりにも大きすぎるわ!
愛に年齢差なんてないって私は思っている。
でも、高校生と老人だわ。

老人が女子高生を愛するなんてことが実際にあるのだろうか?
そんなことがあり得るのだろうか?
あるはずない!

 

おじいさんは、今の私も対象になんてしていないのに、
まして、女子高生なんてあり得ないわ。
いずれにしても年齢差があり過ぎる。
おじいさんは私の命の恩人で、
更にその優しさや親切心で私は今ここに居るだけ。

それなのに、私は、自分の性欲のHさから、
おじいさんに不純な気持ちを一方的に抱いている。
それも、お腹を責められたいなんて、とんでもないHです。

私の命の恩人で紳士のおじいさんに、そんな感情を持ってる
自分が恥ずかしい。本当にあさましい女です。
すみませんおじいさん。

それにしても、この絵は何を語っているのだろう。

まさか、おじいさんは、私の学生時代を知ってるのだろうか?

 

今、私はおじいさんの絵のモデルをしているわ。
てことは、この女子高生も、おじいさんのモデルになっていたってこと?
4~5年前に、私はおじいさんのモデルになっていたのだろうか?
この少女(私は)おじいさんの親戚の女の子かもしれない。
それとも知り合いの子、バイトでモデルをしてるのかも?

絵のバックは、ここの庭にあるラベンダー畑に違いないわ。

あ~ 増々、頭が混乱して来る、、、
一体、ど~考えたらいいんだろう? ふ~ん、、、

分からないだらけの中で、
私は、一旦、頭を整理してみました。

私は4~5年前におじいさんに会っている。
その時、私はラベンダー畑で、おじいさんの絵のモデルになっている。
おじいさんと私は何かで繋がっている。
おじいさんは私にそれを話さない。
どんな繋がりなのか、何故話さないのか考えても分からない。
今、おじいさんは私に寛大な親切心で、この家に置いてくれている。
私は今のこの生活が幸せだと思っている。
ず~とこのまま続いてほしい。

 

あ、、、、、やっぱし、頭がまとまらないわ、、、

時を超える愛 って何?

一体、なに? 怖いけど、知りたい!

それを知ればこの幸せが壊れてしまいそうで、
だから、
私は、おじいさんに、それを聞く勇気がない!

おじいさんのアトリエの床にしゃがみこんで、色んな事を
考えていました。
窓から温かい光が差し込んでキャンパスやパレットを照らしています。

 

あ~ 体が、、変だわ、、、熱くなっていく、、、、
やはり私は不純な女だわ!
頭の中に自然に、ある光景が浮かんで来ます。
ダメだと思っていても、拭い去ることが出来ません。
あの森での感触が私の全身に蘇ってくるのです。
今まで経験したことのない、あの優し過ぎる舌と指の感触です。

おじいさんが私の命を救うためにやってくれた救命処置。
あの感触です。

あ~ もう一度、もう一度でいい、、、、
あの舌と指で私のぬるぬるの肉体と内臓をを溶かせて欲しい、、、、

ぬる~~~~~~~~~~~~~~~~~~う~~

ぬ~~~~~~~~~~~~~う~~~~~~

ぐにゃ~~~~~~~~~~~~~~~あ~~~~~

ぬちゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~あぁ~~

ねちゃ~~~~~~っと、、、へばりつくような動きです。
ぐにゅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~う、、、~っ

ぬる~~~~~~~るる~~~~~~~~~~~う~~

小腸が ゆ~~~っくりと やさし~~~く うねります。

ぐにゃ~~~~~~~~~~~~~~~あ~~~~~ぁ
腸が、腸が、、、、にゅる~~~~~~~~~っと大きく、くねる、、

ぬちゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~あぁ~~

あ~ きもちいい、、、、、、、いいわ、、、、、、いい、、、

なに、、、、これって、、、、これって なに?

もう、、もう、、、

あ~ もう我慢できない、、、
私の体をどんなにしてもいいです。お願いします。
私は広いアトリエの床に横たわり、左手をあそに右手をお腹に当てたまま
まるで、性に飢えた雌女が性欲に耐えきれず狂ったように
悶えていました。

 

熱い吐息だけが部屋に響きます。
強烈なうねりが体の腸の奥から突き上げてきます。
ぁ~~~ もう、もう、、ダメ~
それは、まるで、首を絞められ端末間の喘ぎ声のようだと思いました。

と、その時です。

 

ピンポーン~

 

玄関の呼び出し音が聞こえました。

ハッ!

私は、飛び上がって我に返りました。

大変!

私、一体ここで何をしているんだろう?
おじいさんが帰って来られたんだわ。。。。
もう午後の3時過ぎちゃってる。。
夕飯を作らなくっちゃ。。。

直ぐに汗ばんだ着物の襟を正して廊下を走って
居間のインターホンを取りました。
玄関先に杖のおじいさんの画像が映っています。

 

お帰りなさいませ。
すると、おじいさんが右人差し指を真っすぐに上にあげました。

ロック解除いたします。ガチャ!

右人差し指以外はロック解除は絶対にしないことになっています。
何故だか分かりませんが、そ~言われています。

今帰りましたよ! 絹江さん(私に付けた仮の名です。)

私は家の入り口廊下に膝を落として、おじいさんを迎えました。

お帰りなさいませ。お疲れさまでした。

絹江さん、どうかされましたか? 髪が乱れていますが。。。

え!

あ、はい、アトリエのお掃除をしてて、おじいさんが帰られたので
慌てて廊下を走ってしまいました。。。

おじいさんは直ぐにアトリエに向かわれ、私は夕食の準備に取り掛かりました。
あ~ よかった~ バレちゃったかと思ったわ。。。

夕食は魚料理にしました。
簡単なものでしたが、低脂肪のヘルシーレシピにこだわりました。

 

オリーブオイルをイワシに塗りニンニクを添えて焼いてみました。
350gに相当する生野菜のジュース、それに白みその味噌汁とお漬物にしました。
簡単ですが、初めて作るメニューです。
老人には大量の生野菜はきついのでジュースにしているのです。
このジュースで常に体を中性に保つことができ病気になりません。
小麦粉や乳製品は一切使いません。

 

私はお腹いっぱいの食事を、おじいさんが食べないように心がけました。
腹八分を心がけました。

私は、食事の用意をしながら、
自分がアトリエでしていたことを心から反省していました。
髪が乱れてると言われた時は、心臓が飛び出すほどに驚いてしまいました。
あ~ 気づかれなくて良かった。。。
こんな変態女だと知ったら、間違いなく軽蔑され失望されて、
きっとこの家を追い出されるに決まっているわ。。。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー アトリエで、おじいさん

私はアトリエに入るや否や自分の体に異常を感じました。
自分でも信じられない現象が起こっているのです。
下の方がまるで岩の様になっていくのです。

我が家の庭にそびえ立つ枯山水の岩の様です。
激しくそそり立っているのです。

この甘~い匂い。。。

彼女の体臭です。

その体臭が脳細胞を強烈に刺激し、年齢を忘れて強固になっていくのです。
昔、彼女に突き刺されたくさびが、脳細胞を刺激しているのです。
彼女だけの匂い、忘れられない匂い、追い求めていた匂い、届かなかった匂い、、、
今その匂いがこのアトリエ中に立ち込めて、私を包み込む。。。

 

私は老人なんだ!
70歳を超えた老いた老人なんだ!
それなのに、
この匂いは、そんなことを無視して私に襲い掛かってくる。。。。
この匂いは、この歳まで築かって来た理性を粉砕しようとしている。。。

私は決心したはずだ。
彼女に指1本触れないことを。。。
それが彼女に対する私の愛の形だと決心したのです。
彼女と私は、昔、命を掛けて愛し合ったのです。
そして時のねじれの中で何度も出会い、互いの愛の記憶がないまま
その都度、新たな恋が芽生え愛し合って来た。
その思いは今も変わることはありません。

 

私たちの年齢差は格段に差があり過ぎる。
それが、彼女が私を信頼している一因になっているのは間違いないはずだ。
今の彼女は自分が誰なのかさえ分からない。

そんな彼女に私がいくら愛していると言っても、
又、仮に彼女が私を受け入れたとしても、
2人の間に何か性的な交わりがあったとしたなら、
この幸せな生活は壊れてしまうに違いありません。

私は遠い昔に彼女に約束しました。

どんなことがあっても君にたどり着いて見せると、、、、
ですが、
今の状況が彼女にたどり着いたことには決してならない。。。

ただ間違いないのは、
私に取って今の状況がどれだけ幸せなことか言い表せない程です。
私たちは一つ屋根の下で暮らしているのですから。

ですが、
私の体の中で本能と理性が戦っている。

 

本能とは、
愛おしい、愛おしい彼女の肉体を、この腕の中に硬く抱きしめて
甘く匂う、その美しい肉体の全てを舐め尽くし、
そして、腹部内にある内臓をめちゃめちゃになるまで責め尽くしたい。。。

 

理性とは、
性欲が枯れ果てた老人の振りをして彼女を安心させ、又、信頼を得て、
この家の中で魅力的な美しい姿をキャンパスに描き、伴に花を見ながら
楽しい生活を少しでも長く続けて行くこと。この生活を失いたくない。

私は後者を選んだ!

そ~自分に言い聞かせるのですが、私のあんそこは、
彼女の微かに漂う匂いだけで、こんなにも強く痛いほどに
岩の様に固くなったままで納まる気配はありません。
あ~ 辛くて苦しい、、、、

とその時、壁の隅に重ねた絵に目が行きました。

何枚か重なった絵がいつもと違った置き方をしています。
少し出っ張ったその絵を手で引き出してみます。

こ、これは、、、、

彼女が5年前に時のねじれの中で、ここに急に現れた時がありました。
あの時、彼女は私が私だと理解して私に迫って来た。
私に対する純愛がそうさせたのです。
この絵は、その時の彼女の姿を頭に浮かべ描いたものです。
ラベンダー畑にたたずむ高校生の彼女です。
あの時、彼女は私に純愛で迫って来た。

 

まさか、彼女はこの絵を見てしまったのだろうか?

あっ!
床に長い1本の黒髪が落ちている。
この髪の毛は彼女の物。
彼女は、この場所に居たのか?
私が帰宅した折、彼女の髪は乱れていた。
帰宅前まで彼女はこの場所に居て、この絵を見ていたのか?

もしそうなら、
記憶を失っている彼女の目に、この絵がど~映ったのだろう。。。
理解に苦しみ困惑したに違いないだろう。。

もし、そうなら私に何かを聞いてくるに違いない。
自分の記憶を少しでも呼び起こそうとするはずだ。
私はアトリエの椅子にかけて、さまざまな思いにふけっていました。。。
彼女の事ばかりです。
この年齢になるまで、ず~っとそうでした。永遠の愛。

とその時、
アトリエの扉の外から、彼女の声がしました。

おじいさん、お食事の用意ができました。

 

 

———————————- 夕食

おじいさん、
今日はお魚料理を作ってみました。
簡単な料理ですが、これは私にとっては初めてです。
お口に合うかどうか分かりませんが、しっかりと食べてください。にこにこ!

最高の笑みがそこにはありました。
いつもと変わりません。癒されます。

そ~か絹江さんの魚料理は美味いからね~
実に、楽しみだよ。

 

2人揃って頂きま~す。。。。。

お~ うん、うん、美味しい!
絹江さんの料理はどれも最高にうまい!
どの高級料亭の料理よりも うまい!

え~ おじいさん!
そんなに、ほめても何も出ませんよ。くすくす。。。

いやいや、本当の事だよ。
この素朴な味、そして健康を考えてのレシピには
いつも感心させられているんだよ。
料理は素朴が一番だね。
素朴の中に秘められた深い味があるよ。。。
私は本当に幸せ者だよ。

え~ おじいさん、嘘でもそ~言っていただくと、
私も嬉しいです。
直ぐに調子に乗っちゃいますから。。。

はははははははははは、、、、くすくすくすくす、、、

 

和やかな食事が進んでいきます。

いつもの事ですが、
おじいさんは、お茶碗1杯だけ、私はお代わりして3杯食べます。

それはそうと、おじいさん、、、(彼女が言います。)

やはり、あの絵の事を聞いてくるのか。。。

今日のおじいさんの顔色が少しお疲れの様に見えます。
体の調子はどうなんでしょう?

確かに、今日は1日色んな処を歩き回り、無理をしたのは確かだ。
体が疲れているのかもしれない。
だけど料理は美味いし食もある。
だのに彼女は俺の体調の微妙な変化を見抜いているのか。。。

おじいさん、
梅干しは必ず無理してでも1つ食べてください。
野菜ジュースは出来れば全部飲んでくださいね。

はい、はい、分かりましたよ。
この家には頼りになる看護師さんもいるようだからね。

はははははははははは、、、、くすくすくすくす、、、

食事が終わって

おじいさんが、席を立ち上がろうとした時です。

あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~あ!

おじいさん!

おじいさんが、ふらついて倒れそうになりなりました。

と、直ぐに私は、回り込んで、
おじいさんの体をしっかりと両腕で支え受け止めました。

 

おじいさん、 おじいさん、 大丈夫ですか?

私はおじいさんの体を支えたままで、ゆっくりと歩き隣の居間に移動しました。

あ~ すまない、絹江さん、、、私なら大丈夫だ。
心配はいらない。。。

私は、ゆっくりと畳の上におじいさんを寝かし、
座布団を頭にして胸の衣服を開き
出来るだけ楽になってもらいました。

エアコンではなく、
ウチワでおじいさんの顔や胸を仰ぎました。

おじいさん、調子はいかかですか、お医者さんを呼びましょうか?

いやいや大丈夫だよ。その必要はない!
もう大丈夫だから、心配ないよ。。。
絹江さんが居てくれさえすれば、それでいいんだよ。

 

えっ?

 

でも、念のためにお医者さんに診てもらった方が、、、

いや、絹江さん、本当にその必要はないよ。
もう大丈夫だから。
杖がない時に、たまに少しバランスを崩すんだよ。
だから心配しなくていい。。本当だよ。
分かったね!

 

私はおじいさんのその言葉を聞いてハッとしました。
その怪我は、
1か月前に森で私を助けてくれた時に出来たもに違いありません。

私の目から一気に涙が溢れ出して、おじいさんの胸にしがみついて
声を上げて泣きました。

おじいさん、おじいさん、ごめんなさい、

わ~ん、わ~ん、、、、、涙が止まりません。

私を助けるために足を怪我してしまったんですね。
すみません、すみません、、本当に申し訳ありません。。。

わ~ん、わ~ん、、、、、わ~ん、、、

一か月前のあの森で、おじいさんは右足の親指を怪我してた。
私は自分の事ばっかし考えてて、おじいさんの怪我の事なんて
考えていなかったんだわ。

なんてひどい女なんだろう。
怪我をしてまで、私を助けて下さり、面倒まで見て下さっているのに、
おじいさんのことを私は考えていなかった。
ただ、おじいさんの思いやりに甘えてばかりでした。
私は。。。。最低だわ。

 

おじいさん、申し訳ありませんでした。
涙が枯れるほどに目から涙が溢れてきました。
流れる涙で目が潤んで向こうのラベンダー畑が
紫色にキラキラと輝いて見えました。

 

・・・ ?

ラベンダー畑が輝いている。。。

・・・ ?

そして、そこに誰かが居ます。
だれなの?

2人の男女がラベンダー畑の中を声を上げながら走っています。
私は、その場をす~っと立ち上がり、
廊下の方にふらふらと歩いて行きました。

だれ?
そんなところで何をしているの?

1人はスーツを着た若い男の人で、何かに驚いて逃げているようです。
もう一人はセーラ服姿の少女です。
少女が何かをわめきながら、男の人を追いかけています。

 

なんで、おじいさん先生を苦しめるのーーーーーーーーお!
初めっから若い姿で現れろーーーーーーーーーーーーーお!

やがて少女は泣きながら、その男性を捕まえて馬乗りになり、
二人は重なり合ったかと思うと一瞬に2人の姿は
パッ!と光の中に消えていなくなりました。

・・・ ?

私は一体何を見ているの。。。?
今の光景は何なの? 幻を見ているの?
私、頭がおかしくなったの?

なにがど~なってるのか分かりません。説明は不可能です。
ですが、再度ラベンダー畑を見ると、

多分、
先ほどと同じセーラ服の少女が楽しそうにラベンダーを見て喜んでいます。

・・・ ?

そんな少女に、
廊下の上からおじいさんが声をかけています。

ラベンダーの香りは、時のねじれを生み出す力を秘めているんだね!

えっ! なんで知ってるの?

そっかあ、、、
おじいさんも昔人間だから知ってるんだ! 昔からの言い伝えだもんね~
結構、広く知られているんだ、、、

そうなんです! 時のねじれを生み出す力があるんです!
おじいさんも知ってたんですね~

この香りだ~い好き、、、、、ラララ~、、、ルンルン!

更に、おじいさんが言います。

一瞬の間だけ、時を超えて、
ラベンダーの香りが2人の心を強く結びつけるんだね!

そんな素敵な花なんだネ!

・・・

・・・

廊下の上から、ラベンダーを見つめるセーラ服の少女に
おじいさんがそう言いました。

・・・

・・・

セーラ服の少女は、何故か、その言葉で体が動けなくなってしまいました。

動きません!

ラベンダーの花を見つめたまま、動きません。
ラベンダーの香りに包まれたまま、動きません。
手が、足が、体が固まったかのように。動きません。

時が止まってしまったかのようです。

・・・

・・・

ゆっくりと少女が振り向きます。

私はそのセーラ服の少女の顔を見て驚きました。

え! そんな、、、

私です。

ど~いうこと?
なんで私がセーラ服でここに居るの?
とっさに、
私は今日の午後、おじいさんのアトリエで見た絵を思い出しました。

あの絵の少女が居る。

しかも驚くことに、振り向いた少女の目から涙が溢れて、
ほうを伝わりラベンダーの花の中にポロポロと
落ちていきます。。。

 

少女は何故、泣いてるの?
何故に、そんなにまで涙を流している。。。今の私と同じだわ。

ピンクのハンカチでしっかりと涙をふき取って
おじいさんを見つめている。

おじいさんも少女を見つめています。
そして同じように涙を流している。

目の前で起こっているこの光景は一体何なの?

・・・

あっ! 少女が叫んでいる!

あ~先生! 先生が私の目の前に居る!

あなたは私が死ぬほど大好きな人なんです!
ず~っと会いたくて死んでもいいから会いたかった人です!
私の命と交換で神様にお願いしたんです。

 

どうしても会いたいって!

 

今、やっと会うことが出来た!
神様が私の命がけの願いを聞いて下さった。

あ~ もう私を離さないで、、、先生!

私は、その幻の中の、あまりにも強烈な出来事に
頭の中がめちゃめちゃに破壊されるような錯覚を覚えました。
一体、何が起こっているって言うの?

少女が叫んでる!

おじいさんに向かって、先生と叫んでいる。
おじいさんが、先生?
一体何がど~なってるの?
あ~ 頭が本当に破裂しそうだわ! あっ!

 

あ~ 少女が!
すっごい勢いで走って廊下に一気に飛び上がって
おじいさんに抱きついてしまいました。
足の悪いおじいさんは、よろけて、倒れてしまいました。
おじいさんと少女が重なって横倒しになっている。
少女が興奮して叫んでいる。

もう離れない!

会いたかった! どうしても先生に会いたかった!
私を抱っこしてください。
思いっ切り抱っこして、その胸の中に入れてください。
息が出来ない程、強く抱きしめてください!
先生の温もりを感じさせてください! お願いします。
少女は声を出して、わ~んわ~んと泣いています。

・・・

・・・

絹江さん! 絹江さん! 大丈夫かね?

ハッ!

私は、おじいさんの声で我に返りました。

絹江さん、君は今、夢を見ているね!

ど~したんだね?
そんなに泣くことなんてないんだよ。
この足の怪我は最近のものじゃないんだ。
昔の怪我なんだよ。
だから気にしなくていいんだよ。

さあ、私はもう大丈夫だから、君も疲れているだろう。。
ゆっくりと風呂にでも入って部屋に戻って休みなさい。。。

おじいさん、お体は本当に大丈夫なんですか?

ああ、大丈夫だ!

・・・

私は、気を取り直して言いました。

すみません、じゃあ私は食事の後かたずけをして
先にお風呂を頂きます。

 

 

————————— 自分の部屋で

私は和服の下着のままで部屋の和テーブルに腰を掛けて
先程の事を振り返っていました。

あのラベンダー畑で見た幻想の事が思い出されました。

あれは一体なんだったんだろう?

 

夢?

 

そ~だったのかもしれません。
でも、夢とは違うような気がしました。
何かの現象が私の目の前で起こった気がします。
なんの根拠もなしに、あんな現象が起きるのでしょうか?
今でもはっきりとその光景が生々しく浮かんで来ます。

あの時、

あのセーラ服の少女が言いました。

もうどこにも行かないで。
私を1人にしないで!

いつまでもず~っとこのままでいてください。

もう離さない!
どこにも行かせない!
先生は私だけのものなんです。
私の全ては先生のものなんです。
だから、
ず~っとこのままでいてください!

 

あまりにも強烈な言葉とその迫力に体が震えて来ます。
あれは夢だったの?

夢だとしても強烈過ぎる。。。

しかも、その光景の中で
おじいさんの言葉が頭の中に焼き付いて離れません。
おじいさんは少女に向かって言いました。

一瞬の間だけ、時を超えて、
ラベンダーの香りが2人の心を強く結びつけるんだね!

時を超えて、2人の心を結びつける?、、、、一瞬の間だけ?

それが、あの絵の裏に書かれている、
時を超える愛ってことなのでしょうか。。。

 

う~む、、、、、

そ~か、、、
あの言葉の意味ってこれの事かもしれない。

私の推測なのですが、
おじいさんと私は何年も前から愛し合っていた。
だから、おじいさんは私の姿を絵に残した。
セーラ服姿のラベンダー畑に立つ私を。
きっと頭の中に思い浮かべて描いたんだわ。
あの絵が語る意味が、少しは分かったような気がしました。

でも、あの若いスーツの男の人は誰?
追いかけていたセーラ服の少女は誰? 私なの。。。?
どちらも顔が見えなかった。。。

分からない、、、?

あの時、
振り向いた少女は、おじいさんに何を訴えていたのだろうか。。。?
涙を流しながら必死だった。

今、やっと会うことが出来た!
神様が私の命がけの願いを聞いて下さった。

そ~言って、懸命におじいさんに向かって叫んでいた。

 

少女は言っていました。

もうどこにも行かないで。
私を1人にしないで!

そ~ 叫んでいた。

命がけの
時を超える愛

・・・

時を超える?

・・・

・・・ まさか

・・・

まさか、私は時を超えてここに居るのでしょうか?
信じられません。
いくら私の記憶がないにしても、時を超えるなんて。。。
そんなことが現実に起こるはずはありません。

・・・ 増々、頭が混乱して来ます。

・・・

遠くの方で都会の騒音が聞こえるように思います。
ですが、
私は、和テーブルの明かりの中で静かに
集中して考え込みました。

 

そして頭をまとめようとしました。推測です。

推測1
5年前の私は女子高生で、おじいさんと愛し合い今に至る。
でも、1か月前に2人は一緒に森に出かけたが、私は岩の事故に合った。
おじいさんは愛する私の命を、必死で救ってくれた。
でも私は、その事故のショックで、それまでの記憶を失った。
セーラ服の私の絵は、おじいさんが5年前に私を描いたもの。

だとしても、あの少女の涙の訴えは何だろう?

もうどこにも行かないで。
私を1人にしないで!

そ~叫んでいたわ。
ふ~む、、、、そっか~
おじいさんは私を愛していたけど別れたのかもしれない。
年齢差とか、私の将来の進路を考えてかも。。。
でも今、私が大人になってからも、その愛は消えていない。
おじいさんは私の記憶が戻るのを待っている。
どちらにしても、私はおじいさんの愛に包まれて今を生きている。

 

推測2
大胆で非現実的な推測です。
私は時空を超えて旅をしている。(あり得ない)
おじいさんと私は互いに愛し合っている。
私は時空を超える旅人だから、老人になった彼の元へ今来ている。(あり得ない)
旅の途中で私が岩の事故に合い、おじいさんが助けてくれたけど、
でも私はそのショックで記憶を失っちゃった。(かなり無理がありそう)
おじいさんは私の記憶が戻るのを待っている。

でも、待って、
じゃあ、あの幻想の中の若いスーツの彼は誰?
あの女子高生は私? 私だとすると、、、

ラベンダー畑で、あの2人は何をしていたのだろう?

 

セーラ服の少女は彼に向かって叫んでいた。
なんで、おじいさん先生を苦しめるのーーーーーーーーお!
初めっから若い姿で現れろーーーーーーーーーーーーーお!

おじいさん先生?
若い姿で現れろ?

先生?
若い姿?

若い姿の先生?

セーラ服の少女と若い姿の先生?

女子高生と教師の恋愛? まさか?

あの時、2人は1つに重なるようにして消えていった。
何処へ行ってしまったのだろう?
まるで光の中に吸い込まれるようにパッ!と消えた。

 

この大胆な非現実的な推測をしていく中で私は何故かこの推測
の方に心が引かれていくことに気が付きました。

もう一度、あの幻影を追って頭の中で再現していきます。

おじいさん先生と言っていた。
あれは、おじいさんの事だわ。
だとすると、あの瞬間に同一人物が2人存在していたことになる。
若い先生とおじいさん先生だ。。。
でも、一般的には同じ時空の中に同じ人間が2人居ることは
出来ないように聞いたことがある。
私も良く分からないけどそんな気がする。

 

もしあの時、おじいさん先生が居なければ、
あの若い先生がおじいさんってことになるわ。

私はその幻影の中に身を投じます。
セーラ服の少女!お願い、思い出して!
私の後ろに、おじいさんが居るのかどうかを確認して・・・
セーラ服の私! そこから私の後ろを見て! お願い!
見えているはずだわ! そんなに動き回っているんだもん!
ラベンダー畑からこちらを見て!
見て! 見て! 見るのよ!

見て~!

・・・

ほら、こっちよ、、、

あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあっ!

・・・

少女がこちらを!

見たーーーーーーあ!

セーラ服の少女が着物の私を見ている。。
私と少女の目が合った。
こちらを見つめている、、、、、
涙の瞳で、涙の私を見つめてる。。。

そして、私の後ろには、おじいさんが居る。

少女が私たち2人を見つめてる。

おじいさんだけではない。
私も同じ空間に居る。

一体、ど~なっているの?

でも確信しました。
おじいさんとあの若い男の人は同一人物だわ!

あのセーラ服の少女と若い姿の先生は、強く愛し合っている。絶対にそ~

 

同じ空間に少女が愛する同一の2人の男性が存在している。
年齢差があっても同一人物なんだ。
だから、
それに気が付いたから、少女はおじいさんに抱き着いてきた。
例え年齢が違ってても、少女にとっては愛する人に変わりがないんだ!

少女は涙でおじいさんに叫んでいる。

 

もう離さない!
どこにも行かせない!
先生は私だけのものなんです。
私の全ては先生のものなんです。

命がけの
時を超える愛

あ~~~~~~~~~~~~~~~~あぁ~

私の目から、
涙が後から後から滲んで流れて行きます。
心が突き刺されるように痛みます。
強烈な愛の形が目の前で繰り広げられているのです。
燃えるような愛!
命がけの愛!

 

これが、時を超える愛

 

少女と若い先生、あの2人はあのラベンダー畑で1つになり、
自分たちの時代に帰って行ったんだわ。
だから姿が消えたんだ!
時を超えたんだわ!

おじいさんは、今まで独身で結婚の経験はない。

おじいさんは言ってた。
ず~っと心に思い続けている人がいる。
ず~っとね!
そして、今もその人を追い求めているんだよ!

・・・ は!

私のことだ!

でも、
結局、私たちの愛は、
おじいさんがこの歳になるまで結ばれなかったってこと?
命がけで愛している2人が結ばれないなんて、、、、
そんなの悲し過ぎる。

今まで、おじいさんはず~っとその愛を貫いて来たんだわ。
そして苦しみ続けて来たんだ。

あっ!
思い出した。

1か月前、私がここに来て直ぐの頃だ。
私がこの庭園のラベンダー畑を見ていた時。

おじいさんが、廊下の上から、
私の背中で、ラベンダーを見つめる私に言ったわ。

そ~ 確か。。。

・・・

一瞬の間だけ、時を超えて、
ラベンダーの香りが2人の心を強く結びつけるんだね!

そんな素敵な花なんだネ!

・・・ あ~ 同じ言葉だったんだ。。。

その時私は何も感じなかった。
きっと、おじいさんは悲しかったに違いない。
その時の、おじいさんの気持ちを想像すると
胸が締め付けられるようにうずいて来ます。
ゴメンなさい! おじいさん! 許してください!

・・・
更に、おじいさんは言ったわ。
私はこの花を、ず~っと昔から大切に育てていてね。
この花を見ては、
どんなに苦しい時でも、辛い時でも勇気付けられて来たんだよ。
このラベンダーの花は、私にとって特別の花なんだよ。

・・・

ラベンダーの花には何か深い意味があるんだわ。
でも、今は私には分からない。

・・・

でも、私の心はこんなにも締め付けられて痛い。
涙で机がいっぱい濡れています。

・・・

今までの全ての事は今の私には分からない。
記憶だって失っている。
でも私はおじいさんに愛されている。
そして、私もおじいさんを愛している。
私は処女だ!

だれにもこの体は渡さない。
おじいさんだけにしか!
おじいさんに向けた私の性欲は愛する人に全てをあげたいという
私の愛の本能から来てたんだわ。
気が付かないまま自分の不純さを戒めていた。
でも、それは愛の証だった。

・・・

おじいさん!

私の全ては、おじいさんの物です。
今宵、私は、おじいさんの物になります。
身も心も、
そして内臓も責めて下さい。ぐちゃぐちゃにして下さい。
おじいさんが、いくら拒否しても私からそ~します。

おじいさん、
今、やっと出会えました。

おじいさん、私です。

私は、着物の純白の下着のまま、おじいさんの書斎に
ゆっくりと廊下を歩いて行きました。

・・・

・・・

夢と幻想の森